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2006年大晦日、年末のご挨拶。

そんな訳で、もう大晦日ですよ。早いもんですな。
今年一年、って言っても北国tvからこのFC2にブログを引っ越してきたのは12月に入ってっからか、まぁとにもかくにも色んな方にお世話になりました。感謝感謝であります。

そうそう、私がブログのメインと勝手に思い込んでいるKing Crimsonのエントリー群、今の所はまだ『King Crimson / Three Of A Perfect Pair』で停まっちゃっていますが、以前のウェブ・サイト、ブログに載せた分も含めてオフィシャルに発売されたものは全て転載 or 掲載するつもりですので、亀のような歩みですが長?い目で(by 小松政夫)見てやっておくんなまし。来年三が日が明けたら『VROOOM』からまた始めます。

こんな調子で来年もやっていきますのでどうぞよろしくお願いをば致しますです、ハイ。来年も良い年になるとイイな。
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2006年・今年買って良かったアルバム、ベスト5枚。

そんな訳で年末も押しに押し迫った大晦日、ベタな企画ではありますが、2006年・今年買って良かったアルバムを5枚ばっかり選んでみようと思います。

Beautiful_Ride.jpg


Palmy / Beautiful Ride
タイの歌姫Palmyさんの3年弱ぶりになる3rdアルバム。

Palmyさんはもう大ファンでありまして、多分どんなアルバムが来ても「オッケー!!」と言い切る自信があります。そんなPalmyさんですが3年近くも音沙汰がなかったので、このまま新譜を聴けなくなるんじゃないかとまで思っていた所に発売されたのがこの『Beautiful Ride』。日本版も発売されちゃったり(偉いぞ、ユニバーサルミュージック)と勢いに乗っているPalmyさん、来年もまた良いアルバムを一つお願いします。

Storm Inside
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Laura Michelle Kelly
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Laura Michelle Kelly / The Storm Inside
元々はイギリスのミュージカル・スターでもあったLaura Michelle Kellyのデビュー・アルバム。

もともとがジャケ買いで最初は聴いてもピンと来なかったこの『The Storm Inside』でしたが、聴いているうちに徐々にいつの間にかハマってしまい、結局今回選んだ5枚の中でも1?2番目ぐらいに聴いたんじゃないかなぁ?仕舞いにはシングルCDとかまで買ってるし。

オフィシャル・サイトを覗いてもほとんど動きはなさそうなんですが、今後出るであろうセカンド・アルバムに大期待しております。

The_Cotswold_Gnomes.jpg


Robert Fripp & Brian Eno / The Cotswold Gnomes
DGM Live!からダウンロード販売が開始されたFripp & Enoによる未発表アウトテイク集。

もうこの人たちについては多くを語らずとも良いと思います。この二人が織りなす音のタペストリーはいつも興味深く刺激的なものであります。生きてて良かった。

ただねぇ、このジャケ。いつ撮られたのかは分かりませんが、この当時で多分60歳近い二人がコーヒー(?)を前に歓談するなんていうジャケット、あんま無いと思うぞ(笑)。

Three Part Species
Three Part Species
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Mick Karn
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Mick Karn / Three Part Species
「唄うベース」を奏でるベーシストMick Karn、2004年に発表された「More Better Different」から二年の時を経てのリリースとなる7枚目のアルバム。

まぁいつも通りのブビバビなベースが聴ければイイやと思って購入したのですが、意外にもM.Karnのコンポーザーとしての魅力を再認識させられたアルバムとなりました。国籍不明で歪んでいて踊れないダンス・ミュージックを装っていたり中近東風味だったり。でもそれらが幾重にも絡み合ってカッチョ良いアルバムに仕上がっていると思います。もうね、付いていきます。

True_love.jpg


Papermoon / True Love
2005年に発売されたPapermoonの5thアルバム、遠く海を越え山を越えたオーストリアからはるばるウチにいらっしゃいました。

10年前から探していたPapermoonのアルバム達、「Paper Moon」(←スペースあり、カナダのバンド)を買っちゃったりと色々間違ってはいましたが、ようやくネットで見つける事が出来購入しました。10年の歳月を感じさせるヴォーカルでしたが、アルバムの手触り感はやっぱり探し求めていたPapermoonでした。

このネット通販で学んだ事はオーストリーはやっぱ遠いんだなって事です(笑)。



来年も山ほどCDを買うのでしょうけれども、また良いCDに巡り合えたら良いなぁと今から思っております。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Papermoon / Christmas Unplugged

Christmas_Unplugged.jpg

オーストリーのポップ・デュオ、Papermoonのクリスマス向け企画アルバム、だと思います。

この人たちに関しては日本に於ける情報があまりにも少なくてよく分からないのが残念です。ちなみにGoogleで「Papermoon "Christmas Unplugged"」でググってみますと、

Apple - iTunes - iTunes Store - Charts - Top 10 Albums

の一件しかヒットしません。どういうこったい。で、そのリンク先に飛んでみますと、各国のiTunes Storeでのトップ10アルバムを表示したページに行き当たりました。クリスマス・シーズンという事もあり、祖国オーストリーでは第二位という人気アルバムなんですよ、ホントは。多分月が変わるとページも変わっちゃうと思うのでスクリーンショットを撮っておきました(↓)

Papermoon_Austria.jpg


「他のアーティスト、誰も知らんよ?」とかそう言うことは言っちゃダメですよ(苦笑)。

それと話はそれますが、iTunes Store。こんな他国のランキングを載せるくらいだったら普通に日本以外の国からも買わせてちょうだいよ、マジで。大人の事情があるのは分かるんですがオーストリーとかから通販するのはいつもながらにドキドキするんですよ。マジでお願い。

閑話休題。

「Winter Wonderland」や「Let It Snow」等のこの時期のスタンダード・ナンバーや「Amazing Grace」といったトラディショナル・ソング、そして以前のアルバム『The World In Lurcy's Eyes』に収められていた自らの楽曲M-9「On A Christmas Day」の新テイクや新曲M-10「On The Day Before Christmas」など、まさに「クリスマス!!」っていう楽曲で満載となっております。

M-9「On A Christmas Day」の新テイクは以前のものと比べてちょっとキーを落としているのかな、10年以上前の楽曲だしね。でもそれが良い方向に作用してよりシットリとした楽曲になっていると思います。

M-10「On The Day Before Christmas」は、今現在での最新オリジナル・アルバム「True Love」にもアルバムの最後に隠しトラック的に収められていましたが、それとは異なるこれも新テイクとなっています。隠しトラックの方を先に聴いていたので、Papermoonのデュオの片割れChristof Straubのバッキング・ボーカルが入っていないのにちと違和感があったり。イヤ、今作の方が楽曲としてはまとまっていて完成度は高いんですが。

どの曲もPapermoonらしいフォーキーなアレンジの上でヴォーカルを務めるEdina Thalhammerの女性らしい暖かみのあるたおやかなヴォーカルで歌われており、寒い季節にホッと暖まれる、そんな楽曲に仕上がっています。

目玉といえるのかな、M-11にはWham!の「Last Christmas」、そしてラストのM-12にはもう今ではスタンダードといっても過言ではないJohn Lennon「Happy Christmas」のカバーが収められています。Papermoonを知らなくってもこの二曲は誰もが知るクリスマスの定番曲、これが入っている事で知らない人も聴きやすいアルバムになっているんじゃないかな?

繰り返しになりますが、まさにクリスマスにドンピシャなこのアルバム、私も珍しく季節ものとも云えるこのアルバムを然るべき季節に聴こうと12月の頭にネットで注文したのですが、私の手元に届いたのは12月29日。

クリスマス過ぎてるじゃん!!

いや、オーストリーが遠いのは分かるんですが、もうちょっと空気を読んでくれ(苦笑)>Diabolo records様(←ネット・ショッピングしたCD通販会社ね)。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Papermoon / True Love

True_love.jpg

2005年に発売されたPapermoonの5thアルバム、遠く海を越え山を越えたオーストリアからはるばるウチにいらっしゃいました。

Papermoonはメイン・ヴォーカルを務めるEdina Thalhammerとギター&作詞作曲を務めるChristof Straubの二人からなる男女のデュオでありまして、その昔には日本盤のCDも出ていたユニットであります。「Papermoon / Tell Me A Poem」のエントリーにも書いたように、もう10年近く前にこの人たちのCDを買い求め、今になってようやくPapermoonの「その後」を聴く事が出来ました、感慨深いです。

パッと聴いた瞬間にはE.Thalhammerのヴォーカルは、セカンド・アルバム「The World In Lurcy's Eyes」やサード・アルバム「Papermoon」で聴く事の出来たような柔らかい毛糸のようなホワッとした部分が幾分無くなって、ちょっとばかり枯れた味わいが前に出てきたように思えました。9年も経てば声質もそれ相応に変わるもんですね。でもそれがアルバム全体により落ち着いたトーンを与えていると思います。

Papermoonと言えば、ヴォーカルのE.Thalhammerの声も重要ですが、ほとんどの曲の作詞作曲を務め、バックでアコースティック・ギターをつま弾くC.Straubの作り出すアコースティックで軽やかなフォークとポップの混ざり合った世界観、それらが合わさってPapermoonというデュオが出来上がるのであって、どちらが欠けてもPapermoonの味わいは消え去ってしてしまう事でしょう。

まだこのデュオのアルバムを時系列に沿って聴けていないのではっきりとは判りませんが、この一個前の4thアルバム「Come Closer」を一聴した所、基本的な所はやっぱりPapermoonだなぁとは思うのですが、デュオというよりはバンド・アンサンブルに近いような演奏・楽曲になっていたり、アップテンポな曲が多くてアコースティックさがちょっと後ろに下がっていたように感じたため、その後に製作されたこのアルバムは私が知っているPapermoonに立ち返ったようなふうにも感じました。「Come Closer」もまだザックリとしか聴いていない為、これから聴き込むつもりです。

以前のアルバムでも聴く事の出来た懐かしい感じのするアコーディオンの音色に乗って始まるM-1から、もうね、「あぁ、待ってたよ?」っていう、どれも派手さはないのだけれどもしっとりと落ち着いていて、ちょっと古い物言いになりますがまさに「癒し」のアルバムになっています。

ヴォッサなリズムに乗ってドイツ語で唄われるM-4やカントリーフォーク調なM-6、フランス語のような抑揚のドイツ語(←変な言葉遣い(笑))で唄われるフレンチ・フォークのようなM-7、スパニッシュに高らかに歌い上げるKederoというゲストシンガーをフューチャリングした異色な曲M-8など種々雑多な感じはしますが、キチンとアルバムの個性が作りあげられているのはやっぱ良いなぁとしみじみ感じました。

M-11にはファースト・アルバムに収められていた「Tell Me A Poem」の2005年版というのが収録されていますが、持っていない筈のファースト・アルバムの曲を何故だか知っているので以前のアルバムを見返してみた所、「The World In Lurcy's Eyes」日本盤にヴォーナス・トラックとして収録されているからでした。

