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Frank Zappa / Hot Rats

Hot Rats
Hot Rats
posted with amazlet at 09.02.04
Frank Zappa
Zappa (1995-05-02)
売り上げランキング: 27493

1969年に発売されたFrank Zappaのソロ第二作目のアルバム。

Hot Rats (1969)
1 : Peaches En Regalia
2 : Willie The Pimp
3 : Son Of Mr. Green Genes
4 : Little Umbrella
5 : The Gumbo Variations
6 : It Must Be A Camel

Zappa 先生(←何となく“先生”呼ばわりをしてみる)というと「難解」だったり「グロい?」や「エロ」・「エグイ」など、とかく良い印象が無かったりもしますし、私もそんなイメージでZappa先生の事は認識していました。もっと言えば、今でも「小難しい」とか「何だか理屈っぽいかも」とかそんなことを思ってますが。

しかも正規のアルバムが60枚以上出ているらしく、初めてF.Zappaのアルバムを買おうとした人はどれを選んで良いか、訳解らんだろうし、実際私もそうでした。まさに山脈が如し険しさ(笑)。

で、それでも選びに選んで買った所で、最初の一枚に失敗すると次のアルバムを買おうとは思わないだろうし、Zappa先生の格好良さの深遠の縁を覗き込んだだけで引き返してしまう人は多いと思います。私もF.Zappaのアルバムは5?6枚程度しか持っていないので、Zappa宇宙の片鱗すらも知らないのでしょう。

このアルバムはそんな難儀なイメージを払拭するものではないですが、一曲を除いて全編インストゥルメンタル、それも全てが研ぎ澄まされたジャズ・ロックに仕上がっており、「聴き易い/聴き難い」以前にとにかくカッチョ良い!今で言う所のアシッド・ジャズの元祖といえるサウンドを、1969年には作り上げていたッつーのがスゴイ。

M- 1「Peaches En Regalia」から、もうイキナリドーパミン吹き出しそうなくらいカッコイイ曲です。F.ZappaのギターとIan Underwoodのキーボードの掛け合いと、リズム・セクション、フルートなどの管楽器がメタリックな色合いで主役に迫り来る様、そして楽曲の緻密な構築性は今聴いても素直にシビレる事が出来ます。

M- 2「Willie The Pimp」は、Zappaの当時の盟友Captain Beefheartがヴォーカルを務めているこのアルバム唯一のヴォーカル曲です。そしてCaptain Beefheartのそのヴォーカルは、場の空気をいっぺんに変えてしまうくらい力があり、この曲の中でそのダミ声は存在感があり過ぎるほどにあります。

じつはCaptainのヴォーカルは前半部分のみで、残る後半部分はインストゥルメンタルが続き、最後にメインのリフに戻るという構成であり、Zappaのギターや、ベース、ヴァイオリン、ドラムの諸氏方々がチリチリするような名演奏を繰り広げてはいるのですが、曲自体はもうCaptaiin Beefheartのエキスが染み渡ってしまっており、まさにcaptainの独壇場となってしまっているといっても過言じゃないでしょう。

Captainがダミ声で迫り、シャウトし、雄叫びをあげ暴れまくるこの一曲の為にこのアルバムを買っても損はしないです、マジで。

そして続くM-3「Son Of Mr. Green Genes」やM-6「It Must Be A Camel」などはジャズ、それもビッグ・バンド・ジャズのイディオムを借りつつも、それがジャズともつかずフュージョンでも無く、ましてやロックでも無い異質の空間を作り上げる事に成功しています。

M- 5「The Gumbo Variations」はジャズとアメリカ土着の音楽であるR&Bをドロドロに煮込んで作り上げたような、南部の匂いが強い泥臭さのある力強い一曲。中間部で繰り広げられるメイン・ソロのホーン・セクションと、ギターやベースらが絡みつく展開、そしてそのソロがいつの間にかベースに、ヴァイオリンに、ギターに移ってゆく展開の妙味は、もう背中が痒くなるような焦燥感に駆り立てられるようなステキさ。

Zappa のアルバムを数枚しか持っていないくせに、この「Hot Rats」を取り上げて『大推薦!!』なんてやってると、生粋のZappaファンからお叱りを受けそうですが、とにかくこのアルバムはF.Zappa初心者やロック・ファンでも聴きやすくハマり易い一枚だと断言します。

ジャケは怖いけど、物は試しに一度聴いて欲しい一枚。



2009/02/04 追記
「Willie The Pimp」、今聴いてもカッチョ良い!!この楽曲だけでなく他のインストゥルメンタルな曲たちのどれもがカッチョよく、そして(これがちょっとばかし重要だったりするかも)どれもが下品でない!!(笑)。Zappaを初めて聴く人にはこれをオススメして、これがどうにもピンとこなければ他のアルバムもまずピンとこないでしょうし、これに大ハマリしてしまえば後にはZappa先生の蟻地獄の如き無限宇宙が待ち構えております。

ま、そんなことはともかくとしてですね、まずはこのアルバム、是非とも聴いていただきたい一枚であります。
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テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Todd Rundgren / Hermit Of Mink Hollow

ミンク・ホロウの世捨て人(K2HD/紙ジャケット仕様)
トッド・ラングレン
ビクターエンタテインメント (2008-06-25)
売り上げランキング: 52466

自分のアルバムの楽器を全て自分で弾きこなしてしまうマルチ・プレイヤーであり、ちょっとヒネッたポップ・ソングを量産するポップ・ミュージックの達人 Todd Rundgrenの1978年に発表された作品。

Todd Rundgren / Hermit Of Mink Hollow

1:All the Children Sing
2:Can We Still Be Friends?
3:Hurting for You
4:Too Far Gone
5:Onomatopoeia
6:Determination
7:Bread
8:Bag Lady
9:You Cried Wolf
10:Lucky Guy
11:Out of Control
12:Fade Away

正直に言ってTodd Rundgrenの事をよく知っているかと聞かれれば、「いいえ」としか答えようの無い私がこのアルバムをMy Favoriteとしてあげるのは、我ながらどうかと思うんですが。

アルバムも10枚程度は持っていますが、発表されているアルバム群はそんな数じゃ効かないし、しかも何枚出ているのかも把握しておりません。そしてもっと言っちゃえば、このアルバムが本当に8枚目のアルバムなのかもちょっと疑わしかったりもします、スマン。

なので、T.Rundgrenに関して細かい知識は皆無なのですが、そんな私に言える事は『このアルバムは傑作じゃなかろうか』って事ぐらいです。

M-1「All The Children Sing」はもうこれ以上無いっていうぐらい、前向きで明るい未来を想像させる明るいメロディ。その底抜けに明るいメロディ・ラインは聴いているだけで何だか元気になりそうな勢いです。

もうこれぞポップという曲を一発目に持ってきておきながら、続くM-2「Can We Still Be Friends?」では一転して、ピアノに導かれメロウなラインにT.Rundgrenのヴォーカルが切々と歌う様は、なんて言うか、こうグッと来るものがあります。美しくも物悲しげなメロディ、素敵な曲です。

ちなみにこの曲はかのRobert PalmerやHall & Oatesなど様々なミュージシャンにカヴァーされています。ちょっとググってみたら日本の高宮マキというミュージシャンもカヴァーしているらしいです。ちょっと聴いてみたいかも。

