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King Crimson / The Condensed 21st Century Guide To King Crimson 1969-2003

濃縮キング・クリムゾン(初回限定盤)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-11-22)
売り上げランキング: 101385

2007年現在において、これまでの全ての歴史を網羅したR.Fripp責任監修によるKing Crimsonの2枚組ベスト・アルバム。

The Condensed 21st Century Guide To King Crimson 1969-2003 (2006)
濃縮キング・クリムゾン (2006)

1st「In The Court Of Crimson king」?13th「The Power To Believe」

Disc-1
1:21st Century Schizoid man
2:Epitaph
3:In The Court Of The Crimson King (Abridged)
4:Cat Food (Single Version)
5:Cadence And Cascade
6:Ladies Of The Road
7:Sailor`s Tale (Abridged)
8:Larks` Tongues In Aspic Part I (Abridged)
9:Book Of Saturday
10:Fracture (Abridged)
11:Starless (Abridged)
12:Red
13:Fallen Angel

Disc-2
1:Elephant Talk
2:Frame By Frame
3:Matte Kudasai
4:Discipline
5:Heatrbeat
6:Waiting Man
7:Neurotica
8:Three Of A Perfect Pair
9:Sleepless (Abridged)
10:VROOOM
11:Coda : Marine 475 (Abridged)
12:Dinosaur (Single Version)
13:Sex Sleep Eat Drink Dream
14:The Power To Believe I
15:Level Five
16:Eyes Wide Open
17:Happy with what you have to be happy with (EP Version Abridged)
18:The Power To Believe III
19:The Power To Believe IV

『The Condensed 21st Century Guide To King Crimson(以下『濃縮』)』→「キング・クリムゾンの21世紀へのガイドの濃縮盤」という事で、真・紅伝説Vol.1、Vol.2トータルで計8枚、ライブ・ヴァージョンを収録した4枚を除いて、実質的には計4枚のオリジナル・スタジオ・アルバムからのベストからの文字通り濃縮盤とも言えるベスト・アルバム。

所々に (Abridged)(短縮版)がありますが、現在のCDの収録分数が足りない為に編集されたようなものなので、それぞれの楽曲の短縮版といったものに正直深い意味は無いと思っております。将来的にこれがもし現在のCDよりも音が良く収録分数も長いといった音楽DVDやその他の新世代規格等が普及したならば、躊躇無く短縮版などではないオリジナル・ヴァージョンで同じレパートリー、もしくは数曲増やしてベスト・アルバムを再度発売する事でしょう。

結局の所、1975年に発売された初のベスト・アルバム『A Young Persons` Guide To King Crimson』からこの『濃縮』までR.FrippがKing Crimsonの歴史の中からピック・アップする楽曲にはブレが全く無く、柱となるものはいつも同じ楽曲となっています。

普通だったら、これまで収録されなかったような地味に良い曲をこれまでのものと数曲入れ替えるなり、B面裏ベストなるものを造ってみたり(シングルが少なかったので実際には不可能ですが)とやりようは有る筈なのですが、そのような事はせずにR.Frippが考える文字通りのバンドとしてのベストな楽曲を収録してきた結果が、これまでのようなどれをとっても同じ楽曲が並ぶベスト・アルバムとして形をなしてきたのでしょう。King Crimsonというバンドの歴史に真っ正直に向き合った結果のものだったとも言えます。

まぁ、そんなマニア的絶賛・麗句を言う前に「ベスト出し過ぎだよ」とか「出すなら出すでファン・サービスというものをもうちょっと...」とか言いたくなる私はまだ修業が足りないのでしょう、きっとそうです、そのはずだ(遠い目)。

私的傑作アルバム『The ConstruKction Of Light』がバッサリと、一曲の収録も無いほどにバッサリと切り捨てられている恨み辛みは『King Crimson / The Power To Believe』とか『King Crimson / The 21st Century Guide To King Crimson Vol. 2: 1981-2003』にネチネチ書いたので何も言うまい。でも、あぁ、もう。

でもですね、前向きに考えれば、これからクリムゾンを聴こうとする若い世代にとってはこれ以上のものは無いほどのまさに文字通り「A Young Persons` Guide To King Crimson」なベスト・アルバムだといえます。これを入り口にして各時代のオリジナル・アルバムへと進んでもらうというのが良いKing Crimson体験の入門法かもしれません。

<おまけ>

ちなみにこのベスト、通常盤と限定盤の二つが同時発売されまして収録曲は同じ2CDなのですが、限定盤の方にはオフィシャルTシャツなるものが封入されておりました。こんな感じ。

Condensed_KC-02.jpg

当然ながら限定盤の方を購入したのですが、くっそー、この幅のせいでCDラックのスペース取りまくりやがる。Tシャツは着る事はおろか開けもしないだろうから通常版買っておけば良かったなぁと今更ながらに思ったり。でも、やっぱ「限定盤」って言われると欲しくなるじゃない?(←誰に言ってるんだ?)