で、その曲が終わって20秒のブランクの後に隠しトラックである「On The Day Before Christmas」が挿入されています。これも良い楽曲です。この曲はついこの間発売されたらしい6thアルバムになるのかな、「Christmas Unplugged http://www.papermoon.at/christmas-en/」というアルバムに収められているようです。こっちも一緒に買っておけば良かった。どうもクリスマス向けの曲ばかりが収録されたアンプラグド・アルバムらしいですし、クリスマス向けのCDが一枚たりとも無い私の部屋にはうってつけのアルバムかもしれません(苦笑)。

オーストリアとかドイツとかあっちの方を考えますと、日本ではCANやK(C)lusterやNeu!、Ashraなどの難儀ぃなジャーマン・ロックばかりが頭に浮かびますが(イヤ、それの方が慣れ親しんでいて好きなんだけれども)、やっぱ普通のポップもあるんだよね、当たり前なんだけれども。

オーストリアから直輸入しろとは決して言いませんが、向こうへ旅行した時などには御土産に是非どうぞ。←どんなオススメの仕方なんだよ(笑)。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

XTC / Apple Venus Volume 1

Apple Venus, Pt. 1
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XTC
TVT (1999-02-23)
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前作「Nonsuch」から早7年、そういやXTCって解散しちゃったんかなぁ?と不安になり、というかそう思っていた所に発表されたのがこのアルバムでした。

Apple Venus Volume 1

1 : River Of Orchids
2 : I'd Like That
3 : Easter Theatre
4 : Knights In Shining Karma
5 : Frivolous Tonight
6 : Greenman
7 : Your Dictionary
8 : Fruit Nut
9 : I Can't Own Her
10 : Harvest Festival
11 : The Last Balloon

「Nonsuch」がいかにもXTCらしい、悪い意味での(笑)“まさに英国!!(←イギリスではなくってね)”といった、ヒネくれていつつもキュンとくるようなポップ・ソング爆発だったので、今度はどんなXTC流ポップを聴かせてくれるかと大期待していました。で、発売と同時に購入したのですが、ワクワクしながら箱を開けて見たら、予想はだいぶ裏切られました。それはもちろん良い意味での裏切りでしたが。

曲調は以前のものとはだいぶ違うものだし、オーケストラやストリングスを大いに活用していて、従来のバンド・サウンドとはまた違ったりもしていますが、アルバムのそこかしこから、まさに匂い立つ薫り、そしてその手触りはまさにどれをとってもXTCにしか出し得ない、上質の『ポップ・ソング』そのものです。

上記にも書いた通りに、大胆にオーケストラ・サウンドを導入し、時流におもねる事なく我が道を行くといった宣言しているかの如き、美しき“River Orchids”や“Easter Theatre”、耳に馴染みの良いギターと美しいコーラスを聞かせる“I'd Like That”、アコースティックなギターに乗せて淡々と、そして情感がたっぷりと込められ歌われる“Your Dictionary”などなど、どれもこれも美しい珠のような楽曲群。どれもこれもが美しいです。

パンクだったり、ニューウェイブだったり、ダブだったり、ブリティッシュ・サウンドだったり、その時々で姿や表現方法を変えつつも、変わらないXTCのXTCたるものがこのアルバムにも確実に存在します。言葉には表す事の出来ない、なんていうかXTCのDNAが。

この「Apple venus」は、ロックやポップ・ソングはティーンエイジャーの為だけにあるのではなく、20代後半、30代以降、そしてもっと言えば中年層の耳に耐えうるだけの強度を持った『ポップ』は存在し得るんだと強く実感させられる、大人の為のロック・アルバムであり、ポップ・アルバムでもあります。

雨に打たれ、ショボくれた背中を見せつつも、絶望などはせずに上を向きながら歩を進める優しきオジサン、そんな感じかな。

“This is Pop”!! ?「White Music」より。



2006/12/29 追記

このアルバム製作中にたった3人のメンバーしかいないバンドからDave Gregoryが音楽の方向性の違いという事から脱退、とうとうデュオになってしまったXTCですが、Andy Partridgeが大半の曲を書き歌い、たまに2?3曲の曲をCokin Mouldingが歌う、もうそれでいいです。解散したり、アルバムを作らなくなったりしなければ。

あ、でも、同時期に創られ二枚組みで発売しようとしたら資金不足で断念、アコースティック編とエレクトリック編とに分けてこの後に発表された双子的なアルバム「Waspstar」までは良かったのですが、そのまた後にワサワサと、ホント雨後の筍のように出された『Apple Venus』や『Wasp Star』のインストゥルメンタル・アルバムだったり、デモ集だったり、アウトテイク集だったり...云々。そう云うのはもういいですから、そろそろ良いレーベルととパトロンでもみっけて(笑)オリジナル・アルバムをお願いします。

パンク/ニュー・ウェイブ期にデビューした為、それらの括りに入れられがちなXTCですが、デビュー当時も『English Settlement』の頃もこのアルバムでも一貫して時流を読むとか流行りに乗っかるなんていう世間の風潮からはまるで離れたところで、自らの音を創り続けてきたこのバンド、大好きであります。

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Brian Eno / Another Green World

アナザー・グリーン・ワールド
ブライアン・イーノ
EMIミュージック・ジャパン (1996-07-24)
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ヒリヒリと神経を逆撫でされるような、よじれたポップさが全開だった前作『Taking Tiger Mountain (By Strategy)』から一転、ポップ的語彙から一歩引き下がり、後のアンビエント・ミュージックへの移行を予期させる、深い霧の中のような音空間が繰り広げらる珠玉の一枚。

Another Green World (1975)

1 : Sky Saw
2 : Over Fire Island
3 : St.Elmo's Fire
4 : In Dark Trees
5 : The Big Ship
6 : I'll Come Running
7 : Another green World
8 : Sombre Reptiles
9 : Little Fishes
10 : Golden Hours
11 : Becalmed
12 : Zawinul/Lava
13 : Everything Merges With The Night
14 : Spirits Drifting

P.Jonesの蛇がのたくり回るようなベースとEnoが鋸のようなギターに導かれて始まる“Sky Saw”から始まり、不安を際限なくかき立てられるような、まさに後に発表される「Music For Films」に入っていてもおかしくないような映画音楽的な“Over Fire Island”、“In Dark Trees”、“Another Green World”等のインストゥルメンタル曲達、ポップでいながらも全く浮つく素振りも見せず飄々と、そして時折鋭角なサウンドが奏でられる“I'll come Running”や“Golden Hours”等のヴォーカル曲。

 半分以上がインストゥルメンタルの曲で占められていますが、それらの合間合間にフト顔を覗かせる艶のあるEnoのヴォーカルとのバランスが非常に優れていて、Enoが後に傾倒していく事となる『アンビエント・ミュージック ?環境音楽? 』の世界観をロックやポップなどのボキャブラリーをもってして作り上げしまったこのアルバム、まさに名作だと思います。

 このアルバムは何といっても、M-3「ST. Elmo's Fire」にトドメをさすのでしょう。艶やかで丸みを帯びたEnoのヴォーカルに、まるでこのギター・ソロを使いたいがためにこの曲が作られたとしか思えないRobert Frippのギターが絡みつき、螺旋状に上り詰めていく様は、もう美しいとしか言いようが無いです。

 この曲の後半はほぼR.Frippのギター・ソロに焦点が当てられ、って言うかもうそれのみ。またこれがR.Frippが自分のパーマネント・バンドであるKing crimsonでは抑え気味なギターをそれこそ惜しげも無く弾きまくる様には、ファンならずともイキまくる事請け合い。

 この曲を聴くためにこの一枚を買っても、惜しくない...はず。



2006/12/28 追記

以前書いたエントリーでは「惜しくない...はず。」なんて書きましたが、惜しい筈ありません、むしろマスト・バイなアルバムです。今の時代に聞いても全く古びていない...なんてよく聞く言葉ですが(笑)、まさにその通りで当時においても現代においてもこのアルバムで示される実験的且つ普遍的なポップ/ロック・ミュージックへのアプローチは今でも色褪せていないと断言します。

音響系やテクノ/アンビエント好きはもちろんの事、ロックやポップ好きな人にも是非聞いてもらいたい1枚であります。

Brian Enoの事ならばココといつも参考にさせてもらっている「ENO:ENO」さんの掲示板の過去ログを色々遡って読んでいたところ、Brian Enoの希代の傑作「Another Green World」のジャケ絵のオリジナルのアドレスが貼り付けてあるのを発見いたしました。

それがココ。

Tom Phillips: Paintings & Drawings: The Golden Section (After Raphael, etc.)

グハ??、スゲェ!!

あの絵をこのアルバムのジャケット(↑上のジャケ参照)のようにトリミングしていたとはちょっと驚きました。

他にも興味深い作品が多いので、興味があれば是非行ってみるヨロシ。

関連URL:The Tom Phillips Web Site

犬壱さんのサイト ENO:ENO

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King Crimson / Three Of A Perfect Pair

Three of a Perfect Pair: 30th Anniversary
King Crimson
WHD (2006-03-14)
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同じメンバーで製作されたのが3枚目となる、第4期クリムゾンのラスト・アルバム。

King Crimson line-up 4
第4期クリムゾン

Three Of A Perfect Pair : スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー
10th album : 1984

Side A
1 : Three Of A Perfect Pair : スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー
2 : Model Man : モデル・マン
3 : Sleepless : スリープレス
4 : Man With An Open Heart : マン・ウィズ・アン・オープン・ハート
5 : Nuages(thet Which The Passes;Passes Leke Clouds) : ヌアージ

Side B
1 : Industry : インダストリー
2 : Dig Me : ディグ・ミー
3 : No Warning : ノー・ウォーニング
4 : Larks` Tongues In Aspic Part III : 太陽と戦慄 パート3

Personal :
Adrian Belew : Voice,Fretted and Fretless guitars
Robert Fripp : Guitar
Tony Levin : Bass,Stick and Background Voice
Bill Bruford : Acoustic and Electric Drumming

前作よりは4人の均衡を取り戻したように感じられつつも、「ディシプリン」時にあったバンドとしての強固な結束は見られず、全体として出来不出来の差が激しいデコボコとした印象のあるアルバムだと思っています。

この時期や第5期のライブにおいても、重要な位置を占めることとなる楽曲の「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」や「スリープレス」などは、普通に造れば単純なポップ・ソングになるはずの曲に、無理矢理ともいえるようなこの時期特有のリズム&ギター・フレーズを叩き込んで、クリムゾン流ポップ・ソングの解釈と言えるヒネったポップに仕上がっています。この2つはこのアルバムの中で飛び抜けて(って言うか、ほかの曲のレベルが低すぎるのでっていうのも、勿論あるんだけれども(苦笑))優れた楽曲となっています。

「ノー・ウォーニング」は当時のライブで、R.FrippがFrippertronicsを一人奏でるところから始まり次第に他のメンバーが出てきてフリーな音を重ねていくといった、トップを飾るインプロヴィゼイションとなっており、フリーな骨組みだけを持ったインプロ向けの曲となっています。

ただし、これ以外の楽曲が個人的にどうしても好きになれないんです。どれもクリムゾンの水準に満たない楽曲としてしか思えません。「インダストリー」?「ディグ・ミー」の流れはインダストリアル・ミュージックのクリムゾン流解釈とも言えなくもないんでしょうが、こー言っちゃぁ身も蓋もないと思うんですが、生理的に嫌い。