M-3「Hurting For You」やM-12「Fade Awey」も同じくらいにそのメロディ・ラインの美しさに魅かれる曲です。

メロディが美しくって泣かせる曲ばかりかというと、M-5「Onomatopoea」などといった超おちゃらけな能天気ソングも入っており、アルバム全体の良いアクセントにもなっております。なんつーかこのバカっぽいポップも大好きです。

力強くもありながらあくまでもポップを貫いているM-6「Determination」やM?11「Out Of Control」。

このアルバムでの泣きのメロディといったらもうコレ、M-10「Lucky Guy」、ピアノのみのバッキングから始まるこの曲、その切なく情感のある旋律にはヤラれること請け合いです。

T.Rundgrenのアルバム全て(全ては聴いてはいないんですが)に言えるんでしょうがポップさ加減と奇麗なメロディが高い位置で融合していると思うのですが、このアルバムは特にその傾向が強く、俗に言う捨て曲といったものがまるでありません。

一曲一曲を取ってみれば小粒なものばかりという印象を受けるかもしれませんが、それが集まってアルバムという形態を為した時にこんなに輝くものになったアルバムはそう多くないのでは?と思わされます。

T.Rundgrenといえば「A Wizard,A True Star(魔法使いは真実のスター)」や「Something / Anything(ハロー・イッツ・ミー)」などが名盤として真っ先に上げられるのでしょうが、コンパクトにまとまった佳曲揃いのこの「Hermit Of Mink Hollow」、きっと持っていても損はしないはずです。イイよ、このアルバム。



2008/12/17追記

イヤ、今聴いてもやっぱり良いアルバムだよなぁ、ってな事に尽きます、このアルバムに対しては。

邦題の『ミンク・ホロウの世捨て人』っていうのも直訳なんだけれども、ステキな邦題。昨今の英語をただ日本語読みに置き換えたものなんかよりも、この頃の洋楽に対して付けられていた邦題はどれも良い味があるものが多い気がします。

アルバム自体は約36分と短いもの(発売された当時としてはそうでも無かったのでしょうが)ではあるのですが、そこへコンパクトにギュッと詰め込まれた、まさにポップ!な名曲あり、グッとくる泣きな名曲ありなの優れた曲の数々。とりあえず聴いておけって感じであります。2枚組の大作やら難儀なアルバムも多い気がするT. Rundgrenですが、初めて聴く人にとっても取っつきやすく、長く聴き続ければより味わいが増すアルバムなのでは無いでしょうか?大推薦であります。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Bryan Ferry / Mamouna

Mamouna
Mamouna
posted with amazlet at 08.12.03
Bryan Ferry
Virgin (2000-03-10)
売り上げランキング: 214124

Bryan Ferry(以下フェリーさん)による1994年に発表された9thアルバム。

腐熟のギリギリまでに登り詰めた7thアルバム『Bate Noire』、今でも大好きなアルバムなのでありますが、その次作として予定されていた極めて内省的とも言われ、未だついに未完となっているアルバム『Horoscope』は完成度・濃密度の高かった前二作『Boys And Girls』『Bete Noire』を上回らなければ、傑作を作らなければという強いプレッシャーと、母親であるMary ann Ferryが亡くなるなどといった事からアルバムの製作は非常に難航し、中断せざるを得なくなったとの事です。

そのスランプの泥沼的状況を打破する為の気分転換が一枚のアルバムに発展・製作されたカヴァー・アルバムであり8thとなる『Taxi』になりました。曲を作らなければならないというプレッシャーから解放され、肩の力が抜けたのか、『Horoscope』の悪夢からも開放された後に改めて製作されたアルバムがこの『Mamouna』となったようです。

ゲストとしては元Roxy Music組のPhil ManzaneraやAndy Mackay、そして「二人のブライアンはいらない or バンド内にノン・ミュージシャンは二人要らない」(←噂)とRoxy Musicを解雇され、その後の不仲を伝えられていたBrian Enoのゲスト参加!。“Sonic ambience”やら“Sonic emphasis”やら、らしいっちゃあらしいんだけれども、実際のとこ何なのさ、なんていう記述。他にもNile RogersやNathan East、Neil hubbard、Maceo parker、そして共同プロデューサーも務めたRobin Trower、etcetcといつもの如くに贅沢で豪華なゲストの面々が加わっております。

神経症的なリフを奏でるギター、ゴージャスな抑揚を付けられているけれどもどこか頼りなげでゆらゆらと揺れるようなフェリーさんのヴォーカル、そしてシンセによる空間造りそれらがアルバムの出来を期待させるようなM-1「Don't Want To Know」、パトカーのサイレンの音から始まり、揺らめくような音造りが都会の中心での熱病を思わせるM-2「N.Y.C.」。

フェリーさん流の悲しげで重ったるくもあるバラード、M-3「You Painted Smile」、バラードとはいうものの、ドロリとした念が込められていそうな。邦題の「偽りの微笑み」っていうのもどこか古色蒼然としていてイイ邦題であります。

やはりこれまたネバっこくも緩やかに流れゆくような空気間を創り上げるバック陣とフェリーさんのヴォーカル、M-4「Mamouna」やM-5「The Only Face」。らしさが溢れるメロディ展開とM-5のギター・ソロもイイ感じ。

スローなテンポで終始焦燥感を煽り立てられるようなM-7「Which Way To Turn」。緩やかで霧深い世界観があると思います。

このアルバムで唯一の共作であり、しかもその相手がB. Eno教授であるという、リアルタイムではびっくらこいた覚えのあるM-8「WildCat Days」。カッティング・ギターが切り込み始まる、アップテンポで珍しく狂騒的でもあるこの曲、フェリーさん流の誤った解釈のアンビエント・ポップっていう感じが個人的にはしっくり来ます。

星座の名前を冠しているところからも未完のアルバム『Horoscope』から拾いおこされた曲なのかと連想させるM-9「Gemini Moon」、ズンドコしたリズム隊とゴージャスな女声のバッキング・ヴォーカル、フェリーさん流のポップな面が上手く出た一曲だと思います。

スローなテンポでバッキング・ヴォーカルによる木霊のようなサビの繰り返しが耳に残るラストM-10「Chain Reaction」。良い曲ではあるんですが、もうちょっとアルバムのラストに相応しい曲があったんじゃないかなぁと聴き返すとそう思っちゃったりもしますが、これはこれでお気に入りの一曲。

私が買ったのは94年頃に出た日本盤だった為、名曲「In Every Dreamhome A Heartache」と「Bete Noire」のそれぞれのライブ・ヴァージョンがヴォーナス・トラックとして収めれておりました。

『Horoscope』からの解放感と、B.Enoが全10曲中8曲に参加し御得意のサウンド・トリートメント効果も影響しているのか、濃密な音空間を誇った『Boys And Girls』や『Bete Noire』等に比べ、アルバム全体の空間が良い意味で抜けたところもあるような、より開放感のあるアルバムに仕上がっていると思います。路線としてはRoxy Musicの『Avalon』の延長線上にあった『Boys And Girls』、そしてそれが何だか袋小路一歩手前に突っ走っちゃった『Bete Noire』、そしてこのアルバムは『Manifesto』とドロッとした味わいのソロ作が交わった延長線上にあるアルバムなんじゃないかなと思います。

前2作に比べてあまり評判はよろしくないッぽいこのアルバムですが、私的にはフェリーさんのアルバムというとこのアルバムがいの一番に出てくるほど好きなアルバムであります。

そうそう、フェリーさんのソロ・アルバムのジャケと言えば、これまでもこれ以降も必ずと言って良いほどフェリーさん御本人の顔が映し出されたものであったのですが、このアルバムに限ってはフェリーさんが出てこない珍しいジャケットになっております。やる気無かったんかいな?