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テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Paul Lydon / Vitlaust hus

ヴィットラウスト・ホウス
ポール・ライドン
Pヴァインレコード (2006-11-03)
売り上げランキング: 95080

ジャケがとても美しくて、いつも通り諸事情は分からないままジャケ買いした一枚。

殆どの曲はピアノの弾き語りの曲となっていますが、そのピアノのちょっと奥の方でたまに聴こえるギターの音色やエレクトロニクスっぽい音などがちょっとした淡いアクセントとなっています。

どれもこれもが穏やかに語りかけるようなP.Lydonのヴォーカルもしっとり落ち着いて良いものですし、全編で聴かれるピアノも過剰に走る事も声高に鳴らされる事も無く、終始押さえたトーンで世界観を作り上げています。

そのどれもが緩やかで落ち着いた冷たい湿り気なのだけれども冷え冷えとしたものではない、何というか、冬の晴れた気怠い午後のような、そんな楽曲が詰まっております。ちょっとイイかも。疲れた体に沁み入るようなそんな一枚。あぁ、最近疲れ気味なのでこんなのが凄く体調に合っちゃったりしています(笑)。

ネットで検索してみますとこのPaul Lydonという人、アイスランドに住みアメリカ人との事。このアルバムは渋谷HMVで購入したのですが、その際に何故か「Special CD-R (instore present)」というCD?R一枚をおまけにもらいました。

Paul_Lydon_Instore_Present.jpg


何かのイベントで余ったものなのかな?全編ピアノのみの静謐でたおやかなインストゥルメンタル曲が5曲。

iTunesでリッピングしようとするとどうやらCDDBに登録が無いようでCDトラック名を取得出来ません。どうも手作りっぽいCD?Rの為歌詞カードや曲名すらもなんの記載もありゃしない為、「トラック 01」?「トラック 05」という曲名で並んでおります。CDDBに登録ぐらいしましょうよ>P-Vine Records様

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King Crimson / Schizoid Man

Schizoid Man
Schizoid Man
posted with amazlet at 08.12.02
King Crimson
Virgin (1996-07-01)
売り上げランキング: 292950

オリジナル・エディット・69/72/74年のライブと「21世紀の精神異常者」ばかり5タイトルを集めた"怪"企画盤。

Schizoid Man(1996)

1:21st Century Schizoid man (Edit)
2:21st Century Schizoid man (Original Version)
3:21st Century Schizoid man (Live 1969)
4:21st Century Schizoid man (Live 1972)
5:21st Century Schizoid man (Live 1974)

オリジナルはもちろん良いとして、各期において演奏されるこの曲の表情の違いが手に取って判る非常にマニア向けのCDとなっています(って、まぁ、クリムゾンのライブってほとんどそうなんだけど(笑))。「こんなのあったらイイな」って子供のように思ったりはしましたが、ホントに出ちゃったときは驚きました。普通思っても作んないよ、こんなの。嬉しいけど(笑)。

 ただ、第5期のダブル・トリオ時においてもこの曲はライブにて演奏されているはずなのに、収録されていないのは非常にもったいないというか、「それ入れなきゃ価値半減でしょ」って気がしますね。第5期の演奏も含めれば全期に渡って俯瞰的に「21世紀の精神異常者」を聴くことが出来たのではと思いました。



2007/01/28 追記

第5期ダブル・トリオ時の「21世紀の精神異常者」は『VROOOM VROOOM』Disc-1に収録されましたね。つんのめりそうな程に走った演奏が居心地の悪く、A.Belewのヴォーカルはやっぱり「21世紀の精神異常者」には似合わないなと実感した一曲でした。ファン・サービスの一環と見るべき演奏なのかも。

ただ、この収録日が1996年8月2,3,4日となっているのですがこのミニ・アルバムがその前に発売されたのだかその後に発売されたのだかは全く記憶に無い為、収録出来たのかは定かではありません。

せっかくここまでやったのならDVD『Deja VROOOM』に収録された、ヴォーカルとリズム・セクション、ソロイストを自由にセレクト、楽曲を(お遊びで)構築出来る「21st Schizoid Band」を収録するべきだったでしょう、そうすればこのミニ・アルバムは完璧。そこいら辺の話はまたいずれ。

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King Crimson / The Concise King Crimson : Sleepless

The Concise King Crimson
The Concise King Crimson
posted with amazlet at 08.12.02
King Crimson
Virgin (1993-10-01)
売り上げランキング: 632827

「紅伝説」の中から選りすぐりというか、クリムゾン全期からバランス良く1枚に収まるように選ばれた14曲入りベストアルバム。

The Concise King Crimson : Sleepless(1993)
ザ・コンサイス・キング・クリムゾン:スリープレス(1993)

1st「In The Court Of Crimson king」?10th「Three Of A Perfect Pair」

1:21st Century Schizoid man
2:Epitaph
3:In The Court Of The Crimson King (Abridged)
4:Cat Food
5:Ladies Of The Road
6:Starless (Abridged)
7:Red
8:Fallen Angel
9:Elephant Talk
10:Frame By Frame
11:Matte Kudasai
12:Heatrbeat
13:Three Of A Perfect Pair
14:Sleepless

 さすがに4枚組ベスト・アルバム「紅伝説」ではマニアしか買わないと思ったのか、それともなかなか発表されない、と言うか、出来ない第5期クリムゾンへのファンの興味を繋ぎ止めておくための”撒き餌”なのか知りませんが、唐突といった感じで出された、珍しくCD1枚のみのベスト・アルバム。

 お手軽な感じは否めませんが、これはこれでコンパクトかつバランスがよくて良いアルバムかも。クリムゾンを聴くのが初めてという人には「紅伝説」よりもコチラを奨めたほうが良いに決まっているのは言うまでもありません。未発表曲はないけれど良いアルバムだと思いますよ。



2007/01/27 追記

一枚にまとめられた(まともな)ベスト・アルバムとしてはこの『The Concise King Crimson』が唯一残された、イヤ、今じゃ廃盤になっているだろうけれども、唯一のベスト・アルバムとなります。

クリムゾン初心者の人が4枚組みのベストやら2枚組みの、それも内容といえば同じバンドが演奏しているとは思えない(実際それに近いものがあるわな(笑))ベスト・アルバムを聴き通すのには困難を伴うと思いますし、また取り上げるべき曲をコンパクトに一枚にまとめあげているといった点でもなかなか優れたベスト・アルバムなんじゃないかな?