クリムゾン・ファンなら誰もが注目するであろう「太陽と戦慄 パート3」。この曲は「太陽と戦慄 パート1,2」をエッジを立てて音の整理をキレイにまとめ、第4期クリムゾン流の解釈をしたもの...と言いたいところなんですが、曲のラストがダダ漏れのような締まりの無い、ノペ?とした感じの終わり方になってしまっているため、曲がどうにもこうにも非常にユルいものになってしまっています。曲のラストがビシッと決まっていれば、この曲は「太陽と戦慄」の正当な第3作目となっていたんじゃないかと思える、「終わりよければ総てよし」の逆がピッタリ当てはまるような非常にもったいない感じの一曲。

よく言われるように「三部作にて終わらせるつもりだった」らしく、このアルバムにて、いつの間にか第4期キング・クリムゾンは解散してしまいました。

と、思っていたら。



2006/12/27 追記
King Crimson30周年記念リマスター・アルバムとしてこのアルバムが発売された際に、完全未発表曲としては「Industrial Zone A」「Industrial Zone B」「Sleepless (Tony Levin Mix)」の3曲、またシングル「Sleepless」に収められていたミックス違いが2曲、既出の「The King Crimson Barber Shop」の計6曲がボーナス・トラックとして収録されておりました。

「Industrial Zone A」「Industrial Zone B」の2曲はこの時期の数少ない録音されたインプロ曲であり、聴けるだけでもありがたやって感じです。長いインプロの一部を切取ったようなものなので、このインプロ、たぶん全編延々と聴き続けても私的にはオッケーです(笑)。

このアルバムは私がKing Crimson初体験したアルバムでして、それは別にイイんですが、この次に買ったのが確か『In The Wake Of Poseidon』、『Three Of A Perfect Pair』との落差にがく然とした思い出があります。「同じバンドなのになんでこうも違うの!?」

でもまぁ、あんまり小さい事には拘らないといいますか、どうでも良く感じちゃう方なので、その後もボチボチとアルバムを集めてました。そういや『Red』は後輩から1,000円で買ったんだっけ、今思い出した。

その当時、こんなサイトを立ち上げるなんて夢にも思っていませんでした。友人宅で他のアルバムは聴いてはいましたが、自分で購入した『Three Of A Perfect Pair』と出会っていなければ、今みたいにKing Crimson・R.Fripp関係で散財していなかったのかなぁ?、なんて遠い目をしてみたり。

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King Crimson / Beat

Beat
Beat
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King Crimson
Warner Bros. (2005-09-13)
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前作と同じメンバーで製作されたアルバムなんですが、実は2枚続けて同じメンバーで製作されたアルバムは、クリムゾンでは初めてのものとなります。

King Crimson line-up 4
第4期クリムゾン

Beat : ビート
9th album : 1982

Side A
1 : Nael And Jack And Me : ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー
2 : Heatrbeat : ハートビート
3 : Sartori In Tangier : サートリ・イン・タンジール
4 : Waiting Man : ウェイティング・マン

Side B
1 : Neurotica : ニューロティカ
2 : Two Hands : 2つの手
3 : The Howler : ザ・ハウラー
4 : Requiem : レクイエム

Personal :
Adrian Belew : Guitar,Lead Vocal
Robert Fripp : Guitar,Organ,Frippertronics
Tony Levin : Stick,Bass Guitar,Support Vocal
Bill Bruford : Drumming

前作での高い位置での目標達成後、どうやら同じ目標をより高い位置にて設定するといったバンドとしての機能は失われ、極端に言ってしまえば、バンドは破綻しつつある状態であり、まとまりの無さと水準の低さを露呈しているアルバムとなってしまっています。また、A.Belew色の非常に濃い、不器用なニュー・ウェイブの音が前面に出張ってきており、楽曲のスケールも小さく小さくまとまってしまっています。

確かに、ツイン・ギターの対比の効果が面白い「ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー」や、前作の「セラ・ハン・ジンジート」がよりネジ曲がって進化したような「ニューロティカ」などは、水準以上のかっちょイイ曲に仕上がっていますし、「サートリ・イン・タンジール」はこの時期の奏法にピッタリとマッチしたエキゾチズムの花満開の文句なしの佳曲に仕上がっています。

このアルバムでのハイライトは「レクイエム」でしょう。R.Frippの不安げなFrippertronicsから次第に4人入り乱れたフリーに近いインプロビゼイションへと雪崩れ込んでいく様は興味深い仕上がりとなっており、また、第3期のインプロに近いものを感じさせます。

ただし、第3期のインプロとの決定的な差は、この曲が広いスケール感を描き出そうにも、その景観を構成する要素がミクロ的なものでしかないため、パソコンのチップの内部を覗いているようにしか思えないところだと感じています。

う??ん、この曲、どっちかって言えば好きなんだけど、クリムゾン全体を見渡すとこういう意見にならざるを得ないのがチトつらいとこです。

他の曲はどー考えてもクリムゾンの水準には遠く及ばないものにしか出来上がっていないし、「ハートビート」などは、いくら「歌詞なんてどうでもイイ」という私でもそりゃ無いだろと思うような、何のヒネリもない直球ド真ん中なラブ・ソング。しかし、R.Frippはいざ知らず、A.Belewは非常に気に入っているようで、自分のアルバムにもソロ・バージョンを収録しているし、その後のほとんどのライブにても演奏される代表曲となっています。でもねぇ、これはクリムゾンじゃないと思うよ。

言っちゃえばこのアルバム、「A.Belew With His Band」とも言えるくらい、彼の発言力が強まり、4人の均衡はどこへやら消え去ったかのように思えます。R.Frippにはあまりやる気は伺えないし。

このアルバムは世間的に評価が低くてもしょうがないアルバムだと思います。



2006/12/26 追記
このアルバムについてはそんなに追記する事も無いんですよね。上みたいな感想ですし。

私としては
他のKing Crimsonのアルバム群>>>>>>>>>>>>>>>>>>『Three Of A Perfect Pair』>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>『Beat』>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>『Lizard』

な感じです。上・中位はその時々によって入れ替わりはしますが、下位の3つ『Three Of A Perfect Pair』、『Beat』、『Lizard』の三枚は位置固定といった感じです。このアルバム達が好きな人、誠にスマンです。

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King Crimson / Discipline

Discipline
Discipline
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King Crimson
Discipline (2005-06-28)
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Frippの解散宣言をもって消滅したはずだったクリムゾンの、まさかの再々デビュー作。

King Crimson line-up 4
第4期クリムゾン

Discipline : ディシプリン
8th album : 1981

Side A
1 : Elephant Talk : エレファント・トーク
2 : Frame By Frame : フレイム・バイ・フレイム
3 : Matte Kudasai : 待って下さい
4 : Indiscipline : インディシプリン

Side B
1 : Thela Hum Ginjeet : セラ・ハン・ジンジード
2 : The Sheltering Sky : ザ・シェルタリング・スカイ
3 : Discipline : ディシプリン

Personal :
Adrian Belew : Guitar,lead vocal
Robert Fripp : Guitar and devices
Tony Levin : Stick,bass guitar,support vocal
Bill Bruford : Batterie

もともとは、R.FrippがA.Belew、B.Bruford、T.Levinを召集しバンド「ディシプリン」をスタートさせたものの、その後同バンドはキング・クリムゾンと改名しアルバムを製作することとなりました。

このバンドも“キング・クリムゾン”などとバンド名を変更せずに「ディシプリン」という名で活動していれば、当時のニューウェイブの波に乗り、バンドのレベルにあった正当な評価を得られたと思います。改名したおかげで、過去のクリムゾンとはあまりにも音楽の方向性が違いすぎるということから、クリムゾン・ファンからは徹底的に無視されていました。

実際、この時期のクリムゾンの紹介となると、雑誌などでは「?81年に再結成されたがあまりパッとしなかった」的にサラッとした流したものが多かったし、インターネットでのクリムゾン・ファンのWebページなんかを見ていると「宮殿」から「レッド」までを論評し、ディシプリンなどはすっ飛ばして、次はいきなり「ヴルーム」へと飛んでしまうといったものも幾つかありました。そんな露骨に無視しなくてもいいじゃないっていうくらいの、気持ちイイ無視っぷり(苦笑)。

ただし、それは現行ラインナップのツアーやそのライブ・アルバムで、この時期の楽曲が数多く演奏され、それ自体の強力さが再び提示されたことや、新曲においてもディシプリンの頃に培った音楽の語法が数多く見られたことなどから、第4期の純粋な楽曲としての良さが改めて認識されつつあるようです。

まぁ、実際にリアルタイムで第3期から第4期へと聴き続けていたならば、そんな拒否反応が起こるのも仕方ないかなとも思います。ただ、クリムゾンが属する(といわれている)「プログレッシブ・ロック」というジャンルのの定義が、その言葉通りの「前進し続けるロック」というとても広い意味から、「予定調和・中世を思わせるもの・クラシック的・曲が長い・おとぎ話を思わせたり、自己陶酔な難解な詞の世界・etc...」などのように語彙が極めて浅く狭められて認識されている点も、この時期のクリムゾンが長い間徹底的に無視されたひとつの原因ではないかと思われます。

たぶん、この曲を一発目を持ってきてしまったがゆえに過去からのファンの反発をより強めたんじゃないかと思われる「エレファント・トーク」は、T.Levinのスティックの奇妙な音や、R.FrippとA.Belewのギターの対比が非常にスリルあるものに仕上がっています。特にA.Belewのトレードマークである象の鳴き声「パオパオ」ギターが炸裂しており、トリッキーな印象のみ強調される曲ですが、楽曲の骨組みはすごく良いものであり、それは第5期のライブでも証明されていました。

そして、よりいっそう二人のギターの対比のコントラストが非常にグッとくる「フレイム・バイ・フレイム」、ライブ時のインプロ向けの楽曲としてフレキシブルな構成が重視されたと思われる「インディシプリン」、曲の疾走感がたまらない「セラ・ハン・ジンジード」など、純粋にロックの新しいカッコ良さが堪能できるアルバムに出来上がっていると思います。

そしてBrufordのパーカッションとBelewの高らかに鳴り響くギターが光る「シェルタリング・スカイ」を経て、このアルバムの目玉である「ディシプリン」へと続きます。ガムランを思わせる複雑な調子のツインギター、その裏で実はギタリスト以上に自由闊達にうごめき回るT.Levinのベース、ボトムにてリズムを正確に支えるB.Brufordのドラムなど、4人の高度なテクニックを堪能できるとともに、ガムランのリズムをベースにミニマルな音作りをしているんですが、決してダラけたミニマル・ミュージックにはなっておらず、しっかり「ロック」として成立しています。 「ディシプリン」における、細かいリズムが繰り返し繰り返し重ねられ、螺旋状に上昇・下降する様は、何度聴いても背骨がむず痒くなるような快感を覚えます。誰がどう言っても、もうこのアルバム、というかこの時期のクリムゾンはこの曲で決まりでしょう。