それともひとつ。ファンとしてはフェリーさんとB.Enoの久々の共演・共作に歓喜する訳ですが、Eno : Enoさんトコにあるインタビュー記事を読みますと、

さてロキシー解雇以来疎遠だったフェリイさんと、久々に仕事した際の話も訊いた。
 (B.Eno)私はフェリイのレコードで一体何をしたんだっけ?(笑)。よく思い出せないな。


との事。わはは、ヒドイ。

関連URL:(以下ブログ内リンク)
Bryan Ferry / Bête Noire

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Robert Wyatt / mid-eighties

[Robert_Wyatt]Mid-Eighties
「元Soft Machine」という肩書きは要らないよね?孤高のシンガー、Robert Wyattのシングル盤や12インチ盤などのミニ・アルバムをまとめ上げ、Rough Trade recordsから92年に発表されたコンピレーション・アルバム。

Robert Wyatt / mid-eighties

1:Yolanda
2:Te Recuerdo Amanda
3:Biko
4:Amber And Amberines
5:Memories of You
6:'Round Midnight
7:Pigs....(In There)
8:Chairman Mao
9:Alliance
10:The United States Of Amnesia
11:East Timor
12:Speechless
13:The Age Of Self
14:Vandalusia
15:The British Road
16:Mass Medium
17:Gharbzadegi
18:P.L.A.

普通は「まずはオリジナル・アルバム、ベストやコンピレーション・アルバムはその後」という主義の私でありまして、このサイトでもオリジナル・アルバムだけを取り扱ってきて、この後もそうするつもりなのですが、この「mid-eighties」だけは例外にします。

まぁ、何についても言える事なんですが、一番初めに買ったものには愛着が沸くもので、この「mid-eighties」も、私が初めて買ったR.Wyattのアルバムでした。他のオリジナル・アルバムもどれをとっても素晴らしいものばかりではありますが、これに限っては思い出深いものであり、愛着深いアルバムでもあります。

そして、何と言ってもこのジャケット。ホノボノとしたタッチで描かれているヒゲ面のおっさん(R.Wyatt本人なのかな?、でも本人は髪の毛はモジャモジャだしなぁ?)がイイ味を醸し出してます。なかなか、このすっとぼけた味わいのタッチは真似出来ませんよ、きっと。良いジャケです。

買った当時はまだ若かったと云う事も有り、なかなかR.Wyattのヴォーカルの良さがリアルに響かなかったのですが、R.Wyattのヴォーカル・声の持つその滋味溢れんばかりの味わいが年を重ねるにつれ、アルバムを聞くにつれ、心に響いてくるようになりました。今では手放せないアルバム達になっています。

その声を私の言葉で表すとすれば、まさに「彼岸の彼方からの音楽」としか言いようがありません。その声が響き渡ればそれだけでその場が静寂と湿り気をおびた濃霧の世界へと変貌してしまうようです。

美しい声でも無いですし、歌が上手いのかと聴かれるとハッキリ「上手い」とは答えられませんが、そんな「上手い・下手」では決して割り切れない声の持つ魅力、そしてそれが何もかもをも包み込んでしまう、そんな魅力を持ったシンガー、アーティストだと思います。

ライナーによるとM-1?4・EP『Work In Progress』、M-5、6・12インチ盤『Shipbuilding』、M-7、8・オムニバス・アルバム、M-9?18・アルバム『Old Rottenhat』全曲という構成になっているようです。

ちなみにこのライナーをよく読まなかった為に、その後気付かずに『Old Rottenhat』をつい購入してしまい、「アレ、このアルバムって持ってたよなぁ??」なんて羽目になっちゃいました。トホホ。

M-1「Yolanda」からM-3「Biko」までの流れはこのアルバムの中でも屈指の流れになっておりまして、R.Wyattのその声の魅力を存分に楽しめるものとなっております。深い霧が立ち込める森の奥から聞こえてくるかのようなキーボードの音、そして世俗を超越した仙人の如き歌声、それだけでもうそこは一面R.Wyatt一色に染まり上がります。

M-3「Biko」はもともとPeter Gabrielの楽曲なのですが、このカヴァーは「カヴァーはオリジナル以上にはなり得ない」という常識から抜け出せている数少ない曲の一つだと思います。ドライでいてウェットという特異な質感を持つヴォーカルが奏でる世界は悲しげで、それでいてなぜか力強い、そんな光景が耳の奥で広がるかのようです。

M-5「Memories Of You」のその哀切な響きは、バックの流麗なピアノの調べとともに心に染み入る名曲となっております。R.Wyattの曲全般に言える事なんですが、その根底に流れる「エコー感」と言うべきか何と言うべきなのか、楽器、ヴォーカルの終わりにたなびく残響・エコーが楽曲をより余韻深く滋味溢れるものにしていると思います。

M-9から始まる「Old Rottenhat」楽曲群では、哀切感に加え深い絶望と怒りのような感情も曲の合間に聞き取れるようで、聞いているこちらの心を締めつけられるような、そんな力を持ったものに仕上がっています。東チモールの独立問題を歌ったM-11や粗暴なアメリカを歌ったM-10、時代背景が、自身の共産党からの決別が以前の作品にもあったそういった感情をより増幅させたのかは分かりませんが、それらが聞く人の胸を打つのは間違いないと思います。

気軽に「これイイよ!」なんて勧められるアルバムでもアーティストでもないとは思いますが、いつか必ず一度は、思い出した時にでも手に取って欲しいと思います。この人ほど「滋味溢れる」という言葉が似合うアーティストはいないと思っています。

あと、最後に。学生のころだかいつだかは忘れましたが、この人のアルバムを友人と聞きながら「R.Wyattのキーボードってば、インチキ・キーボードだよなぁ、わははは」なんて酒のつまみにしていた事、今さらながらにお詫びしたいです。イヤココで詫びてどうする?って気もしますが。

今はそんな事ひとかけらも思わず、大絶賛の嵐ですよ、マジで。



2008/08/04追記
と、私のお気に入りアルバムとしてエントリーしてみたのですが、Amazonでも中古商品しかないし、HMVでも取り扱い自体が無いようですし、廃盤扱いになっちゃっているっぽいですね。アルバム『Old Rottenhat』プラスEP&レア・トラックというお得なアルバムだけに勿体ない。

上述しましたように、東チモールや現代(当時)のアメリカ、「Biko」で聴かれるアンチ・アパルトヘイトなどさまざまな問題を取り扱った政治色の強い楽曲たちではあるのですが、それらを哀切でメランコリックに、また霧の向こうから聴こえてくるようなサウンドに乗せ創り上げられた世界観はこの人のアルバムでしか聴く事の出来ないものだと思います。