今では『Three Of A Perfect Pair』以降のアルバムも出てそれを捉えていないという点で評価は落ちてしまうとは思いますが、『Three Of A Perfect Pair』までのKing Crimsonを押さえると考えれば手に取りやすい一枚だと思います。このベストは結構お気に入りであります。

それとこの時期、『The Essential King Crimson Frame By Frame』や『The Concise King Crimson』、4枚組ライブ・アルバム『The Great Deceiver』、Robert Frippと愛妻ToyahのバンドSunday All Over The World『Kneeling At The Shrine』、そして新生King Crimsonの『VROOOM』『THRAK』までのジャケットは全てBill Smith Studioが手がけています。

ゴシック調であったり、物語性を持った強い主張を持つものであったり、極端に色面を偏らせたものであったり様々なものがありましたが、どのジャケットもひと目で同じデザイナーが手掛けていると分かる優秀な作品だったと思います。『The ConstruKction Of Light』を経て、ライブの写真を使ったもの以外のそれ以降のKing Crimson関連のジャケットは殆どがP.J.Crookの油彩画を使ったものとなっていきます。が、最初は良かったのですが同じようなジャケットが続いているせいもあって食傷気味であります。

そろそろ新しいデザイン・スタジオを起用して心機一転なジャケットをお願いしたい所存であります。ジャケットは購買層の目に触れる大事なセールス・ポイントになりますしね。

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King Crimson / The Abbreviated King Crimson : Heartbeat

The Abbreviated King Crimson
The Abbreviated King Crimson
posted with amazlet at 08.12.02
King Crimson
EG (1992-09-25)
売り上げランキング: 366350

紅伝説」と同時期ぐらいに出された、ベスト・アルバムの中からの超短縮抜粋版の様なアルバム。

The Abbreviated King Crimson : Heartbeat(1991)
ジ・アブリヴィエイテッド・キング・クリムゾン:ハートビート(1991)

1st「In The Court Of Crimson king」?10th「Three Of A Perfect Pair」

1:The King Crimson Barber Shop
2:21st Century Schizoid man (Abridged)
3:In The Court Of The Crimson King (Abridged)
4:Elephant Talk (Edited)
5:Matte Kudasai
6:Heatrbeat (Edited)
7:Medley

入っている曲順は少し突拍子もないし、短縮版だったりとメチャメチャな内容です。あえて言うなら、このアルバムにのみ収められているM-7「メドレー」、この曲は様々な時期の楽曲をカット・アップ/コラージュして造ったような1分余りの曲。ホントお遊びな曲なので、これも買う必要はない気がします。ま、買っちゃったけど(笑)。

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Brian Eno / 77 Million Paintings

77 Million Paintings By Brian Eno (2pc) (Dvdr) [DVD] [Import]
Hannibal (2008-01-14)
売り上げランキング: 83338

Brian Eno教授の手によるインスタレーションをパソコンで行うという、変わりゆく音と映像による環境ソフト。

ジャケ帯(PC/Mac用ソフトなのでジャケットっていうのかどうかは疑問なんですが)によると、

「イーノが長年かけて描いた絵画や写真等、複数の作品をランダムに写し出し、ゆっくりと変化し続ける。オーディオ(MacG4)を除く)も同様に、幾つかの音のレイヤーを生成的に配合する事により、365日24時間同じ音楽を聴く事はない。この複合絵画のコンビネーションは無限に存在する。」

との事。

アプリケーションをインストールし「77 Milliom Paintings」を立ち上げると全画面で表示されます。画面上にあるスタートボタンを押すとそこからは「77 Milliom Paintings」の世界が始まります。何枚かの抽象的絵画がレイヤーとして重ねられそれらが薄くなり濃くなり沈み込んでゆき浮かび上がってくる事により刻々と変わり続け、その背後ではまさにドローンとしか言い様のないアンビエント・ミュージックが終わる事なく鳴り続けております。

もうぶっちゃけ言っちゃえば、まさにこれだけ。これ以上のものでもないしこれ以下のものでもありません。

これにパソコンの全画面を占拠されて正座してアートとして見続けるのはBrian Enoがアンビエント・ミュージックを始めた当初の思想とは真逆のものだと思うんだけどね。音楽から機能性・意味性を排除し背景・環境としての存在を作り上げたはずなのに、以前から行っているインスタレーションやこのソフトはいち存在として自己を主張しているんじゃないかと思えてしまいます。「「アート」だもの、イイじゃない」と言われちゃえばそれまでなんですが。

私のMacの性能が足りないんだか、ソフトの使用なんだかは分かりませんがこのソフトを起動したまま、他のソフトで作業しようと思うと音と共に画像の移り変わりまでもが停まってしまい、ソフト自体が一時停止のようになってしまいます。むしろ1ウィンドウとしてこのソフトが立ち上がり、パソコン上ではテキストを書いたりインターネットをしたりPhotoshopをいじったりetc.etc.、他の作業をしながらドローンな音楽を音環境として流し続けて刻々と変わり続ける画像はたまに目の端に映って、「あっ、変わってる」って云うのが正しい姿勢なんじゃなかろうか、どうなんでしょ?