これ以降のクリムゾンではほとんどの作詞をA.Belewが担当しているんですが、実はバンド自身、もっと言えばR.Fripp自身がツイン・ギター、スティック、ドラムによる『音』のダイナミズムこそがクリムゾンであると考えているんじゃないかと思われるほどに、以前に比べ「詞」の重要性は失われている気がします。「詞」はあればいいんじゃない?っていうくらいな。ま、それでも、ヴォーカルも楽器の一部としてしか考えていないわたし的には、そのことはあまり関心事ではないんですが、「混沌こそ我が墓碑銘」や「星なく聖なる暗黒」という言葉の象徴性を重んじる、それまでのクリムゾン・ファンにとっては許しがたいことじゃないかと思いますがね、なんせ、「エレファント・トーク(無駄話)」だもの、神秘性もへったくれもあったもんじゃない(笑)。

何かと批判の多い「ディシプリン」・「ビート」・「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」の3枚を製作したこの時期のクリムゾンではありますが、この「ディシプリン」だけは今も輝き続けるクリムゾンのトップ・クラスのアルバムだと思います。この時期を無視し続けている人や、「クリムゾンは『スターレス』で終わらなければいけなかったのだ」なんて言っている人たちは、多面体であるクリムゾンのある一面しか見ることが出来ていないように思え、非常にもったいないと思います。この時期の3枚のうち、このアルバムだけでも偏見を持たずに聴いてみれば、隠れた宝石が見つかると思いますよ。

...ん??、ただねぇ、この調子であとの2枚のアルバムも造ってくれていたなら、何にも言うことはなかったんだけどねぇ...。



2006/12/25 追記
この時期のライブはKing Crimson Collectors ClubやDGM Live!等でも購入出来るようになり、King Crimsonを名乗る前段階のバンド「Discipline」名義のライブ音源も手に入れられるようになりました(→The Collectors' King Crimson Volume Four「Discipline / Live At Moles Club 1981」)。いやはや、長生きしてみるもんですよ、本当に良い時代になったなぁ。

この時期のアルバムではR.FrippとAdrian Belewのツイン・ギターの事が話題に上ったり、Bill Brufordのシモンズ・ドラムの事が話題になったりしますが、もう一つ忘れちゃいけないのがTony LevinのStick、そしてT.LevinのそのStick捌きでしょう。まず始めて見た時の見た目インパクトは結構デカイものがありました、「何だこれ、どこの民族楽器?」なんて。

ギターからベースの音階を8?12弦でまかない、奏法としてはギターというよりも打楽器に近いようなタッピングが中心となるこのStick、まだStickの会社自体は1974年に設立された若い会社であり、若い楽器のようであります。そんなStickをステージ上で大股おっ広げて弾きまくるT.Levinの雄姿には痺れますよ。

T.Levinはベース(ドラムのスティックを指に括り付けてパーカッシブにベースを奏でる"Funk Fingers"なんてのもこの人の得意とする奏法ですな)とStickを要所要所で使い分け、二人の個性的なギタリストの裏で格好良くしかも複雑な演奏を、でもホントは「実はこの人が一番好き勝手に弾いているんじゃないか?」とまで思ったほどに自由闊達に演奏を繰り広げております。

この人のオフィシャル・ページ(日本語版はこちら)を見ても分かる通りにユーモア溢れる人物であり、スタジオなどではR.FrippとB.Brufordらが喧々諤々の音楽論争を繰り広げ始めたりすると「俺、そういうのは分かんないからスタジオから出てっちゃうんだよね(意訳)」との事、わはは、イイ話だ。

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Chris Botti / December

ディセンバー
ディセンバー
posted with amazlet at 08.12.02
クリス・ボッティ
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル (2002-11-20)
売り上げランキング: 172742

2006年、今年のクリスマスに相応しい一枚をあげてみようというわけで、今年はこのアルバム。トランペッターChris Bottiの2002年に発表されたアルバム。

この人との出会いはいつも通りにクリムゾン絡みになっちゃうんですけれども、Bill BrufordとTony Levinの二人が中心となったバンド「Bruford Levin Upper Extremities」にギター奏者のDavid Tornと共にトランペッターとして参加していたところからでした。その時からこの人ちょっとカッコいいぞと云う事になり、ソロ・アルバムを見つけるたびに買い続けてきました。

どうもレーベル側としてはC.Bottiのクリエイティブな側面よりも、スムース・ジャズを奏でるイケメントランペッターとして売り出したいようですな。他のアルバムなどのジャケットは女性を片手に抱きながらトランペットを吹いているジャケットなんてのもあったし。ワハハ、素敵だ。

それはともかく。このアルバムにはM-2「First Noel」やM-12「Silent Night」等のトラディショナル・ソングやM-3「Let it Snow,Let it Snow,Let it Snow」M-4「Hallelujah」やM-6「Santa Claus is Coming To Town(サンタが街にやってくる)」等といった直球ストレートなクリスマスソングが満載となっています。それらがジャジィなアレンジになっていたり、ボサノバチックなアレンジがされてあったり、様々なテイストでクリスマス・ソングが楽しめるものとなっています。

この季節に聞くにはまさにぴったりな一枚。っつーかこの季節に似合ったアルバムがウチにもあった事の方が驚きでした(苦笑)。

ちなみに2004年にエントリーしたクリスマスっぽいアルバムは「John Cale / Fragments of a Rainy Season」でした。今考えるとちょっと無理やりなアルバム選択だった気がしないでもなかったり(遠い目)。

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King Crimson / Red

レッド(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-02-22)
売り上げランキング: 67699

J.Muirに続きD.Crossも脱退してしまい、強烈な個性を持った3人が創りあげた第3期、もっと言えば、キング・クリムゾンのラストを飾る(はずだった)アルバム。

King Crimson line-up 3
第3期 レッド・クリムゾン

Red : レッド
7th album : 1974

Side A
1 : Red : レッド
2 : Fallen Angel : 堕落天使
3 : One More Red Nightmare : 再び赤い悪夢

Side B
1 : Providence : 神の導き
2 : Starless : 暗黒

Personal :
Robert Fripp : Guitar and Mellotron
John Wetton : Bass and Voice
William Bruford : Percussives

With thanks to:
David Cross : Violin
Mel Collins : Soprano Saxophone
Ian McDonald : Alto Saxophone
Robin Miller : Oboe
Mark Charig : Cornet


ゲストには前作で脱退したD.Crossやそれまでのアルバムに関わってきたM.Collins、M.Charigなどが加わっており、そして何と言ってもオリジナル・クリムゾンのもっとも重要なメンバーだったI.McDonaldが参加していることが重要なポイントだと思います。

このアルバムを製作した後に行われるはずだったツアーから正式メンバーとして復帰する予定だったらしいのですが、R.Frippの突然の解散宣言により、それは帳消しとなったようです。I.McDonaldが正式メンバーとして作曲面・演奏面でどのような働きを見せたのか非常に気になるところなので、この時点での解散は非常に勿体ないものになった気がします。

出だしからこの時期を象徴するハードでメタリックに歪んだギターを聴かせる「Red」、この曲は第4期以降の数多くのライブで演奏され、なおかつ第5期においては一つの手本として公言されるほど、以降のクリムゾンにとって重要な楽曲となったものです。

また、J.Wettonの伸びのある豊かなヴォーカルが光り、かつR.Frippのダウナーなギターが抒情的なこの曲をリリカルなだけには終わらせていない「Fallen Angel」、B.Brufordのパーカッシブなドラミング、メタリックなテーマや中間部における暴走寸前のサックス・プレイがたまらなく魅力的な「One More Red Nightmare」、そして「Starless」とバンドとして試行錯誤を経て円熟の域に入りかけた時期の充実した演奏が全編で聴くことが出来ます。

特に「Starless」においては、アルバム収録以前のライブにおいて繰り返し演奏されて曲の骨格はすでに完成されたものとなっており、ライブでのD.Crossのヴァイオリン・パートは収録時においてはI.McDonaldのサックス(注;ここのサックスはどうやらM.Collinsらしい(?)のでチト確証はもてないんですが、I.McDonaldだったら良いなぁっていう思い込みもあります(笑))へとチェンジし、より力強いものとなっています。

この曲は12分以上にわたる長い曲となっていますが、全体の緩急の対比と、スローなヴォーカル・パートから始まり、中間部の不安を煽るような執拗なギター・リフを経て、狂的なギターの炸裂音から雪崩れ込むように騒乱へと突入し、そしてラストにて再びメインのフレーズへと帰結するという、あれよあれよというまに終わってしまう曲に仕上げられているため、12分という時間などはこれっぽっちも感じさせない見事なものとなっています。また、「クリムゾン・キングの宮殿」以来、バンド自らが培ってきたほぼ総てのテクニックや音楽的アプローチを投入しているために、クリムゾンの集大成といえるものになっています。

この曲に関しては特になんですが、もう、何をどう書いてもこの楽曲の良さは伝わらないだろうという歯痒い思いはあるのですが、ま、とにかくクリムゾンの中でというより、今まで聴いてきた洋楽・邦楽の楽曲の中でトップを占めるくらい私の中では重要な曲になっています。

余談としては、日本のプログレ・バンドが発表したこの時期のクリムゾンの完コピに近いライブ・アルバムがあるのですが、その中で「暗黒」は始めのヴォーカル・パートがバッサリとカットされており、中間部以降のインストルメンタルのみを収録されていました。この曲の素晴らしいところはその部分にあるので、それはそれで正解だななんて思った記憶があります。

また、J.WettonのASIAでのライブ・アルバムやソロ・ライブ・アルバムでは逆にヴォーカル・パート中心に演奏していました。重要なインストルメンタル部分の演奏はライブのメンツやWetton自身のテクニックの衰えなどから決して過去以上の素晴らしい演奏などは期待出来ないため、その処置もまぁ、オッケーだと思いました。演奏自体は全体の印象を3分程度にギュッと手堅くまとめた上手な構成になっていたし、それより何より、実際のヴォーカリストだったわけだしね。

なんかひどい事(↑)書いているように思えますが、ここ数年のJ.Wettonは私の中では「ベーシスト」というよりも、希有の才能と説得力を持った「ヴォーカリスト」という認識があるため、昔を振り返るようなゴリゴリ・ベースや華麗なインストなどは期待していません。あのヴォーカルさえ聴くことが出来れば良いんです。

バンドへの鎮魂歌としても機能するようなこのアルバムをもってクリムゾンは解散...したはずだったんですが、1981年にまさかの再々度の復活をすることとなります。



2006/12/20 追記
という訳でこのアルバム・リリース直後にR.Frippによって解散をさせられてしまうKing Crimsonですが、上述したようにその直前にはR.Fripp・J.Wetton・B.Brufordの三人に加え最初期の重要メンバーであったIan McDonaldが復帰し4人体制でのKing Crimsonを始動直前にR.Frippの翻意によりポシャったという経緯がありました。

そして年代は下って、の時期にはR.Fripp側からの提案により、R.Fripp・J.Wetton・Michael Giles・I.McDonaldの4人でのバンド結成も画策されていたようです。レパートリーは69年から74年の間の作品の中から選び、一週間リハーサル、一週間はアメリカのクラブを回るツアー、一週間は日本でライヴを行なうという計画を提案したそうです。