このアルバムを含め、Robert Wyattのアルバムはどれもこれももう手放しで大絶賛してしまいます。アルバムでは無くいちミュージシャンとして愛してやみません。

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Roxy Music / Country Life

カントリー・ライフ(紙ジャケット仕様)
ロキシー・ミュージック
EMIミュージック・ジャパン (2007-09-26)
売り上げランキング: 110911

Brian Enoが脱退した後にEddie Jobsonが加入後二作目、Roxy Musicとしては4th アルバムとなる1974年発表のアルバム。

Country Life(1974)

1:The Thrill Of It All
2:Three And Nine
3:All I Want Is You
4:Out Of The Blue
5:If It Takes All Night
6:Bitter Sweet
7:Triptych
8:Casanova
9:A Really Good Time
10:Prairie Rose

 まぁ、普通はこの手の自分ベストでは「Avalon」が挙げられるんでしょうけども、敢えて、イヤ、敢えてじゃなくても私は「Country Life」を大推薦しますね、えぇ。

 このアルバムを初めて手にしたのが、中学生ぐらいの話で、もちろんその頃は今ほど自由になる金があるわけでもなく、「貸しレコード屋」で借りてきたのが始まりでした。

 私の世代が「貸し本屋」をリアルで知らないように、「貸しレコード屋」なんて今の若い人は「?」って感じなんだろうね。今じゃ「レンタルCDショップ」だし、録音するメディアもテープなんかじゃなくってMDやCD-Rなんだろうしね。豆知識としては、浜崎あゆみを擁するエイベックスなんて元は「You &I」っつー、貸しレコード屋だったりする事実も。(2008年5月20日 訂正・エイベックス創業者松浦氏は元は「友&愛」っつー貸しレコード屋さんの店長さんだったりする事実も)

初っぱなから話ズレとりますけども。

 コレを借りるには、当時まだウブな中学生だった私には結構な勇気がいりました。だってあの(↑)ジャケだしね(笑)。アルバム自体が発売された当時では、アメリカではジャケがエロ過ぎっていう事で、女性(うち一人はオカマさんだという話も?)二人のバックの葉っぱを拡大したもののジャケに差し替えられて発売されたなんて逸話もありました。

 疾走感のあるキーボードとドタバタしたドラムで幕を開ける“The Thrill Of It All”、キャッチーなメロディと耳に留まりやすいタイトル・フレーズにより聴きやすいロキシー節を展開させる“All I Want Is You”、そのドラマティックな展開とヴォーカルの力強さが印象的な“Out Of The Blue”など、前作までのドロドロとした粘っこさを払拭したかのような作品を展開させていきます。

 しかし、それと並行させて、“Bitter-Sweet”や“Casanova”ではコロッと忘れたかのように重めでドロッとした質感の曲も取り上げていたりもしています。また“Prairie Rose”ではロキシーらしい妙なグルーブが心地よく、ラストを飾るに相応しい盛り上がりを見せます。このアルバムは前作までよりも、より幅広い音楽性と高いクオリティに彩られたアルバムでもあります。

 1stの「とりあえず思いついた事をやってみました、楽器は下手だけどね」的なノン・ミュージシャンの集団から、2ndの脱退する前のイーノの実験的音楽性へのアプローチとB.Ferryの自己陶酔系のせめぎ合いから生まれた妙な世界、3rdでの様式美といおうか、強固なまでのスタイリッシュな世界観の創造、それらを経て、このアルバムのようにようやくバンドとしてのグルーブ感や一体感が出てきたのだと思います。

 1st、2ndのB.Eno在籍時の初期を可能性の混沌期とし、6?9thをAOR的Roxyの完成期とするならば、このアルバムを含む中期はロックなRoxyの成熟期というべき、完成度の高さと運動熱の高さを併せ持ったものだと思います。

 たしかに3rd“Stranded”の強固なまでのヨーロッパ的ロマンチシズムというべき世界観は高い評価を与えられるべきだし、1st「Roxy Music」のその後のRoxyMusicの音楽をそこかしこに感じさせるダイヤの原石としての力強さ、そして最高傑作といわれロックの名盤としても有名な、「Avalon」でのそれ以上は考えれない完璧なまで達成度など、Roxy Musicでは他に挙げるべきアルバムが幾らでもあるのではありますが、個人的には、大袈裟ではなく程よい大きさ感がある佳曲が詰まったこのアルバムを一位にあげたいところです。

 イイですよ、このアルバム。とりあえずジャケは必見なのでCD屋さんに行った際にはゼヒ手に取って、若き日の私がハァハァしたジャケを見てみて下さい(笑)。



2008/6/20追記
どうもこのRoxy MusicおよびBryan Ferry関連のアルバムは随分なクセがあるようで、駄目な人は決定的に駄目な感じはありますね(苦笑)。あのB.Ferry特有の粘っこいボーカル・スタイルのせいなのか、ロキシーの持つみょうちくりんなグルーブ感のせいなのか、やっぱりB.Ferryの声質のせいなのかなぁ?学生の頃の周りでも苦手な人いたしなぁ。ま、そりゃ仕方がない。

とは言え、ハマる人は当然ハマっちゃう訳で、私もハマっちゃった1人であります。←こういう「やる時はやる人」みたいな言い回しに対しては「そういうヤツは「やらない時はやらない」のであって、何時までたってもやらないんじゃない?」と思ってしまい、嫌いな言い回しなのですがね(笑)。

閑話休題。

ちょっと前のツアーのみの再結成Roxy Music等には全くの興味すら湧かないのではありますが、そろそろB.Ferry & Phil Manzanera & Andy Mackayによる新作に取り掛かってくれないかな。この『Country Life』の頃のような音楽は決して望めないのは判っておりますが、言葉悪いけれども集金ツアーみたいなのでは無く、あのRoxy Musicのその先の道程を見せてくれる事を祈っております。

そうそう、これだけは言っとかなきゃ、アルバムのラストを飾るM-9「A Really Good Time」からM-10「Prairie Rose」への流れはもうサイコーであります、これだけは譲りません!!(←笑)

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Quiet Sun / Mainstream

Mainstream.jpg

Roxy Musicの成功により、ギタリストPhil Manzaneraによる一作限りのプロジェクトとしてレコーディングされた、75年に発表されたアルバム。

Mainstream(1975)

1 : Sol Caliente
2 : Trumpets With Motherhood
3 : Bargain Classics
4 : R.F.D.
5 : Mummy Was An Asteroid,Daddy Was A Small Non-Stick Kitchen Utensil
6 : Trot
7 : Rongwrong

実はこのバンド、Roxy Music加入以前にBill MacCormick(b)らとともに組んでいたバンドだったったのですが、レコーディングにまでは至らず解散、それを復活させたのがこの“Quiet Sun”という事らしいです。

もう自分でもいつ購入したか分からないほど昔に買ったのですが、その当時まだインターネットで気軽に情報を検索とか、ネット・ショッピングを楽しむといった事が出来なかった為、レコードやCDのライナーや怪しげな雑誌の乏しい情報を片手に散策するしかありませんでした。このアルバムも購入した当時は「こんな怪しげなアルバムに手を出しちゃって、俺は大丈夫なのか?」と自問自答した覚えがあります(笑)。