もしくはこのソフトが全画面を占拠し他のソフトとの併用を否定する事を利用して、パソコンから離れて読書をするでも良し、部屋の掃除をするでも良し、酒を飲むでも良し、その際の環境音楽&パソコンのモニターを関節光として取り入れるのが、案外正しいこのソフトとの向き合い方なのかもしれません。

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Acoustic Alchemy / The Beautiful Game

The Beautiful Game
The Beautiful Game
posted with amazlet at 08.12.02
Acoustic Alchemy
Higher Octave (2000-05-11)
売り上げランキング: 39663

イギリス出身のフュージョン・バンドAcoustic Alchemyの第11作目となるアルバム。

このエントリーを書く為にWikipedia等を見てみると、このバンド(デュオ)の創設メンバーの片割れであるNick Webbがこのアルバムの前作に当たる「Positive Thinking」の制作途中で亡くなっていたそうですが、全く知りませんでした。もっと言えばこのアルバムも最近のアルバムでもずーっとAcoustic Alchemyはデュオであり、外の参加ミュージシャンはゲストだとばかり思っていたのですが、このアルバムからはデュオからバンド形態に変わっていったそうです。

昔のウェブ・ページに載せていた記述を見ますと2000年6月頃に買っているっぽいです。このアルバムが初めてのAcoustic Alchemyとの出会いだったのですが、その出会いっていうのもタイはバンコクのCD屋さんで「Acoustic Alchemy(音響錬金術)」というバンド名に惹かれ、他は何の情報も持たずに「バンド名買い」したものでした。今も昔も変わらない事やってんのな、俺ってば。

バンド名買いなんてことをした為、当然ながらフュージョン・バンドなんだかロック・バンドなんだかカントリー・バンドなんだかそれすらも知らないまま何の予備知識も無い状態で聴いたのが良かったのか、いまだによく聴く愛聴盤の一枚となっているアルバムです。

全編インストゥルメンタルで都会の空気感を思わせる爽やかなフュージョン・アルバムでした。ただ、ストレートなフュージョンかというとそうではなく、ジャズはもちろんの事スパニッシュやラテン・ミュージックやカントリー・ミュージック、ポップやボサノバ等々、etc、etc、それらがどれをとるでもなく渾然一体となってあくまでもAcoustic Alchemyでしかあり得ない音空間を作り上げております。

スパニッシュ?ラテンなもうどこをどう切ってもAcoustic Alchemy印なギターの音色がとても美しいM-1、途中に入るサックスのソロやそれと交わるギターのアンサンブルがステキな一品。このギターはとても聴いている側に何らかの像・ヴィジュアルを思い描かせるとても表現豊かで艶やかな演奏だと思います。

アンビエント風だったりレゲエ調だったりフラメンコ・チック(M-7のタイトルはそのまんま「Last Flamenco」だったりする。)だったりと楽曲楽曲でその音像を変えているように見えるけれどもどれもこれもがちゃんとバンドの音になっています。夜の夜長に聴くのもさわやかな昼のドライブに聴くのもどちらもお勧めな一枚、大好きな一枚であります。

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Robert Fripp & Theo Travis / Theo And Robert Salisbury, Wilts, UK Jan. 05, 2007

DIscipline Global Mobile(以下DGM)のHot Tickle(無料ダウンロード・コーナー)にRobert FrippとTheo Travisとのデュオ「Theo And Robert Salisbury, Wilts, UK Jan. 05, 2007」がアップロードされております。

Noteによりますと



Here's a little preview of what happened when Theo Travis and Robert Fripp got together this month. Don't forget this isn't necessarily the finished article but very much a work and mix in progress.

これをexcite翻訳コンニャク

ここに、テオ・トラヴィスとロバートFrippが今月集まったとき、何が起こったかに関する小さいプレビューがあります。 これが必ず完成品ではなく、たいへん働きであったのを忘れないでください、そして、進行中で混入してください。



とのこと。まだ最終盤じゃないけどプレビューしちゃうよ!って事なんでしょう。ところでこのTheo Travisという人の事は全く知らないのでググってみますと、まず一発目にDiskUNION Jazz館がヒットします。

http://diskunion.net/jazz/search_result.php?type=2&for=1&kwd=8897



プログレッシヴ・ロック・バンド、GONGでも吹いているマルチ奏者の新作。キング・クリムゾンのカバーやリチャード・シンクレアの参加など、むしろジャズ・ファンよりプログレ・ファンにオススメ!



二番目にはいつもお世話になっているSWJPBOさんのページ「news : Theo Travis が来日 - Bass Communion」がヒットしました。No-ManやPorcupine Treeに音源を提供している方との事、Soft Machine Legacyにも参加しているなんて人らしいですな。

今回の楽曲では、やはりと言いましょうか、Robert Frippのギター&SoundScapeとTheo TravisのFlute(?、管楽器)が交互に水面に浮かび上がるかのような、そこに沈み込んでいくようなインプロヴィゼーションが繰り広げられております。

Theo TravisのHPでは「今回のレコーディングは今年の後半(?)にCDで聴ける事でしょう」みたいな事も書いてありますので、それを楽しみにしたいと思います。今回DGMからのダウンロードが行われた事から、CDではなくDGMでのダウンロード販売になるかもしれませんね。

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Leichtmetall / Wir Sind Blumen

Wir Sind Blumen
Wir Sind Blumen
posted with amazlet at 08.12.02
Leichtmetall
Karaoke Kalk (2006-07-25)
売り上げランキング: 82374

何の気なしにHMVのハウスのコーナーを見ていた所、ジャケが良かった為ジャケ買いしてみたアルバム。

ハウスのコーナーに有ったのでそれ相応の音が出てくると思い聴いてみると、全く違った音が出てきたので肩透かしにあった気分。でもそれがイイ。

鉄琴やらチューバのような楽器に導かれて始まるM-1からチープなヘタウマ・ヴォーカルが何故か魅力的なトイ・ポップって言えば良いのかな、そんな感じ。多分ジャケの二人でツイン・ヴォーカルをとっているのでしょうけれども、それが微妙にズレたり合ったりするヴォーカルが面白いですし、バックもあくまでチ?プ臭さが全く抜けきっていないのが逆にステキ。

フォークというよりは牧歌的な童謡的な楽曲作りで、そこへ打ち込みと生の管楽器、鉄琴やら木琴、エレピ等がからんで素っ頓狂さとポップさが紙一重、何だか微妙にクセになりそうな予感がします。

ちなみにデュオ名の「Leichtmetall」をLivedoorドイツ語翻訳コンニャクにかけてみますと、「Easy metal」となりました。??