J.WettonもM.Gilesもこの話には乗り気だったらしいというのを雑誌では読んだのですが、しかしながら今度は逆にI.McDonaldの方から「ヴォーカルはGreg Lakeじゃなきゃ嫌!オリジナル・メンバーが揃わなきゃ嫌!!」という理由でお流れに。I.McDonaldはR.Frippによってチョイスされたメンバーでのバンドは考えられず、第1期メンバーによるKing Crimson再結成しか考えられなかったのかもしれません。オリジナル・メンバーをバックにJ.Wettonによって歌われる「21st Century Schizoid man」やI.McDonaldやM.Gilesらが加わった「Larks' Tongues In Aspic Part II」や「Red」...今となってはif話になってしまいますが、実現していればこれらが聴けたのかと思うとこれもこれで凄く勿体無い話だと思いました。I.McDonaldのバカバカ。

それとこの提案についてR.Frippがしっかりと日本でのライブを計画に入れていた所に、凄く良く解釈すれば「日本のファンを大切にしてくれているんだなぁ」、普通に解釈して「クリムゾン・オタも多いし、日本の客は金払い良いしね」、悪く解釈して「金か!金なのか!?」となるんでしょうけども(笑)。

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King Crimson / Starless And Bible Black

暗黒の世界(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-02-22)
売り上げランキング: 27812

J.Muirが脱退したのちに、彼の影響によるインプロヴィゼイション的側面をより高めた強力な一枚。

King Crimson line-up 3
第3期クリムゾン

Starless And Bible Black : 暗黒の世界
6th album : 1974

Side A
1 : The Great Deceiver : 偉大なる詐欺師
2 : Lament : 人々の嘆き
3 : We`ll Let You Know : 隠し事
4 : The Night Watch : 夜を支配する人々
5 : Trio : トリオ
6 : The Mincer : 詭弁家

Side B
1 : Starless And Bible Black :  暗黒の世界
2 : Fracture : 突破口

Personal :
David Cross : Violin,Viola,Keyboards
Robert Fripp : Guitar,Mellotron,Devices
John Wetton : Bass and Voice
William Bruford : Percussives

とにかくA?1、2を除く楽曲群総てがライブ録音だというのがまずはノケぞる。ライブ録音といっても、記録/資料的録音とは違い、ライブ会場をスタジオと見なし、巧みに歓声などを消す処置を施した録音状態の良さと各曲の配置・構成の妙が相まって、ライブを至上の音楽形態と見なすバンドの高いレベルにおける演奏を聴くことが出来ると思います。

と、知った風に書いている私などは前情報としてそのことを知っていたから何なんですけども、この録音では発売当時、誰も気づかなかったんだろーなぁ。

A面では「偉大なる詐欺師」のメタリックなリフの嵐や、前作から受け継がれたドライなリリカルさが光る「夜を支配した人々」などか曲が目白押しなんですが、A面のハイライトは誰が何と言っても「トリオ」でしょう。ドライさが目立つこの時期の叙情的曲群ですが、この曲だけはドライ/ウェットとはまた違い、このバンドでは珍しく瞑想的な美しさを誇る名曲に仕上がっています。

ただ、この曲が全編即興にて創られたっていうのはどうしても納得がいかないんですね、これが。「この曲を即興にて創りあげるほどこの時期のバンドのレベルは高かった」なんていう評を見かけますが、この曲における飽和状態から見事にラストへまとまってゆく構成からして、即興曲とは考えにくいんじゃなかろうか?
まぁ、どちらにせよ、この曲が第3期における一級品の楽曲だという思いは変わらないんですがね。

そしてファンならば誰もがベスト・サイドと認めるんじゃないかと思うB面「暗黒の世界」?「突破口」への流れ。メンバー各人が内に籠ったインタープレイ的即興に走り、収束点を見出せないまま繰り広げられる「暗黒の世界」から一転して、Frippによる高度に構築され、突破口と名乗りながらも徐々に不安を掻き立て、その頂点においてデッド・エンドなラストを迎える「突破口」。もう2曲の流れはいつ聴いても極度の緊張感と快感を与えてくれます。この時期の即興面と構築面の対比における頂点に達したかに思える楽曲となっていると思います。

ただし、この時期のライブにおける緊張感は只者ではなかったらしく、ツアーによる疲労を理由にD.Crossが脱退してしまいます。実は前のアルバムにてバランサーとしての役割も担っていたのではと思われるJ.Muirが抜けたことにより、B.Bruford+J.Wettonの暴走リズム組とR.Fripp+D.Crossのリリカルリード組の間のバランスが微妙に崩れた結果の脱退劇ではと思います。そして、バンドは第3期ラスト・アルバムとなる「レッド」へと進んでゆく訳であります。

P.S. 第3期クリムゾンを語る際に必ずといっていいほどだされる「白魔術の影響が??」といったものや「錬金術における白から黒そして赤へ至る??」といった、実際の音楽とは全く関係ないイディオムで一括りにするのは、私としてはそろそろお腹イッパイって気がします。

どんなにそれらを突き詰めていっても実際の音楽とはかけ離れた着地点にしか辿り着けないのだろうし、正直言って字数稼ぎにしか思えません。

まぁ、音楽を文章にて表現しようとした時点で、このページも含め、明らかに間違っていることは誰の目にも明らかなんですがね(苦笑)。



2006/12/20 追記
このエントリーの初めにも書きましたように、このアルバムに収められている曲の多くがライブ音源を基本としてそこへオーヴァーダブを追加し完成とされたものなのですが、その「Starless And Bible Black」の元となったライブ音源が「The Nightwatch Live at Amsterdam Concertgebouw November 23rd 1973」として1997年に発表されました。いやはや、人間長生きするもんですな。

スタジオ・アルバムである「Starless And Bible Black」と元となったライブ音源「The Nightwatch」を聴き比べて「あぁ、ここでカットされてあぁなったのか!」などと感慨に耽るのも一興かと。あ、それとiTunesにアムステルダム音源(「The Nightwatch」)やグラスゴー音源(「October 23, 1973 Apollo Glasgow, Scotland」from DGM)などのライブ音源をリッピングして、プレイリスト「原音・暗黒」を造ってみるのも乙...、乙かぁ??

そうそう、A-5「Trio」はそのタイトル通り、R.Fripp (Mellotron)・J.Wetton (Bass)・D.Cross (Violin)の三人での演奏となっているのですが、演奏に直接参加していない筈のBill Brufordも作曲に名を記されていて、表記はというと「Admirable Restraint (賞賛に値する抑制)?Young Person's Guide To King Crimsonライナーより」となっていました。ちょっとイイ話だ。

「黙っていてくれたこと(意識的に沈黙を守る事)」が曲作りに貢献した為クレジットしたとの事。実際に物事を作り上げてゆく際に何でもかんでも足していく事は容易いのですが、作り上げてゆくものから「引く事」、「足さない事」は足す事の数倍も難しい事だと思います。有名な話ですが「Trio」のところで書き忘れたので改めて追加しておきます。

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King Crimson / Larks' Tongues In Aspic

太陽と戦慄(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-02-22)
売り上げランキング: 36965

R.Fripp以外のメンバーを総入れ替えしての出直しの再デビュー(?)作。

King Crimson line-up 3
第3期クリムゾン

Larks` Tongues In Aspic : 太陽と戦慄
5th album : 1973

Side A
1 : Larks` Tongues In Aspic Part I : 太陽と戦慄 パート1
2 : Book Of Saturday : 土曜日の本
3 : Exiles : 放浪者

Side B
1 : Easy Money : イージー・マネー
2 : The Talking Drum :  ザ・トーキング・ドラム
3 : Larks` Tongues In Aspic Part II : 太陽と戦慄 パート2

Personal :
David Cross : Violin,Vliola,Mellotron
Robert Fripp : Guitar,Mellotron & Devices
John Wetton : Bass & Vocals
Bill Bruford : Drums
Jamie Muir : Percussion & Allsorts

YESに在籍していたB.Bruford、Familyに在籍していたJ.Wettonといった有名どころから、当時は無名に等しかったJ.Muir、D.Crossといったメンツを揃え、今までの「叙情性と衝動性のバランス」といった力点から「即興による偶発性と精密機械のような構築性」、「ハード・メタリックかつドライ・リリカル」といった対立する方向性の両立といった形へとシフトチェンジしたと思います。

この時期を評する際によく言われる「即興性」は、何と言ってもJ.Muirの存在なしにはあり得なかったでしょう。数少ない当時のスタジオ・ライブを見たことがあるんですが、毛皮の上着を素肌にまとい、そこいらじゅうをウロウロしながらドラムに関わらず叩きまくり、バンドを騒乱の場に導いていく様は、良く言えば「鬼気迫る」、普通に言うと「キレたおかしなオッサン」といった具合で、R.Frippも統治しきれない治外法権のような位置にいたメンバーだと思います。

J.Muirの奏でるカリンバの小さな音色から、やがて大音量の音の騒乱へと雪崩れ込む「太陽と戦慄 パート1」、「土曜日の本」や「放浪者」のドライなリリカルさ。「イージー・マネー」は重くメタリックに仕上がっており、そしてこのアルバムのハイライト、「トーキング・ドラム」から「太陽と戦慄 パート2」への流れ、「トーキング・ドラム」での微細なウネリのリズムから次第に盛り上がってゆき、それが頂点へ達したところで「太陽と戦慄 パート2」へと雪崩れ込む様はいつ聴いてもゾクゾクします。

メタリックな点においてはファースト以来培われてきたメタリックな音楽性をより強固に前面に出し、インストルメンタル「太陽と戦慄パート1・2」では、「21世紀の精神異常者」などにおける「言葉を伴って語られる音楽性」から一段階上の「音のみにて語りえる音楽性」を表現できるレベルへと上がったように思います。また、リリカルな点でいえば、このアルバム以前でみられた「ウェット」な叙情感・リリカルさは一掃され、あくまでもドライに仕上がっているのが最大の違いでしょう。

B.Bruford+J.Wettonの暴走リズム組とR.Fripp+D.Crossのリリカルリード組、そしてJ.Muirのバンド内での異物として存在感、これらが非常にうまく融合したのがこのアルバムだと思っています。
ただ、バンド内に異物として「一要素」としてだけJ.Muirの存在感が欲しかったように感じられるFrippではありましたが、一要素として加入した筈のMuirが徐々に独り歩きを始め、バンドがfrippの思惑とはドンドン異なった方向へと動くこともママあり、統制が取れなくなってきたために、二人の間で確執があったなんて記事も読んだことがあります。

J.Muirの一般的な脱退理由としては公演中の負傷のためとかチベットへ修業へと赴くためなどといわれていますが、Muirが思い描いていた、もっとフリーに近い音楽性・バンド形態などといったものに対して、Frippの理想とする音楽性 【最終的には構築的にまとめあげるもの】とバンド形態【リーダーではないと言いつつも最終的には自らが統率するといったもの】とのギャップもあったのではないかなんて勘ぐってみたり。

そんなバンド内のあーだこーだっていうことは、このアルバムを聴く際にはもちろんのこと全く関係ないし、当時どんなことがあったのであろうとも、このアルバムのメタリックな輝きが変わることはないと思います。現行のラインナップである第5期クリムゾンでも、「レッド・クリムゾンのイディオム」を使うと言って憚らないくらいにこの時期の方向性を重視した形で活動をし、なおかつこの方向性を上回るものを造ろうとしてもがいているのではと思われます。

現在にまで連なるといった点においても、ファースト以降のゴタゴタから抜け出し、強力な布陣にて開始されたこの時期からが、第2の、もしくは本当の意味で「キング・クリムゾン」が始まったのではないかと思います。

後記;以前友人が「もし初めて聴く人にクリムゾンを奨めるんだったら、やっぱ『宮殿』かなぁ?」なんて言っていたので、私が「イヤイヤイヤ、『戦慄』か『レッド』でしょう、でも、ホントは『レッド』なんだけども『戦慄』奨めるのもヤブサカじゃないしなぁ、う??ん、でもなぁ(...と、以下延々と続くので略)」なんてブツクサ言っていたら、その友人イヤ?な顔してましたっけ。

ここら辺はオタクのコダワリといったところでしょう(苦笑)。



2006/12/19 追記
この時期のクリムゾンといえば、やはりJamie Muir、この人抜きには語れないでしょう。この時期のクリムゾンによりはっきりした形での即興というものを持ち込んだ人物でありそれ以降のバンドに多大な影響を与えながらアルバム一枚で脱退してしまったのがJamie Muirでした。

R.Fripp御大編纂の「公式』クリムゾン史では

2月17日
メロディ・メーカー誌/ザ・レイヴァー:キング・クリムゾンがマーキーでゴキゲンなギグを行った。
まずジェイミーが前の晩妙な具合に怪我をしてしまったので、出られなくなり我々は初めてカルテットとしてプレイした。そしてジェイミーは二度と戻っては来なかった(R.F.)