ライナーといえば、このVirginから『Editions EG』レーベルとして発売されていたのですが、ライナーは赤岩和美氏でした(その後の再発されたモノに関しては不明)。自らの感情や聞いていた当時の状況をダラダラ書き連ねるような他の音楽評論家(まー、このページもそうなんだけどな(自嘲笑))と違い、まずはデータ、次にデータ、最後にデータといったデータ至上主義のようなお方であり、私のCD散策の際には非常にお世話になりました。

閑話休題。

まずそのメンツに『ム、ムハ?』とキちゃいますね。前述したP.Manzanera(G、ex.Roxy Music)、B.MacCormick(b、ex.Matching Mole)Charles Hayward(D、ex.This Heat)、Dave Jarrett(P)のメンバーに加え、ゲストとしてBrian Eno(Syn、ex.ENO)やIan MacCormick(Back-Vo)といった面々。ちょっと呼吸も荒くなっちゃうッつーもんでしょ(←バカ)。

このアルバムに収められている曲達は、もともと解散する以前のライブで練り上げられた曲ばかりという事で、アレンジや曲の表情、演奏などといったものも非常に高い完成度を誇っております。

そしてSoft Machineから多大な影響を受けていたとライナーにもあるように、見事なまでのカンタベリー・ミュージックに仕上がっております。「カンタベリー・ミュージックってのはどんなジャンルの事?」と聞かれたりしますと非常に困ります。カンタベリーミュージックの代表的なアルバムを2?3枚ほど聞いていただければ直感で分かって頂けるかと思うのですが、聞いた事の無い人には、そうだなぁ、「イギリスはカンタベリー周辺出身のミュージシャン達が入れ替わり立ち替わりバンドを組んで演奏するジャズ風味の濃いロック」こんな感じか?説明しようとすると難しいな、聞けば簡単なんだけども。

どの曲をとってもプログレッシブ・ジャズ・ロックであり、アメリカン・ロックでは決してあり得ない、イギリスの、いやヨーロッパの香り高い楽曲に仕上がっていると思います。M-1「Sol Caliente」からして「あぁ、ヨーロッパくさい(遠い目)」なんて浸っちゃうような曲、場面展開の目まぐるしさが破綻していないのは流石ライブで練り上げられた楽曲、といった所でしょう。

ピアノのリフの上でインプロヴィゼイション的な展開をみせるギターが妙にイイ味を出すM-2「Trumpets With Motherhood」、まるで初・中期のSoft Machineの様なジャズ臭の強い構成からいきなりギターが攻め立てまくるといったM-3「Bargain Classics」、一転してシンセの音がメロディアスで静かな展開をみせるM?4「R.F.D.」。

他にもM-5、6は高速なリフの上でその場面展開の早さが絶妙にカッチョ良い曲だし、唯一のヴォーカル曲ラストのM-7「Rongwrong」もステキ。ヴォーカル曲とかいっても9分半近くある曲中、ヴォーカル部はわずかなんだけども(笑)。しかもあんまりヴォーカル自体は上手いとは言えないし。

後述するP.Manzaneraのソロ「Diamond Head」とは同じ時期に制作され、双子のようなアルバムになっておりますが、双子のようでありながら対極をなす仕上がりとなっております。

しかしこのアルバムって今でも売ってるのかなぁ?いいアルバムなんだけどなぁ。



2008/5/19追記

世に出ていました「プログレ100選!」のような雑誌には必ずといって良いくらい掲載されていましたこのアルバム ?雑誌に載っていたからといって良いアルバムとは限りませんが? 、1970年代のプログレッシブ・ロックやそこを掘り下げたカンタベリー・ミュージック好きな方ならば是非マストで聞くべき音源かと思います。

上にも書きましたが、今でもCDは発売されているのかしら?なんて、HMVのサイトを検索してみますと、2008年6月20日に紙ジャケでリマスターされるとの事ですね。ジャケも太陽(?)のみに変更されているようです。別にエロいとか過激とかでは無いしオリジナルのジャケットで何の問題も無いように思うんですが、何でかね?

HMV : http://www.hmv.co.jp/product/detail/2722786

ついでにAmazonでも検索してみたところ、アーティスト名:Mainstream・アルバム名:Quiet Sun」のような感じで、表記が逆じゃね?Amazonさんトコだとたまに表記ミスとかあるよなぁ??

Amazon : Quiet Sun [Import] [from UK] ~ Mainstream (アーティスト)

ま、それはともかく。

そうそう、このアルバムを聞くのでしたら、P.Manzaneraの1stソロ・アルバム「Diamond Head」も是非合わせて聞いてもらいますと二粒で三度くらい美味しいかと。で、この手のアルバムを気に入っちゃうと、次はB.MacCormick繋がりでMatching MoleやRobert Wyattのアルバムを聞いてみようとか、Charles Haywardから自身のバンドThis Heatも聞いてみようとか、いやいややっぱりB.Enoを聞かなきゃ(以下略)などと、芋づる式に深みに嵌まっていってしまうプログレ連鎖を引き起こす可能性もあるんですよねぇ。私がそーでしたし(遠い目)

関連URL:(以下ブログ内リンク)
Phil Manzanera / 6pm
Phil Manzanera / 50 minutes Later

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

The Kinks / Schoolboys In Disgrace

不良少年のメロディ~愛の鞭への傾向と対策(K2HD/紙ジャケット仕様)
ザ・キンクス
ビクターエンタテインメント (2007-07-25)
売り上げランキング: 186593

Kinksのアルバムの中で言えば、取り立てて「名盤!」って推せる程でも無いんですが、なぜか昔から偏愛気味に聴きまくっている一枚。

このアルバム、RCAレコードに在籍していた当時、R.Daviesが何かに取り憑かれたようにハマッていたコンセプト・アルバム形式のラストの作品です。まぁ、「THE VILLAGE GREEN ?」からから始まったこの形式、徐々にアルバムの一表現としてのコンセプト・アルバムから、コンセプトのためのアルバム・曲という比重が強くなり、バンド・メンバーもホーン・セクションは何人もいるわ、女性コーラス隊もわんさかいるわと肥大の一途をたどり、ついに『Preservathion Act 1?2』でその内容やバンド編成も良くも悪くも頂点に達していました。

で、RCA時代のラストを飾るこのアルバムでは、バンドメンバーもDavies兄弟を含め5人に戻り、アルバムはコンセプト・アルバムの形態もとりつつも、曲はキチンとしたイカしたロック・ナンバーに仕上がっている所など、非常にバランスがとれた仕上がりになっていると思います。

このアルバムに収録されている曲自体はみんな小粒な作りなんですが、もちろんメロディは好いし、学生時代を取り扱ったコンセプト・アルバム形式もいい方向にハマッていると思います。

"Schooldays"で誰もが経験し、戻る事の無い学生時代のほろ苦い郷愁に誘われて、"Jack The Idiot Dance"でお馬鹿なロックンロールにはまって、"I'm in Disgrace"、"The Hard Way"でKinks流のロック。で、ラス2の"No More Looking Back"で『(過去の事なんて)振り返ったりはしないのだ!』と締めると。完璧でしょう、もう。

そうそう、このアルバム、タイトルの邦題も「思い出のスクールデイズ」や「愚かなジャック」、「不良の烙印」「振り返ったりはしないのだ」などなど イイ味のものばかりです。