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King Crimson / The Essential King Crimson Frame By Frame

The Essential King Crimson - Frame By Frame
King Crimson
Warner Bros. (1991-10-18)
売り上げランキング: 112473

第5期クリムゾンの話がチラホラ出始めてたころに、発表された4枚組ベストアルバム。以前の2枚のベスト・アルバムが廃盤な上に、このアルバムに新クリムゾンのヒントが隠されているんじゃないかと、私的には発売前から大盛り上がり大会でした(苦笑)。

The Essential King Crimson Frame By Frame(1991)
紅伝説 1969-1984(1991)

1st『In The Court Of Crimson King』?10th『Three Of A Perfect Pair』

(曲順は長くなるのでエントリー一番下に記載しました)

4枚組ということもあってクリムゾン全史を俯瞰的に眺めるには(注:1991年当時では)もっとも適したベスト・アルバムだと思います。構成としては、Disc-1には第1?2期・Disc-2には第3期・Disc-3には第4期のそれぞれのベストの曲が選ばれています。なかにはG.HaskellからヴォーカルをA.Belewに差し替えられた「Cadence And Cascade」やベースをT.Levinに差し替えられた「Bolero」など、なんかイヤな感じ(苦笑)のリミックスがされていたり、シングル・バージョンが収められていたりとマニア向けの聞き所は満載です。

それだけでも物量的にはもうお腹一杯々々なのに、Disc-4では、『USA』に収録されていた「Asbury Park」を除き、総てが未発表ライブ音源と来るから、もうタマラナイ。第1期から第4期までのライブがバランスよく収められていますが、1枚のCDにバランスよく収めてしまったが故に、『第3期の名演を気持ち良く聴いていると突然第4期のライブに飛んじゃった』りと、もっと聴きたいところで別の時期の録音に移ってしまったりするので、別の意味で欲求不満になるものでありました(苦笑)。

あと、オマケで収録されている「The King Crimson Barber Shop」はT.Levin1人によって録音された『1人四声アカペラ』といったお遊び的曲なので、そんな重要ではありません。買った当時は「こんな題名の曲、どんな演奏なんだろう?」とワクワクしてCDに掛けたものでしたが、見事にズッコケました(苦笑)。

クリムゾン全史を通しで聴いてみて言えることは、どのようなメンバーでいつ録音されたものであっても、確固たるクリムゾンとしてのイコンがあり、それは今も変わらないと確信させられることです。初めてクリムゾンを聴く人にこそ奨めたいアルバムですが、4枚組じゃあなぁ、聞き通せっていう方が無理あるよ(笑)。



2007/01/19 追記

G.HaskellからA.Belewへとヴォーカル差し替えで当時話題になった「Cadence And Cascade」、A.Belewのヴォ?カルは実際の所『Discipline』期の楽曲には合っていましたがウェットな手触りの「Cadence And Cascade」という曲にシックリくるもんかいな?と心配していたのですが、これがまたイイ感じでハマっていてちょっと驚いた記憶があります。A.Belewのヴォ?カルも7年の間で『Discipline』期よりも表現力が増したのでしょう。

A.Belewのヴォ?カルの表現の幅が広がり、楽曲的にも『VROOOM』?『THRAK』が第3期までのクリムゾンと第4期クリムゾンのミッシング・リンク的な評価をされた為、Discipline Crimsonの再評価にも繋がってくるのですから面白いもんです。雑誌などでさんざっぱらDiscipline Crimsonを貶していたのが手のひらを返したように評価が一転し始めたのだから、当時は「なんだそりゃ?もともと『Discipline』はすっごくイイじゃねーかよ?!」と思っていたもんです。

ま、だからといってG.Haskellのヴォーカルやらベース・ラインをごっそり変えるっていうのには、まっ?たく賛同は出来ないんですが(苦笑)。

Volume 4のライブは上でも書きましたが「Asbury Park」以外は当時初出、しかもM-1「Get Thy Bearings」はDonovanからの未発表カヴァー、M-2「Travel Weary Capricorn」は完全に未発表曲だった為そりゃもう興奮しちゃったもんでしたよ、ハイ。

「まだまだこんなステキなライブ音源が眠ってるんだ!」なんて思ってましたら、さすが記録魔たるR.Fripp御大、ホントにワンサカ眠ってやがりまして、その後続々と追いかけるのが大変なほどにライブ音源が出まくるなんて、この当時は夢にも思っておりませんでした。

記録魔といえば、このベストに添付されていた豪華なライナーには1968年から1991年までの雑誌やメディアからの論評、自身のメモなどが30ページ以上に渡り事細かに記載されております。雑誌などを切り抜いてスクラップする事20年以上、King Crimsonの世界一のファンは間違いなくR.Fripp御大なのでしょう。

Volume 1:
1:21st Century Schizoid man
2:I Talk To The Wind
3:Epitaph
4:Moonchild
5:In The Court Of The Crimson King
6:Peace -A Theme
7:Cat Food
8:Groon
9:Cadence And Cascade (Re-Mix)
10:Sailor`s Tale (Abridged)
11:Ladies Of The Road
12:Bolero (Re-Mix)

Volume 2:
1:Larks` Tongues In Aspic Part I (Abridged)
2:Book Of Saturday
3:Easy Money
4:Larks` Tongues In Aspic Part II
5:The Night Watch
6:The Great Deceiver
7:Fracture (Abridged)
8:Starless (Abridged)
9:Red
10:Fallen Angel
11:One More Red Nightmare