The Essential King Crimson:Frame By Frameライナーより

となっており、また「太陽と戦慄」日本語版ライナーでは2月10日のマーキーのショウにて自らの振り回した鎖が頭に当たり出血、翌日のショウをキャンセルする事となる、という記述が、またエリック・タム著「ロバート・フリップ キング・クリムゾンからギタークラフトまで」では、ゴングを足に落とし重傷を負ってしまい、そのまま脱退、スコットランドで僧侶となるなどという記述があったりします。

J.Muir自身、以前からチベット仏教に強い興味を示しており、この怪我がきっかけとなりバンドの生活から一転インドやネパールにて僧侶としての生活を送る事を決意したと思われます。

「?覚えているのは、突然、一晩のうちに辞めようという気分になって、それでマネージメントへ行ってその話をしたらとてもショックを受けたようだったけれど、でも、それを無理にとめたって、今度100%、力を出せるわけじゃないからね。それで、向こうもあきらめたようだった。グループは音楽的にも高いレベルにあったと思うし、売れてもいたから、非常に無茶な事をしたのかもしれない。でも、たとえば。子どもが産まれるとか、何かが誕生するというのは、いつも新しい始まりで、何かこう楽しいのと同時に恐いような気持だよ。クリムゾンにいる頃、何かそういう気持がずっと続いていたんだよ。それで、ある夜、悟りじゃないけど、急に気がついて、それで辞めた。」
MARQUEE別冊「キング・クリムゾン」J.Muirインタビューより。



本人が言うのだからこれが一番正しいのだろうけれども、何はともあれ、「太陽と戦慄」一枚限りで脱退してしまったJ.Muirでしたが、彼の公式な活動の足跡はこのアルバム、The Collectors' King Crimson Vol.One「The Beat Club,Bremen 1972」やVol.Seven「Live in the Zoom Club,1972」などで聴く事が出来ます。どちらのライブでも崖っぷちを崩れ落ちそうになりながらも全速力で突っ走っていくような、緊張感あふれるライブ演奏を聴く事が出来ます。

ただ、「Live in the Zoom Club,1972」ではキング・クリムゾン公式史上最長とおもわれる、45分にもわたるインプロヴィゼーション曲「Improv: Zoom Zoom」が収録されていてるので要注意です(笑)。ところどころで凄い一瞬がある大作なのですがさすがにこの曲を通しで聴くと、聴いているこちらも緊張でヘロヘロになる事請け合いです。

また、現在では廃盤となっているビデオシリーズ「ビートクラブ」中に収録されていた「Larks` Tongues In Aspic Part I」の演奏風景はもう圧巻です。何といっても毛皮の上着を着てせわしなく動き回り楽器とも思えないようなものを叩きまくり、バンドを騒乱の中に引きずり込むJ.Muirの勇姿を見る事の出来た唯一の映像でした。今は廃盤となってしまっているためそのビデオを観る事が難しくなってしまってはいますが、さすがネットの世界にはあるものです、You Tubeにこのときの映像もしっかりとアップロードされております。画像はひどく粗いものとなってはいますが、当時の騒乱の状況はつぶさに感じ取れる一品、未見の方がいればこれは必見です。

最後にJ.MuirがR.Frippに送った葉書の一節

All Part of rich tapestry of life(人生の豊かなつづれ織りすべて)


「The Beat Club,Bremen 1972」中のインプロ曲のタイトルにも一部使われたこの言葉ですが、何故かずっと心に引っ掛かっていて今でも好きな言葉です。

...つーか、追記のくせに長過ぎだよ>自分。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Courtney Jaye / Traveling Light

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Traveling Light
Traveling Light
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Courtney Jaye
Island (2005-06-07)
売り上げランキング: 98123

いつも通りAmazonにて、何の拍子にかこのアーティストのページに行き当たり、ついついジャケ買い。

これまたいつも通りにこの人が誰なのかさっぱり分からないのですが、ネットで検索してみますとこれがデビューアルバムとなる、割りとまだ新人さんのようです。このアルバム、12曲入りのフル・アルバムですし、2005年発売と昨年発売されたばかりのアルバムなのですが、何故か1,335円というアマゾンでは珍しい低価格、どういう事なんだろう?

アコースティック・ギターがメインの音作りになっているのですが、私が聴くにしては妙にスッキリし過ぎに思えるほど、キレイに整ったバックのサウンドがちょっと物足りなく感じちゃいました。もうちょっと濁りというかヒネリというか、引っ掛かるものが欲しかったかな?

作詞作曲をするシンガーソング・ライターというこのC.Jaye、まだファーストという事もあってか、まだもうちょっと飛距離を伸ばせるのに何かちょっと抑えている部分があるような、そんな印象も受けました。セカンド以降に期待かな。

そうそう、このアルバム、Universal Music傘下になるんだか何なんだか、とにかくその下のThe Island Def Jam Music Groupからのアルバムになっています。イヤ、久々にアイランド・レーベルのヤシの木のロゴマークとCDの背のレインボーカラーのロゴを見て、ちょっと感慨にふけったり(笑)。

King Crimson / Islands

アイランズ(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-02-22)
売り上げランキング: 81382

メンバーが固まらずにライブが出来なかった過去2枚のアルバムを経て、ようやくライブの出来るメンバーが集まり製作されたアルバム。

King Crimson Line-up 2
第2期クリムゾン

Islands : アイランズ
4th album : 1971

Side A
1 : Formentere Lady : フォーメンテラ・レディ
2 : Sailor`s Tale : 船乗りの歌
3 : The Letters : ザ・レターズ

Side B
1 : Ladies Of The Road : レディ・オブ・ザ・ロード
2 : Prelude : Song Of The Gulls : プレリュード;カモメの唄
3 : Islands : アイランズ

Personal :
Robert Fripp : guitar,Mellotron,Peter's pedal Hamonium and sunday implements
Mel Collins : flute,bass flute,saxes and vocals
Boz : bass guitar,lead vocals and choreography
Ian Wallace : drums,percussion and vocals
Pete Sinfield : words.sounds and visions

Featured players
Keith Tippett : piano
Paulina Lucas : soprano
Robin Miller : oboe
Mark Charig : cornet
Harry Miller : string bass

しかし、このアルバムにおける今までとは別種の叙情性は、明らかにR.FrippよりもP.Sinfieldに主導権が握られてアルバム造りが行われたように思えます。

また、ゲスト参加しているK.Tippettらジャジー組が幅を利かせているだけでなく、今までのメロトロンによるストリングスに加えて、本物のストリングを多用していることなどもアルバム全体の叙情性を高めた大きな要因となっています。

生のストリングスの効果とBozの震えるような線のヴォーカルも手伝って、特に「カモメの歌」?「アイランズ」の流れはP.Sinfeld色の非常に濃い、「ウェット」というより「湿った」というほうがよりニュアンスとしてピッタリくる楽曲群となっています。人肌のような暖かみがあり、かつ、壊れやすいガラスのような手触りのこれらの楽曲達は、この時期のクリムゾンにしか出しえない名演奏だと思います。

また、全編に渡ってP.Sinfieldに主導権を握られているように見受けられるR.Frippもインストルメンタル「船乗りの歌」ではそれを取り戻し、ロックとジャジーなテイストを上手くミックスさせた佳曲に仕上げています。

「レターズ」や「フォーメンテラ・レディ」といった曲も収録されていますが、P.Sinfield色が強すぎるように感じられ、その詞や雰囲気の醸し出す「匂い」が往々にして鼻につく気がして、私としてはあまり好きではない楽曲です。

しかし、詩情性を重んじているこのアルバムはオリジナル・クリムゾンにあった叙情性と衝動性のバランスの片側、叙情性のみを強力に推し進めたものであり、本来のクリムゾンというアイコンからは逸脱し偏ったものになっているように思えます。ですが、妙な話ですが、それだからこそ、このアルバムが良い仕上がりになっているとも思えますがね。

また、後述する「Earthbound」にて聴くことの出来るような、詩情性・叙情性などを取っ払った、全く正反対の暴力的なこの時期のライブも一部では評価が高いようです。が、しかし、こちらはこちらでP.Sinfieldや初期のメンバーによってもたらされていた知性的・思考的な面がほとんど感じられない「肉体衝動全開・一発オーケー」的なものになっており、また違った意味でクリムゾンという枠から非常にズレたモノとなってしまっています。R.Frippがこのメンバーでのクリムゾンに見切りをつけ解散させたのも無理はないかなぁと思います。

「偏った」とか「鼻につく」とか色々書きましたが、そんなこと言いつつも非常に気に入っているアルバムです。



2006/12/18 追記
これを書いた頃にはのちにこの時期のメンバーによるライブ・アルバムがコレクターズ・クラブやらDGM Live!などから、これほどまでに続々とリリースされるとは想像もしていませんでした。マニアの為のKing Crimson Collectors Clubだっていうのは分かっていますが、それにしてもこの時期のライブ出し過ぎ。

それらを聴いてみてもやはり、「Islands」というアルバムの指向性とはまるでベクトルが逆を向きまくっている肉体派バンドのライブでした。B.Barrellのヴォーカルもアルバムとは打って変わってガナリ立てるような粗野なものですし、他のメンバーの演奏もフリーキーで激しいものとなっています。それらに引きずられずに一人置いていかれている感もあるR.Frippの所在なさ気な演奏も聴く事が出来ますが、後年のようなインプロヴィゼーションと構築性の両立などといったシチ面倒臭い事は全く考慮に入っていないであろう、この時期のKing CrimsonはやはりR.Frippの理想とするKing Crimsonでは無かったのではないかと思います。