そんな感じで、「このアルバムはもっと評価されて然るべき」なんて大層な事は言いませんが、それでも私の中ではかなり大事なアルバムの一枚です。「なんか良いアルバム無いかなぁ?」なんて思った時にこのアルバムの事が頭の片隅にでもよぎってもらえれば、これ幸いです。



2007/08/21追記

先日何かの雑誌中のKinks特集を読んでいたら、このアルバムで中心的な役割を果たす少年、実は成長してアルバム『Preservathion Act 1?2』中のかのMr.Flashとなる少年なのでした、ってな事が書かれており、びっくりしました。このアルバムを買ったのはもう15年以上前(←わはは、歳取る訳だ)の事でして当然日本盤などは無かったので輸入盤、加えて歌詞カードなどはほとんど読まない私ですので、そんな落ちがあるとは今の今まで気付きもしませんでした。

かくて『Preservathion Act 1』から『? Act 2』にまでかけて広げられた大舞台はこの『Schoolboys in Disgrace』をもってその円環を閉じたのでした、っていえば格好良いかもしれませんが、実のところはコンセプト・アルバムを偏執的・偏愛的に作り続けるRay Daviesにたいして弟Dave Daviesが「もういい加減にしてくれっ!」とブチ切れた(←これも上記雑誌中の記事からの記憶に基づく意訳ね)為にコンセプト・アルバム作りはこのアルバムで終了を向かえ、心機一転レーベルをアリスタに移しストレートなロック路線へと遷移していったらしいですね。そんな最後のコンセプト・アルバムで最後っ屁のようにそれまでの帳尻を合わせるなんざ、イカすぞ、R.Davies。

ほんとコンセプト・アルバム、というか劇中劇ならぬレコード中劇(?)に取り憑かれていたんだろうなぁ、この頃のR.Davies。でもそんなRCAレーベル時代のキンクスをこよなく愛しますけどね。

そうそう、邦題と言えばこのアルバムの邦題は「不良少年のメロディ ?愛の鞭への傾向と対策」というんですが、イヤ良い邦題ですよこれは。上でも書きましたが、私にとっては未だに愛聴し続ける大事なアルバム、ま、Kinksの主要アルバムを何枚か揃えた後でよろしいので、「次、何買おうかな??」となった時にはこのジャケットを思い浮かべてもらえるとこれ幸いであります。

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Bryan Ferry / Bete Noire

ベイト・ノアール(紙ジャケット仕様)
ブライアン・フェリー
EMIミュージック・ジャパン (2007-09-26)
売り上げランキング: 189718

Bryan Ferry(以下フェリーさん)の7枚目のソロ・アルバム。
(正しくは『B - e←上に^が付くe - te Noire 』となるのですが、文字化けする為、『Bete Noire』表記にしてあります)

世界的にもヒットした1985年発表の前作である6th『Boys And Girls』を受け、それ以上の期待を受けながら、そしてフェリーさん自身もそのプレッシャーを一身に受けながら製作したであろうアルバム、そのせいもあってか、このアルバムの中に収められた楽曲たちはむせ返るほどに緻密に濃密に構築されたものでした。

ジャングルの中で響き渡る熱病に浮かされたようなパーカッションを思い浮かばせる導入部から始まるM-1「limbo」、タイプライターの打音から始まり、リズミカルなギターとマルチトラックを活かしまくった音の広がりが印象的なM-2「kiss And Tell」など、アルバムの導入部から、この人を形容するのによく言われるダンディさからは一歩踏み外してしまったかのような、もう暑苦しいほどの音圧と濃密な構築さ加減。この導入部二曲だけでご飯お代わり出来るくらいの濃さ。

Roxy Musicの頃から培ってきた方法論にさらに80年代の味付けを過剰に振りまいたM-4「Day And Night」、あぁ、カッチョ良ぇ...。

ドローンとも取れるような低く澱むように流れゆくバックの上でフェリーさんの囁くようなヴォーカル・ワークと時たまつま弾かれるギターの音色が美しいM-5「Zamba」。アルバムの中でも中間部で濃い霧の中を抜け出したかのようなひと時を感じられる一曲です。

そこから一転して、エキゾチックな風味に濃く彩られたディスコティックで変な具合にアッパーになってしまったかのようなM-6「The Right Staff」。この楽曲には元The SmithのギタリストJohnny Marrがギタリスト兼共作者として名を連ねております。と言うよりも元はThe Smithの「Money Changes Everything」というインストゥルメンタル曲にフェリーさんが歌詞を付けたものとの事。HMVのサイトのここで視聴しましたが、ほ、本当だ??!!、へぇぇ、知らなかった。アルバムからの1stシングルにもなったようです。

まさに“ラス2!”といった楽曲のM-8「The Name Of The Game」、退廃的な気怠さの漂うフェリーさんらしい楽曲。これも素敵。そしてアルバムの締めに流れるヴィオラの調べが美しいM-9「Bete Noire」、アルバムのラストを飾るなかなかの佳曲。

前作『Boys And Girls』がまさにフェリーさんの目指す音楽の果実が完熟した瞬間をもぎ取ったものを詰め込んだアルバムだとすれば、このアルバムは枝に付いたまま完熟を通り越し腐る一歩手前までに熟しすぎたものが詰め込まれているように感じております。より濃密に、より濃厚に、より構築され、より隙間を埋め、より、より...。

フェリーさん自身は後年のインタビューなどでこのアルバムに対しては「テクノロジーに頼りすぎた」と述懐しているのですが、このアルバムのネットリとまで感じられる空気感や緻密を通り越した濃厚な作り込みには欠かせられないものだったのでしょう。

そして次作となるはずであり今現在まで完成されていない『Horoscope』の製作へと突入するのですが、『Boys And Girls』そして『B?te Noire』の完成度の高さとそれを上回らなければならないといったプレッシャーなどから6年以上も製作は難航し、その泥沼的状況から心機一転する為に製作されたカヴァー・アルバム『Taxi』、そして頓挫した『Horoscope』からの楽曲も含まれた久々のオリジナル・アルバム『Mamouna』へと繋がっていきます。

フェリーさん本人をしてそこまで追いつめてしまったのであろう高い完成度を誇る今作、「『Boys And Girls』に比べ、散漫である」やら「『Boys And Girls』の延長線上であり、面白みに欠ける」などといったレビューを雑誌などで見かけましたが、私にとってこのアルバムは上にも書いたように腐る寸前のネットリとした果実の如き止められない旨さを持つアルバムです。肉も腐る数歩手前が熟成が進んで最高に旨いって言うしね。

フェリーさんの作品の中でもひときわそのなめし皮に油を塗りたくったかのようなヌメリ感が強いこのアルバム、ぜひ聴いて頂きたい一枚であります。大好き。

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Kevin Ayers / Joy Of A Toy

おもちゃの歓び(紙ジャケット仕様)
ケヴィン・エアーズ
EMIミュージック・ジャパン (2004-02-25)
売り上げランキング: 142640

最初期Soft Machineのメンバー、にも関わらずツアーに疲れちゃったからバンドを離脱→イビザ島へ逃避行、なんていう素敵なエピソードに事欠かないK.Ayersの初ソロ作。