Volume 3
1:Elephant Talk
2:Frame By Frame
3:Matte Kudasai
4:Thela Hum Ginjeet
5:Heatrbeat
6:Waiting Man
7:Neurotica
8:Requiem
9:Three Of A Perfect Pair
10:Sleepless
11:Discipline
12:The Sheltering Sky
13:The King Crimson Barber Shop

Volume 4:
1:Get Thy Bearings
2:Travel Weary Capricorn
3:Mars
4:The Talking Drum
5:21st. Century Schizoid Man
6:Asbury Park
7:Larks` Tongues In Aspic Part III (Excerpt)
8:Sartori In Tangiers
9:Indiscipline

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King Crimson / The Compact King Crimson

The Compact King Crimson
The Compact King Crimson
posted with amazlet at 08.12.02
King Crimson
Eg (1986-12-08)
売り上げランキング: 691097

今度は第4期解散後に発表された2枚組アルバム。ちなみにこのアルバムだけは持っておりません。

The Compact King Crimson(1986)
ザ・コンパクト・キング・クリムゾン(1986)

1st「In The Court Of Crimson king」?10th「Three Of A Perfect Pair」

Side-A
1:Discipline
2:Thela Hun Ginjeet
3:Matte Kudasai
4:Three Of A Perfect Pair

Side-B
1:Frame By Frame
2:Sleepless
3:Heartbeat
4:Elephant talk

Side-C
1:21st Century Schizoid Man
2:I Talk To The Wind
3:Epitaph

Side-D
4:Red
5:Cat Food
6:The Court Of The Crimson King

このアルバムは全14曲中8曲(CDでは「Red」と「Cat Food」が割愛されている為12曲中8曲)が第4期からの選曲となっていて、ベスト・アルバムと呼ぶには非常にバランスの悪いものとなっています。また未発表曲も一つも入っていないので、「もー、出ているアルバムは正規だろうが、ブートだろうが何が何でも集めなきゃ」っていう、よほどのクリムゾン・マニア/オタクでないと買う必要はないと思います。かく言う私もこのアルバムだけは持っていません。

持っていないのにここに載せるのも如何なもんかとも思いましたが、一つだけポッコリ抜けているのが忍びなかった為おまけ的に掲載。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

King Crimson / A Young Persons' Guide To King Crimson

A_Young_Persons_Guide_To_K.jpg

第3期クリムゾンが解散した後に発表されたバンド初の2枚組ベスト・アルバム。『Lizard』を除くスタジオ・アルバムから重要な曲がバランス良く選曲されています。

A Young Persons` Guide To King Crimson(1975)
ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・キング・クリムゾン(1975)

1st『In The Court Of Crimson king』?7th『Red』

Disc 1
1:Epitaph
 (a)March For No Reason
 (b)Tomorrow And Tomorrow
2:Cadence & Cascade
3:Ladies Of The Road
4:I Talk To The Wind
5:Red
6:Starless

Disc 2
1:The Night Watch
2:Book Of Saturday
3:Peace - A Theme
4:Cat Food
5:Groon
6:Coda From Larks' Tongues In Aspic, Part I
7:Moonchild
 (a)The Dream
 (b)The Illusion
8:Trio
9:The Court Of The Crimson King
 (a)The Return Of The Fire Witch
 (b)The Dance Of Puppets

気になるところは何と言っても、プレ・キング・クリムゾンとでも呼ぶべき、Giles,Giles & FrippからKing Crimsonへの移行期とも言える最初期に在籍していたJudy Dibleによってヴォーカルがとられている別バージョン「風に語りて」と、クリムゾンのセカンド・シングル「キャット・フード」のB面曲「グルーン」の2曲の未発表音源でしょう。

「風に語りて」はアルバムに収められていたバージョンとは違い、叙情的な陰に隠れた狂的なものは姿を見せず、非常に牧歌的であり、女声ヴォーカルといったことも手伝って心地よい浮遊感のある仕上がりの楽曲になっています。また、ライブ版としては「アースバウンド」に収められている「グルーン」はGiles,Giles&Frippのメンツにて収録された、コワれたジャズ・ロックとでもいうべき曲。

現在発売されているベスト・アルバム(注:『The Essential King Crimson Frame By Frame・紅伝説 1969-1984』の事、随分の前の記事です。)にはスタジオ録音による未発表曲といったものは収録されていない(←「ザ・キング・クリムゾン・バーバー・ショップ」はもちろん除く(笑))し、現在ではこのアルバム自体も廃盤とされています。そんなわけで、上記の未発表曲2曲はこれ以降のベスト・アルバムには収録されていないということになるので、このアルバムの価値は必然的に高くなります。私も探し回ったあげく、中古レコード屋でCD版を見つけ、即ゲット。もうずいぶん前なので、その時は安く手に入れられたので良かったのですが、今じゃ結構高く売ってるとこもあるんだろーなぁ。



2007/01/18 追記
上でも書きましたが、これまでのベスト盤には収録されずにいた「I Talk To The Wind(風に語りて)」と「Groon(グルーン)」の2曲ですが、「Groon」は1991年に発売されたベスト『The Essential King Crimson Frame By Frame 紅伝説 1969-1984』に収録されました。

上のアルバム紹介はブログ以前に稼働していたウェブ・サイトに載せたもで、これをいつ書いたかは覚えていないのですが、『?Frame By Frame』に収録されていた「「ザ・キング・クリムゾン・バーバー・ショップ」はもちろん除く」なんて書いていますから、「?Frame By Frame」が発売された後に書いたものでしょう、当時から間違えておりました、スマンです。