しかしながら2006年に日本でも発売された「Collectors King Crimson Vol.10」中のDisk-4「Live in Brighton October 16, 1971」に収められているM-6「Islands」、これはこれまでのライブとは異なり、スタジオ・アルバムと同じく静謐な美しさをたたえた楽曲となっています。R.Frippと他の3人との指向性の違いを仲違いではなく作品に昇華させる事が出来たのであればまた違った展開が見れたのではないかとも思ったりします。

私にとっては「In The Court Of Crimson king(クリムゾン・キングの宮殿)」とは違った意味で、このアルバムも「これはクリムゾンだけどクリムゾンじゃない」とも思えるアルバムです。

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King Crimson / Lizard

Lizard
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King Crimson
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売り上げランキング: 96139

より「Fripp,Sinfield & The Guest」的色合いを強め、多数のゲスト参加によって成り立つアルバム。K.Tippettらジャジー組が幅を利かせ、楽曲にも大きく貢献している。

King Crimson Line-up 2
第2期クリムゾン

Lizard : リザード
3rd album : 1970

Side A
1 : Cirkus : サーカス
Including Entry Of The Chameleons : カメレオンの参上
2 : Indoor Games : インドア・ゲームズ
3 : Happy Family : ハッピー・ファミリー
4 : Lady Of The Dancing Water : レディ・オブ・ザ・ダンシング・ウォーター

Side B
1 : Lizard : リザード
(a)Prince Rupert Awakes :  (a)ルーパート王子のめざめ
(b)Bolero-The peacock`s Tales : (b)ピーコック物語のボレロ
(c)The Battle Of Glass Tears : (c)戦場のガラスの涙
Including
(I)Dawn Song : (I)夜明けの歌
(II)Last Skirmish : (II)最後の戦い
(III)Prince Rupert`s Lament : (III)ルーパート王子の嘆き
(d)Big top : (d)ビッグ・トップ

Personal :
Robert Fripp : G,Mellotron
Mel Collins : Flute,Sax
Gordon Haskell : Vo
Andrew McCulloch : Ds
Pete Sinfield : Words
Robin Miller : oboe
Mark Charig : Comet
Nick Evans : Tb
Keith Tippett : Kd
Jon Anderson : Vo

 ...と、色々書かなきゃイカンとは思うのですが、いかんせん、このアルバムに関しては私自身10回以上聴いたんですが、全く、ホントにこれッぽっちも興味が持てませんでした。よく、「このアルバムがいちばん好き」っていう評を見かけるんですが、私にとってはクリムゾンとしての価値を見出せないアルバム。よって、これ以上の紹介はなし。

 R.Frippによるライナーでは「?何度も聞き続ければ、24回目には打ちのめされる」ように作ってあるとのことなんですが、ゴメンナサイ、お腹いっぱいです(苦笑)。



2006/12/15 追記
改めてこのアルバムを聴いてはみたのですが、やっぱり肌に合わないです、誠にスマン。

しっかし、Jon Andersonという人はYesのどんなアルバムでも自分のソロ・アルバムでもゲスト参加したアルバムでも見事に自分色に染め上げてしまいますな。この人のハイ・トーン・ヴォイスを一瞬でも聴いちゃうと、「...フゥ、辺りはもうすっかり秋、ではなくてYES色ね」みたいな感じで、そういう意味では濃ゆ?い個性を持っている特異なヴォーカリストでしょう。使い方要注意、ではなく使うと間違いなくYES色もしくはJ.Anderson色に染め上げられてしまう気がします。

何でR.FrippはJ.Andersonをゲストに呼ぼうと思ったんだろう?そんなにG.Haskellのヴォーカルが気にくわなかったのか?なら最初から呼ばなきゃ(以下略)

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King Crimson _ In The Wake Of Poseidon

ポセイドンのめざめ+2(ボートラ入り)(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-02-22)
売り上げランキング: 84416

ファーストの成功もつかの間、主要メンバーであるI.McDonald,M.Giles,G.Lakeが脱退を表明する中、「R.Fripp,P.Sinfield & The Guests」の様な形で録音されたセカンド。

King Crimson Line-up 2
第2期クリムゾン

In The Wake Of Poseidon : ポセイドンのめざめ
2nd album : 1970

Side A
1 : Peace - A Beginning : 平和?序章
2 : Picture Of A City : 都市の情景
42nd At Treadmill : 踏み車の42番目
3 : Cadence And Cascade  : ケイデンスとカスケイド
4 : In The Wake Of Poseidon : ポセイドンのめざめ
Libra`s Theme : リブラのテーマ

Side B
1 : Peace -A Theme : 平和?主題
2 : Cat Food : キャット・フード
3 : The Devil`s Triangle : デビルズ・トライアングル
(I)Merday Morn : (I)マーディ・モーン
(II)Hand Of Sceiron : (II)ハンド・オブ・セイロン
(III)Garden Of Worm : (III)ガーデン・オブ・ワーム
4 : Peace - An End : 平和?終章

Personal :
Robert Fripp : Guitar,Mellotron & Devices
Greg Lake : Vocals
Michael Giles : Drums
Peter Giles : Bass
Keith Tippett : Piano
Mel Collins : Saxes & Flute
Gordon Haskell : Vocal
Pete Sinfield : Words

バンド形態ではなく、セッションに近いまとまりなためと、初期の最重要メンバーであるI.McDonaldがいないため(*1)、A面ではファーストの形をほぼそのまま踏襲しているにも関わらず、あの力強さ、叙情性などさまざまな点においてファーストを上回ることはおろか同じ水準にも出来上がっていないように思えます。

「Cadence And Cascade」などは佳曲に仕上がっているのですが、G.Haskell(*2)のヴォーカルが不安定で少し線が細すぎるため、不釣り合いな形に仕上がってるのではないかと思います。なお、この曲は後の「紅伝説」にてヴォーカルをA.Belewに差し替えられ収録されています。

このアルバムの真価はB面にあるのでしょう。R.Frippののちの姿が想像できる「Peace - A Theme」、これ以降のクリムゾンにジャズ・テイストを注ぎまくったK.Tippettのピアノがイカしまくっている「Cat Food」、初期のライブにて毎回演奏されていた重要なナンバーであるにも関わらず、版権の問題にて「火星」(D.Holstの「惑星」からの一節)から改題・編曲せざるを得なかった「The Devil`s Triangle」など、ファーストの方向性からまた違った展開を見せる楽曲群に仕上がっていると思います。

また、「Peace A Beginning?A Theme?An End」の様に、同じテーマの曲で全体をサンドウィッチするという構成も行われており、のちのアルバム「Larks' Tongues In Aspic」、「Thrak」にみられるようなアルバムの統一感を支える手法のひとつが出来上がっています。

アルバムとしては通常の水準以上に仕上がってるとは思いますが、わたし的には「あのファーストの次がこれぇ??」っていう風にどうしても比較してしまいがちになる可哀想な1枚。ま、好きなんだけどね(笑)。



2006/11/01 追記
(*1)I.McDonaldがいないため
I.McDonaldの脱退についてはI.McDonald曰く「僕は悪いことよりも、良い事を歌う音楽を作りたかった」、M.Gilesもツアーを続ける事への疲労から脱退を決意、G.Lakeに至ってはKing Crimsonのアメリカ・ツアーの際にKieth Emersonにバンド結成を持ちかけられ脱退、EL&Pの結成を画策しているなど、バンドとして体を成していなかった状況だったと思われます。

(*2)G.Haskell
King Crimson史上最もR.Frippに邪険に扱われた不遇の人、でも2001年には英国でシングル「How Wonderful You Are」を大ヒットさせたりしているソロ・シンガー。

当時からKing Crimsonでのギャラが実は支払われていなかったり、後の4枚組みベストアルバム「The Essential King Crimson Frame By Frame(紅伝説)(1991)」では「Cadence And Cascade」のヴォーカル・パートをA.Belewに差し替えられてしまったり、同じく「Bolero」でもベース・パートをT.Levinに差し替えられてしまったりと、散々な扱われよう。

King Crimson以前には既にソロ・アルバムを発表していたのですが、KC向きの人ではないと思えるアルバムでしたし、そんなG.HaskellをKCに誘い込んだR.Frippが悪いと思うんですけどもね。

そんな扱われようでしたし、本人としても今まで着実にソロ・シンガーとして歩んできた訳で、いつまでもいつまでも「元King Crimson」の冠を付けられるのは嫌でしょうね。

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tag : Crimson Fripp

The Durutti Column / Keep Beathing

キープ・ブリージング(DVD付)
ザ・ドゥルッティ・コラム
インペリアルレコード (2006-11-22)
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ニューウェイブの時代にデビューしたのでニューウェイブと括っちゃって良いのか、初期作品はもしや広い意味でのパンクって括っちゃっても良いんじゃないかとも思えるThe Durutti Columnの最新アルバム。

地の底を這うように呟くVini Rellyのヴォーカルと、時としてメランコリックに感傷的に、時として感情を無くしたような無表情に、そして冷え冷えとしているかと思い視線をそらすとふと暖かみを感じるようなそんなギターワーク、それらのDurutti Collumnの根幹を形成する要素はやはり今作でも見事に息づき生き残っているようです。

いつの頃だか、友人に聴かされた2ndアルバム「LC」はニューウェイブ期の他のアルバムにそれほど興味を持てなかった私を何故だか惹き付けるものがあり、繰り返し聴いていましたっけ。今でも「Vini Relly」や初期の作品群、そして前作「Sex and Death」までの作品達は愛聴盤となっております。

キラキラときらめきを放ちながら深く沈み込むような響きを残すそのギターワーク、それはフュージョンやニューウェーブ、そして他のジャンル分けといったものを超えて「Durutti」というジャンルにしてしまっても良いんじゃないかと思うほどの、V.Rellyにしか出し得ない味があります。今作でもそんな風味が見事に息づいており、いつもながらのドュルッティであり、いつもとは違うドュルッティのアルバムに仕上がっております。

「マンネリ」という人もいるでしょうし、「過去の『LC』の方が断然良かった」って言う人もいるでしょうが、でもこのアルバムはやっぱりドュルッティでしかないよなぁ。その成長は円環ではなく螺旋、そんな感想を持ったアルバムであります。

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King Crimson / In The Court Of The Crimson King

In the Court of the Crimson King
King Crimson
WHD (2005-02-22)
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キング・クリムゾンの全てはここに始まり、ここに帰結するというくらい、その後の全アルバム、そして現在も良い意味においても悪い意味においても重くのし掛かっている、巨大な背後霊的ファースト・アルバム。

King Crimson Line-up 1
第1期 オリジナル・クリムゾン

In The Court Of The Crimson King : クリムゾン・キングの宮殿
1st Album : 1969

Side A
1 : 21st Century Schizoid man : 21世紀の精神異常者
 including Mirrors inc :ミラーズ
2 : I Talk To The Wind : 風に語りて
3 : Epitaph : 墓碑銘
 including march For No reason : inc:理由なき行進
  Tomorrow : 明日又明日

Side B
1 : Moonchild : ムーンチャイルド
 including The Dream : inc:ドリーム
  The Illusion : 幻想
2 : The Court Of The Crimson King : クリムゾン・キングの宮殿
including The Return Of The Fire Witch : inc:帰って来た魔女
  The Dance Of Puppets : あやつり人形の踊り