K.Ayersを知ったのは、多分B.Eno経由で「June 1,1974」からじゃなかったかなぁ?半隠遁中(←またか(笑))のK.AyersをB.Eno、J.Cale、Nicoらがコンサートに引っ張り出し、その4人+K.Ayersのコンサートではお馴染みだったO.Halsall、さらにはMike Oldfield(!)、Robert Wyatt(!!)などといった、ある方面の人達から見ると豪華極まりない垂涎のメンツで行われたコンサートの模様を納めたライブ・アルバムでした。これも闇鍋的雑多感とそれぞれの歌が聴けてご満悦に浸れる好盤。

今、よく思い出してみると、「June 1,1974」よりも先に「Sweet Deceiver」を先に買っていたかも。RCサクセションのムックの中で、G2(ゴンタ2号)のオススメ・アルバムに「Sweet Deceiver」が載っていて、それで買いに走ったんだっけかな?何だかすでに記憶がごっちゃ。

どうでもイイ話が続きましたな。閑話休題。

それから、K.ayersってちょっとイイかもなんて、ソロ・アルバムに手を出し始めたのですが、10年近く前の話なので、そんな当時にK.Ayersのソロなんて売ってない売ってない。さんざ探し回った記憶があります。洋楽の、それもメジャーとは言いにくいこの人の情報は数少なく、ネットなんてまだまだ、パソコン通信が全盛な頃だったので、ジャケを見てもどれが正規盤で、どれがベストで、どれがブートかなんてのも分からず、往生しましたね。

数多くのソロ作を出しているK.Ayersですが、なんといってもこのアルバムに尽きるのでは、と思います。よく「ソロ作にはその人の全てが詰まっている」なんて事が言われますが、このアルバムはまさにその通り、ジャスト・ミート。K.Ayersの後の作品全てのカケラ達がここに輝いていると言っても過言ではない程、K.Ayersの源泉と言える作品、それが「Joy Of A Toy」です。

アルバムの一発目を飾る、R.Wyattのドラムと能天気なホーンセクションで始まる素敵&のんき・ソング「Joy Of A Toy Continued」。これが一発目に来てる事で、イイ意味でヘナヘナと肩の力が抜け、スルッと次の「Town Feeling」へと入れる訳です。この流れは今聞いても絶妙。突き抜けて能天気だけども(笑)。

Ayers流ネジれていながら何故かのほほんなポップ・ソングの原点的な「The Clarietta Rag」、「Stop This Train(Again Doing It)」や、そのバリトンがかったヴォーカルと浮遊感漂うピアノやギターの音がたまらない「Girl On A Swing」、「Eleanor's Cake(Which Ate Her)」など、どれもこれもが名曲。

バック・バンドにSoft Machineを従えた「Song For Insane Times」は、初期Soft Machineがまだジャズに行き過ぎない程度のユーモア感とツボを押さえた演奏でAyersを支え、Ayersもそれに答えるが如く低音の魅力バッチリな素敵ヴォーカルを披露しています。これまた名演。

このアルバムのハイライトは何と言っても、後のライブでも繰り返し演奏される事となる名曲「The Lady Rachel」でしょう。ベースは牧歌的な曲でありながら、不安感を掻き立てるホーンとギターの音、ベース・ソロとそれら包み込むビヴラートがかかったAyersのヴォーカルが淡々とした歌い上げてゆく様がとんでもなく極上なこの曲、これを聴く為にこのアルバムを買っても決して損はしないと断言しますよ、えぇ。

牧歌的でありながら、切っ先が鋭かったり、ダークな音風景だったり、それでいて飄々としていて、なおかつノホホンだったり。「イェ??イ!!」なロックンロール的な格好良さとは別次元の、まさに「格好悪くて格好良い」「ダサいけどもスマート」な曲満載なK.Ayersのソロ作、どれでも良いから未聴の人には是非聴いて欲しいですね。その中でもこのファーストは特に「二重丸!店長オススメ!!」って感じです。

なお、最近再発された紙ジャケ+デジタル・リマスター盤にはSyd barrett(ex. Pink Floyd)と共演した「Religious Experience」や「The Lady Rachel」の別バージョンなど6曲のボーナス・トラックが追加されております。良い時代になったもんだ。



2007/08/18追記

このK.Ayersという人、雑誌などのカテゴリー的に言わせると“カンタベリー系”や“プログレッシブ・ロック周辺”となるらしい(日本でだけかな?)のですが、それってただ単純に元Soft Machineだったからっていうだけな理由が強いんじゃなかろうか?なんて思います。だってこの人のCD ー いや、昔っからだからレコードというべきか ー を聴けばカンタベリー系などではちっともなくって、ましてやいわゆるプログレでも無いし。

10CC、XTCやJellyfishなどに繋がっていくような、ごった煮のひねくれ極上ポップ・ミュージックにっていうのが私的には最も近いのですが、ま、雑誌やら放送媒体でそんな面倒な区分けするわけにいかないしな、仕方が内っちゃ仕方が無い。

プログレというよりも現代音楽の領域(ぶっちゃけて言えばアヴァンギャルドというよりも実験音楽)に踏み入った『Shoothing At The Moon』やプログレ的文脈を多用した『The Confessions Of Dr. Dream and other stories』などもあるので、プログレにカテゴライズされるのも止むを得ないかと思うのですが、やっぱファンとしては違うんじゃないかなぁ?と思いますね。

※個人的にはプログレ館にあるほうが他の買い物と一緒に一店舗で見て回れるので便利ではあるんですが、ま、それは置いといて(苦笑)。

新宿Disk Unionでも当然の如くプログレ館に鎮座ましましているK.Ayersのアルバム、プログレといって端っから遠ざけないでぜひポップ好きな人にはマストで聴くべきアーティストだと声を最大にして言いたいのであります。

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No-Man / Flowermouth

Flowermouth
Flowermouth
posted with amazlet at 08.11.29
No-Man
Snapper Classics (2008-10-28)
売り上げランキング: 842006

“Porcupine Tree”のSteven WilsonとTim Bownessのアンビエント・ポップ・ユニットである“No Man”の2ndアルバム3rdアルバム(2007/05/29訂正)。

ファミリー・ツリー的に言えば(←変な日本語だな)、元JAPANのRichard BarbieriやMick Karnなどがライブのサポート・メンバーを務めたり、No-manの他のアルバムにも数多くの貢献をしたりもしています。

もっとも、このアルバムの存在を知ったのは元Japanからの繋がりではなくて、このアルバムにゲスト参加しているRobert Fripp繋がりなんです。「またか」と思われましょうが、またかでも構いません!(キッパリ)。

丁度King crimsonが活動を再開するだの、しないだの言っていた1994年頃、そろそろミニ・アルバム「VROOOM」も発売されるという頃ですね、雑誌などの情報をひっくり返していた所、『R.Frippがイギリスの“No-Man”というバンドにゲスト参加している』らしいという記事が載っていた為、“No-Man”というバンドの事は1mmたりとも知らなかったのですが、日本盤も出ていた事もあり即購入。

当時King Crimsonの再結成を控えておきながら、当のR.Fripp御大は「課外活動」に莫大な精力を傾けておりまして、94年前後に発売されたアルバムだけでも、The OrbのAlex PatersonやTomas Fehlmannらとのユニット“FFWD”の『FFWD』、“Iona”『Journey Into The Morn』、“The Grid”『Evolver』、“The Future Sound Of London”『Lifeforms』などなど、その他にも山のようにゲスト参加しておりました。