またJudy Dyble版「I Talk To The Wind」はこのベスト以降のKing Crimson名義のベスト盤などには収録はされておりませんが、Giles,Giles & Frippのアウトテイク集『The Brondesbury Tapes』に収録されました。たぶん同じヴァージョンだと思います。

初心者の方が買うべきKing Crimsonのベストとしては、(現在進行形なので“取りあえず”の)クリムゾン通史を俯瞰で眺められ、かつ2枚組みと”コンパクト”(←強調(苦笑))にまとめられている、先日発売されたばかりの『Condensed 21st Century Guide To King Crimson: 1969-2003 濃縮キング・クリムゾン』が良いのでしょう。しかし、私としては初めて買ったKing Crimsonのベスト盤という事もあり、このアルバムは非常に思い入れが強いものがあります。『宮殿』から『レッド』までの曲がバランス良く、しかも入れるべき曲がちゃんとコンパクトに入れられているといった点でも好評価なベスト・アルバムです。

後に多発、もとい乱発、いやマジで本当にベスト盤出し過ぎですよ、だから守銭奴とか言われty(以下略)。閑話休題。自分の思い入れ視点だけで言えば後に乱発されるベスト盤は飛ばして、この『A Young Persons'?』と、Line-up 4以降がまとめられたベスト『The 21st Century Guide to King Crimson Vol. 2: 1981-2003 真紅伝説 Vol.2』のスタジオ・サイドDisk-1、3を持っていれば良いんじゃないかと思っちゃいます。

だがしかし、『A Young Persons'?』にはKing Crimsonの代表曲「21st Century Schizoid man」は入っていない(R.FrippはKing Crimsonの亡霊から逃れる意味も含め意図的にこの曲を抜いたのではないかと邪推しております)し、『The 21st Century Guide to?Vol.2』には私的大傑作アルバム『The ConstruKction Of Light』からの曲がゴッソリと抜け落ちちゃっているし、etc、etc...、ア?、やっぱりオリジナル・アルバムで揃えろって事か、そうかそうなのか。

ベスト・アルバムの話してたらこんな結論かよ>俺(苦笑)。

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The Peter Malick Group Featuring Norah Jones / New York City

ニューヨーク・シティ
ピーター・マリック・フィーチャリング・ノラ・ジョーンズ
ビクターエンタテインメント (2004-12-16)
売り上げランキング: 168300

Norah Jones自身のソロ作ではないんですが、全編に渡ってリード・ヴォーカルを務め、ソロ作といってもイイくらいの存在感を放つ一枚。

先日2nd(注:2004年2月頃のお話)が発売されたばかりで、それももちろん購入したのですが、1stであったジャズやカントリー、ブルーズなどの絶妙なバランスがに崩れ、明らかにカントリーに寄ったものとなっていました。もちろん2ndも良い出来である事には違いないのですが。

それに比べ、このアルバムはN.Jonesのソロ作ではなく、P.Malickのアルバムという事でもちろんの事そちらが優先されたのでしょう、ブルースやロックの色合いが強い仕上がりとなっています。

P.malickのブルージーなギターが全編でN.Jonesのヴォーカルを支え、それを崩すようで崩さないドラムが印象的なM-1“New York City”やオルガンのような響きのキーボードがチョイ懐かしい、アップテンポでソウルフルな歌いっぷりが気持ちいいM-3“Deceptively Yours”、情感豊かな歌声とそれに絡むいかにもブルースといったピアノが心地よいM-5「Heart Of Mine」など、中々の好作に仕上がっています。

全部で30分強しかない、アルバムというには手応えが少し物足りないヴォリュームではありますが、N.Jonesの持つブルージーな一面を強く感じさせるこの一枚、ファンなら買っておいても損は無いはず。



2007/01/17 追記
ネットなどで調べてみますと、このアルバムはN.Jonesのソロ第一作目となる『Come Away With Me』よりも以前に収録された音源との事。当時からジャジーからブルージーからカントリーなどなど縦横無尽に表現出来る素晴らしいヴォーカリストの萌芽が見て取れます。

もうすぐ発売される3rdアルバム『Not Too Late』も含め、N.Jonesのオリジナル・アルバムを押さえたのならば、次は是非とも手に取って欲しいアルバム。

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The Peter Malick Group Featuring Norah Jones / The Chill Album

New York City: The Chill Album
Peter Malick Group Norah Jones
Koch (2005-10-18)
売り上げランキング: 114820

まだソロ・アーティストとしてデビューする前のNorah Jonesを全面的にフューチャーしたPeter Malickのアルバム『New York City』のリミックス・アルバム。

もともとのアルバム『New York City』も当然持っておりまして、それはブルージー且つロックなテイストも入ったなかなかの好盤でした。ソロとしてのN.Jonesは1stアルバムから2ndアルバムにかけてもともとの素養としてのカントリー/R&Bよりな傾向に徐々に軸足を移してきていると思うのですが、『New York City』では客演という事もあり、ソロ・アルバム以上にブルージーな一面を見せてくれています。

近日中に出る3rdアルバム『Not Too Late』は果たしてどんな感じで攻めてくるんでしょう、楽しみ楽しみ。このアルバムはライブ・スタジオ・セッショントラック付き+4曲のボーナス・トラック特典があるとの事でiTunes Storeで予約注文しました。iTSだと1月29日発売だけれども日本盤CDだと1月24日発売らしいですね、しかもiTSのボーナス・トラックとはまた違う「2 Men」という曲がCDには入っているらしい。...むぅ、買っちゃいそうな俺がいるけれどもよく考えろ>俺。