Personal :
Robert Fripp : guitar
Ian McDonald : reeds,woodwind,vibe,keyboards,mellotron,vocals
Greg Lake : bass guitar,lead vocal
Michael Giles : drums,percussion,vocals
Pete Sinfield : Words and illumination

この影響下からほんの少しでも抜け出すことが出来たのは、第4期 ディシプリン・クリムゾンだけだと思いますが、果たしてこのアルバムの影響下からはみ出るものがクリムゾンか?という疑問や、反対にセカンド以降のバンドとこのオリジナル・クリムゾンとは全く別のバンドではないか?という疑問を持たせるなど、ややこしくも、それだけに混沌としたクリムゾンという存在を象徴するイコンとしてもっとも相応しいアルバムだと思います。

後に英米混成バンドForeignerを結成するI.McDonald、EL&Pを結成するG.Lake、I.McDonaldとともにMcDonald&Gilesを結成するM.Giles、ソロやPFM、Roxy MusicのプロデュースなどをつとめたP.Sinfield、そして今日までクリムゾンを背負って立つR.Frippの5人の力が非常に高いレベルで発揮されたアルバム。「21世紀の精神異常者」はメタリックなだけではなく、ジャジーかつハードな演奏が繰り広げられ、「風に語りて」「ムーン・チャイルド」の叙情性とその裏の狂的な、なにか底なしの絶望感を感じさせる「エピタフ」、「クリムゾン・キングの宮殿」での頑強なまで楽曲の構築性、そしてアルバム全体を通しての激情/鎮静のコントラストやロック、ジャズ、トラッド・フォーク、クラシックなど様々な手法をまとめあげた構成力、どれをとっても発売から30年を経た今現在の視点で見ても古びたものを感じさせる事無く、強力な楽曲群・アルバムに仕上がっています。

惜しくらむは「ムーン・チャイルド」の後半におけるフリー・インプロビゼイション部分、ここだけは今となっては少し冗長かつ前後との繋がりが感じられないために、必要性をあまり感じさせない演奏に仕上がっているように感じられます。実際に、のちの4枚組・ベストアルバム「紅伝説」においては収録時間の関係もあるのでしょうが、見事に後半のインプロ部分はカットされていました。

クリムゾンを語る際に決して外すことの出来ない、もっと言えば「クリムゾンといえばこれを出しておけばオッケー」という、代表作とされるこのファースト・アルバムなんですが、だがしかし、これ以降のR.Fripp主導のもとに製作されるクリムゾンのアルバムとは決定的に違い、主導権は圧倒的にI.McDonaldにあるかに思えます。よく「4人の個性がぶつかりあって」という評を見ますが、それ以上にファーストにおける楽曲の精巧な構築性、緻密さ、暴力的な面と叙情的な面のバランスなど、I.Macdnaldの抜けたセカンドと比較すれば彼の影響力の大きさは明らかではないかと思います。

好調なスタートを切ったかに思えた第1期オリジナル・クリムゾンも、I.McdonaldとM.Gilesは度重なるツアーによる疲労や、ツアーよりも恋人との時間を大切にしたかったからなどの理由から脱退を決意、G.LakeもKeith Emerson、Carl PalmerとのEL&Pの結成に走るなど、第1期オリジナル・クリムゾンは同一メンバーでのセカンドアルバムを作ることなく瓦解。もし同一メンバーにて幻のセカンドが作られたとするならば、実際のセカンド・アルバム「ポセイドンのめざめ」とMcDonald&Gilesの唯一のアルバム「マクドナルド&ジャイルズ」を足して2で割ったものじゃないかと予想されます。

しかし、どちらにせよ、この時期のメンバーによってバンドが継続していたとしたならば、のちの第2期の迷走ぶりはなかったにせよ、充実した第3期以降が聞けたかどうかは少し疑問にも思えるので、私としては後々から考えれば良かったのかなぁ?とも言えます。

私にとって、完璧に近いほどの完成度を誇るアルバムであり、のちのクリムゾンの世界をほぼ総て内包しているのにも関わらず、私の中では「これはクリムゾンだけどクリムゾンじゃない」っていう別格な位置に属するアルバムです。



2006/12/13 追記
邦題で「クリムゾン・キングの宮殿」と名付けられたこのアルバムから枝分かれ的に発生したバンド、「McDonald & Giles」や「EL&P(ちょっと違うかもしれないけれど、個人的には派生的なバンドかな?)」、第2期以降のKing Crimson、そして叙情的な面のみを追ったフォロワー・バンドは多数あると思いますが、どれ一つをとってもこのアルバムの多面的且つエネルギーの濃さに適うものは無いと思っています。叙情的な面を追ったとしても、暴力的・破壊的な面を追ったとしても、フォーク・トラッドな面、ジャジーな面、それらを個別に追ったとしても当然決してこのアルバムにはならず、それらが5人のメンバーによって高い次元で融合した奇跡がこの「宮殿」でではないでしょうか。

今聴いても凄いアルバムだなとつくづく思い知らされます。

そこでR.Frippは「宮殿」の路線を2nd「ポセイドンの目覚め」で踏襲しようと試みますが、そこは1stでの主導権を握っていたと思われるI.McDonaldはおらず他のメンバーも脱退を表明していたバンドとして成り立っていない第2期King Crimsonでは到底「宮殿」には及ばないものしか造り上げる事は出来ず、3rd・4thと迷走を続け、ようやく5th「太陽と旋律」により「宮殿」からの呪縛から解き放たれR.Fripp自身を投影した真のKing Crimsonが始まったのだと思っております。

King Crimsonのアルバムは版元が替わったり、Difinitive Editionと銘打ったヴァージョンが出たり、結成30周年記念リマスターやら紙ジャケやら、CDフォーマットになってからも多数のアルバムが繰り返し発売されてきた訳ですが、この「宮殿」に限ってはオリジナル・マスター・エディション盤というものが発売されました。それについては以前ここ(ブログ内リンク「King Crimson _ In The Court Of Crimson King - Original Master Edition」)に書きました。

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tag : Crimson Fripp

Papermoon / Tell Me A Poem

Tell_Me_A_Poem.jpg


今私の中で大フィーバー中のオーストリア(今はオーストリーって言うんだっけ)の男女デュオ「Papermoon」の1stアルバム。

このPapermoonというデュオ、以前日本盤も出た事があるのですが、2ndアルバムと3rdアルバムのみしか出ませんでした。2ndアルバム「The World In Lucy's Eyes」の日本盤ライナーによれば、本国オーストリーで発売後8週間で25,000枚を売り上げゴールドディスクに輝いたり、アルバム・タイトル曲である「The World In Lucy's Eyes」が隣国ドイツでも評判になったりという事でこの2ndから発売しようという事になったのかな?何しろ日本語の情報がほとんど見つからない為よく分からなかったりしているんですが。

で、そんな日本では不遇な1stアルバム...、っつーか6枚のアルバムを出しているのに日本では2枚のみ、Amazonでも洋盤すらベストぐらいしか扱ってもらっていないというこのデュオ自体が日本では不遇って言っても良いかも。勿体無いなぁ。

話反れた、話を戻して1stアルバムですよ。どんなバンドもしくはアーティストの将来の音楽は全てファーストに詰まっている」という思いの強い私ですが、このアルバムもやはりそうですね。フォークを基調としたデュオですので垢抜けたっていう言葉を使うのがおかしな感じもしますが、1stアルバムと云う事もあって垢抜けない部分もあったり、Edina ThalhammerによるPapermoonのヴォーカルとしてのラインがまだ確立していないようでちょっとイメージとズレるような曲などもあったりはするんですが、そこはやっぱりその後の萌芽を思わせるアルバムになっていると思います。

メランコリックなギターの音色に導かれて唄われる暖かなヴォーカルが印象的な表題曲「Tell Me A Poem」は本国オーストリーで大ヒットしたそうです。ラストM-11「Follow」は2ndアルバム「The World In Lucy's Eyes」のM-1に収められている同名曲の原形として収録されています。ライナーの歌詞の最後も「??Follow....(TO BE CONTINUED)」なんて歌詞になってますし。次のアルバムへのブリッジといったものかどうか、面白い試みかも。

このバンドがオーストリーで注目されるきっかけとなったM-10「Night After Night」、これはちょっと私の中のpapermoon像からは外れるかも。声の調子も違うしちょっとイメージと違ったサックスが挿入されていたりとアルバムの中でも浮いている感じ。

またこのアルバムでも英語による歌詞の曲とドイツ語の歌詞の曲が混合で収められており、そんな点でもあまり耳にしない耳障りがかえって新鮮に感じたりします。

「素晴らしい曲!」といったものや「今世紀の一大傑作!!」といったものは決してありませんが、極めて普通に良い曲を届けてくれるこのデュオ、今大絶賛リピート中です。

参考URL:公式サイトPAPERMOON

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Tim Bowness and Peter Chilvers / California Norfolk

California,norfolk.jpg


ex.No-manのTim Bownessとex.Henry FoolなPeter Chilversのコラボレーションデュオの第1作目(だと思う)

この二人、Henry FoolというバンドでNo-man以前に共演していたらしいのですが詳細は不明です。AmazonのHenry Foolへのリンクはこちら。さすがAmazon、検索しておきながら失礼な話ですが「こんなん売ってんだぁ!?」と軽く驚いちゃったり(笑)。

ヴォーカルはTim BownessなのでNo-manの、それも後期の気だるくあくまでも内省的なそれなのですが、そこに絡むパートナーがPeter Chilversという事でNo-manとはあくまでも違います。ピアノやシンセ、サンプラーを多用した、しかしアンビエントというには語彙の多くその語彙があくまでも内向きに発せられている、そんな音空間を作り出しているという感じがしますね。

No-manで知っていたT.Bownessのヴォーカルはカラフルなものであったのですが、後期になるに従っても艶を敢えて減らしていき(←これは劣化したという訳ではなくあくまでも方向性の話なんだろうと思います)、このアルバムでは色彩でいえばグレーブルーやグレーグリーンのような、灰色の基調が勝ち気味なモノトーンの世界が広がっています。実際カラフルに見えていたのは、周りの色彩からの反射によってのものであったのでしょう、まるで屈折する光を虹色に見せるシャボン玉のように。

ここまで来たのならば、むしろもっと音・テクスチャーを極限まで減らしT.Bownessのヴォーカルのみのアルバムというのも面白そうかも?とも思いました。セカンド・アルバムも出ているらしいのだけれどもそちらはどうなのかな?

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引っ越し完了の巻。

そんなこんなで北国tvからのお引っ越し完了しました。
名前も心機一転Fractalism・kazz12000に変えて再出発となります。今後ともどうぞよろしくお願いします。

MT(Movable Type)形式で一発で北国tvからエクスポート→FC2へとインポート出来るかと思ってったら、世の中そんな甘い訳も無く、一から手作業でやり直して、ようやっと先ほど完了しました。ま、そのおかげで、CDジャケットなども1からスキャンして貼り直したり出来たので良かった事にしておこう。

スタイルシートの編集もチョコチョコこれから手を付けて行くつもりですので、見難い所などありましたら是非教えて下さいませ。

Joanna Newsom / Ys

Ys.jpg


ハープの弾き語りという珍しいスタイルを持ったシンガーソングライターJoanna Newsomのセカンド・アルバム。

【↓OPEN】

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