私などは思わず「そんなアルバイトはいいから、頼むから本業(= King Crimson)のアルバムを早く!」などと叫んでおりましたが、その爆発的音楽衝動もKing Crimsonの活動再開の為の助走だったのかしらん。

閑話休題。

購入しCDプレーヤーに掛け一聴してみたところ、まさに「当たり!」となりました。良かった良かった。初期のDavid Sylvianなどの系統に繋がる、遅れてやってきた『ニューウェーバー』なヴォーカルとアンビエント・ポップ/エレクトリック・ポップ的なアプローチが私のツボにグッときました。

ゲスト参加したミュージシャンはは前述したRichard Barbieri(Electronics,ex.Japan)やRobert Fripp(G,Frippertronics ,ex.King Crimson)、そしてSteve Jansen(Per,ex.Japan)、Mel Collins(Sax,ex.King Crimson)、Ian Carr(Trumpet,ex.Nucleus)など、私的垂涎のラインナップ。ステキ過ぎる。

M-1からピアノやストリングス、I.CarrのトランペットやM.Collinsのサックス、そしてR.Frippのギター・ソロがT.Bownessのウィスパー・ヴォーカルと絡み合う9分を越す大作。場面場面の展開が矢継ぎ早になされるけれども、俗に言う『プログレ』的な大袈裟な展開ではなく、流れる水のような自然な流れとなっています。

エレクトリック・ポップさとアンビエント・ハウス的な語彙をもって作られたM-2やM-6、T.Bownessの耽美的なヴォーカルをメインに世界が繰り広げられてゆくM-3やM-7など、劇的な盛り上がりは無いものの染み入るような良い曲が揃っています。

劇的な盛り上がりが無いと上述しましたが、ラス2となるM-8ではR.Frippのギターが大盛り上がり大会、まさに吠えまくります。Lisa Gerard(Vo,ex.Dead Can Dance)の叫び上げるようなヴォーカルと、R.Frippの切り裂くようなギターをバックに曲は進んでゆくのですが、後半の3分間はまさにR.Frippのギター・ソロ&Frippertronicsの独壇場となります。

このアルバムの中でもFrippertronicsは色々な所で使われているのですが、D.SylvianやNo-Manの様なアンビエントなヴォーカルものには特によく合うようです。そして背骨を震わされるような『カッチョイイ!』としか言えないギター・ソロ、シビれまくります。

そしてM-9ではエレクトリック・ヴァイオリンが効果的に使われており、それと粘つくようなヴォーカル、ラストで展開されるロング・トーンなギター・ソロ、どれもが曲を構成する上で欠かせないものとなっており、ドラマティックな曲と成り得ています。

ラストを飾るこの2曲の為だけに、私にとってこのアルバムは手放せないものとなっております。

ただこれ以降のアルバムも何枚か購入したのですが、より内省的に・より耽美的に・よりアコースティックへと、内へ内へと籠もるような作品が多いように感じます。その内面へのエネルギーと外部からのゲストの指向性との掛け合わせから生まれるモノの力を「Flowermouth」では存分に感じられたので、今の傾向はちょっと勿体ないようにも感じられます。

今では日本盤もきっと廃盤になっているだろうし、そもそもCD屋さんにコーナーすら見かけないNo-manですが、見かけたら手に取って眺めるぐらいはしてみて下さいませ。特にR.Frippファンにとってはこのアルバム、「即買い」の域ですよ。

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2007/05/29追記
2006年のPorcupine treeの日本ツアーの前座を(もともとはProjeKct Six名義で参加のはずでしたが)Robert Frippが務めたり、R.FrippがS.Wilsonの事をベタ褒めしてたり、新作『Fear of A Blank Planet』にゲストとして参加したり、といったRobert FrippとPorcupine treeの中心人物Steven Wilsonとの濃い交流はこのアルバムから始まっていたのだと思います。

No-Man、Porcupine tree、etc...の事ならば何はともあれココ!といったサイト「Steven Wilson JPBO」さんの渾身のアルバム・レビューには

「One Little Indian の力の入れ方が窺い知れるが、既にこの時、 No-Man とレーベルの間には方向性の相違による亀裂が生じていた。」

とありますが、やはりレーベル側の描くNo-Man像とバンド、S.WilsonとTim Bownessらの描くそれとはかなりの乖離があったんでしょうか?確かにこの後のアルバム群ではこのアルバムにあったようなカラフルで落ち着きを伴った奔放さとでも言いましょうか、そんな万華鏡の中のようなきらびやかさが徐々に失われ、キリキリと絞り込まれるようなストイックなアンビエント・ポップへと移行していった様に思われます。

それらはそれらで好きだったりするのですが、私にとっての一番に挙げるべきNo-manのアルバムはやはりこの『Flowermouth』だったりします。

「R.Frippがゲスト参加してるからじゃねーの?」と言われるでしょうが、むしろそんな声には「あぁ、そのとーりだ!」と答えておきましょう(苦笑)。

それくらいに90年代に於けるR.Frippのゲスト参加アルバムでは重要な作品だと思います。シビれるくらいのロング・トーンのギター、まだ聴いていないコアなファンの方はいないとは思いますが、いたとしたら是が非でも手に取ってみて下さい、No-Manの創り上げる世界観とR.Frippのギターの相性の良さにシビれまくれること請け合いでごさいますよ。

そうそう、この『Flowermouth』のリミックス・アルバム『flowermix』が1995年に発売されております。

Flowermix
Flowermix
posted with amazlet at 08.11.29
No-Man
Hidden Art (2001-10-01)


『Flowermouth』に収められた楽曲達がバラバラに崩されドローンになめされきらびやかだったガラス片が押し潰され溶解され再構築された様はこのアルバムを気に入った方には是非聴いてもらいたいです。

2005年に再発された『Flowermouth』にはこのリミックス・アルバムから「Angeldust」と「Born Simple」がボーナス・トラックとして収められているそうです。元曲であるM-1「Angel Gets Caught In The Beauty Trap」をブロックに分け単調なビートで鞣し(なめし、って俺が読めなかったんだけれども)、T.BownessのヴォーカルもMel CollinsのサックスもR.Frippのギターをもパーツとして扱い再構築されたこのリミックス、なかなかに好きな楽曲。

「Born Simple」は果ての見えないような夜の海の鼓動を聴いているが如き暗いアンビエントな楽曲。R.FrippのSoundscapeと鼓動のようなビートが無機質に絡まる一品、「せっかくの『Flowermouth』をこのボーナス・トラックで〆て良いのか!?S.Wilson!」と問い詰めたくなります(笑)。

もひとつ追記として、このアルバムも「Flowermouth」というアルバム・タイトルも好きなのですが、このジャケット、冷たい空気と華やかでかつ張りつめたカラフルさが同居する素敵なジャケットが購入当時から好きだったのですが、よくよく見てみるとこのグラフィック・デザイン、King Crimsonの『紅伝説』などを手掛けたBill Smith Studio作でした。おぉ、良い仕事するな、Bill Smith!

つーか、追記が長いよ、俺(苦笑)。


関連URL:SWJPBO "Flowermouth"


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