話がちょっとズレてますが『The Chill Album』ですよ。

『New York City』をラウンジ風に、チル・アウト風に、クラブ・ミュージックのようにリミックスした楽曲が収められております。夜のBGMとしては凄く良いんじゃないかな、気だるくもくつろいだオシャレな空間を作り出せるんじゃないかと思います。

が、しかし。このアルバムは当然リミックス・アルバムなんですけれども、どうなんだろうね、別にN.Jonesである必要性はないし、たし算ばかりがしてあって元のアルバムを知っているだけに空間の余白が内容に詰めすぎているようで、何か息苦しくも感じちゃったり。「N.Jonesの知名度を最大限に生かしてオリジナル・アルバムからリミックス・アルバムから何やらまで売っちゃうぞ!」みたいな空気を感じなくも無かったり。大人の事情ですな。で、買っちゃう俺みたいのがいる、と(笑)。

でも、素直にオシャレなアルバムだし、そんな難儀な事を考えずに素直に楽しめばイイじゃん>俺

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Porcupine tree / Lightbulb Sun

Lightbulb Sun
Lightbulb Sun
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Porcupine Tree
K Scope (2008-05-27)
売り上げランキング: 56891

Steven Wilson(ex.No-Man、Blackfield)率いるPorcupine treeが2000年に発売したアルバム。

発表するアルバムごとにその音像を変えてくるPorcupine Tree、全てのアルバムを揃えている訳ではないのでその全体像はいまだ見えてはいないのですが、中でもこのアルバムはフォーキーな部分がより全面へと出ていて、それがメタリックなギターの鈍く尖った音色と不思議と上手く調和・融合しており、Porcupine Treeのアルバムの中でも最も聴きやすい一枚になっているのではないかと思います。

音の手触りは間違いなく英国の深い森の奥で木霊する叫びのような手触り。霧と冷たい湿り気と時折差し込む暖かな光り、そんな感じ。

M-2「How Is Your Life Today」での淡々と刻みを続けるピアノの上を昔のラジオから聞こえてくるようなヴォーカル、そしてバッキング・コーラスも交えた声の重なり、聴いているこちらの不安をジリジリと掻き立てるような一曲。

オリエンタリズムな旋律とヘヴィーなギターが印象的なM-3、コーラス・パートの声の重なりと重々しいバック&ギターとのコントラストが美しいM-4。

要所要所で聞こえてくる小鳥のさえずりや自転車のベルの音(?)から始まるM-8「Where We Would Be」、ゆったりとしたミディアム・テンポな楽曲ですが、曲の中盤で聴こえてくるそれまでの穏やかな田園の中を切り裂くようにやってくる捩くれて身悶えするようなギター・ソロとのコントラストがとても格好良い楽曲となっております。イチオシ。

アルバムのラストを飾るM-10「Feel So Low」、インナーではS.WilsonとR.Barbieri二人とゲストのストリングとの演奏となっていますが、それが濃厚でいてそれでいてしっとりとたおやかな楽曲となっております。途中、ちょっと後ろから聞こえてくるストリングスの音色に純朴とも言えるS.Wilsonのヴォーカルがしなやかに絡み合い、夕暮れを思わせるような暗さの中の暖かみを感じさせるバラード、あぁこの曲良いよ。

そうそう、いつの頃からかPorcupine Treeに加入していたR.Barbieriですが、以前のStrange Days誌のインタビューでJapanのメンバーでの再活動の事を聞かれた時か、

「?考えてみればジャパンとしてやったよりも長くポーキュパイン・ツリーに在籍しているんだ。」

と言っていて、本人には悪いけれどもちょっと笑った。R.BarbieriにとってJapanのネーミングはいつまでも付き纏うんだろうなぁ、特に日本では(笑)。

探すのが大変だったちょっと前と比べて、最近では買い求めやすくなったんじゃないかと思われるporcupine Treeのアルバムですが、中でもこのアルバムは初めての方でも聴きやすい部類に入るものだと思いますので、未聴の方はゼヒゼヒ。

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Kimmo Pohjonen / Kielo

Kielo
Kielo
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Kimmo Pohjonen
Rockadillo/Zencd (2002-05-20)
売り上げランキング: 620058

アヴァンギャルドなアコーディオン奏者Kimmo Pohjonenのソロ・デビュー作。

この人の事はもともとは元King CrimsonのTray Gunnと現King CrimsonであるPat MastelotteのユニットTUと共にタッグを組んだユニットKTU(←ブログ内リンク)での活動から知ったアコーディオン奏者でした。それでKimmo Pohjonenのソロ作「Kluster」(←ブログ内リンク)や後に発売されたKTU「8Armed Monkey」(←ブログ内リンク)等を買い求めたのですが、ふとフラフラHMVのページをさ迷っていた所このアルバムを発見、即効購入してみました。

HMVから購入したのがP-Vineから発売されていた日本盤だったのですが、この人の日本盤なんてあるんですね、ちょっと驚いた。この人の事もそうなんですが、他のB級やらマイナー・アーティストの事も含めて世界中で日本がその点では一番恵まれているのではないかしら、なんて思っちゃいます。あぁ日本人で良かった(笑)。

それはともかく、このソロ以前はフォーク・トラッドのバンドで2枚のアルバムを出していた事を差し引いてもソロ・デビュー作とは思えないほどの完成度。M-5でHarmoniumを使っている他は全てアコーディオンと声のみのアルバムとの事ですが、それが素直に信じられないくらいに密度の濃い音空間が作り上げられています。

通常のアコーディオンとは全く掛け離れた世界が広がり、暗鬱でアグレッシブ且つエモーショナルで強力な演奏が繰り広げられております、カッチョ良いよ。

あ、それとアルバムとは全く関係ないのですが、この人の名前を日本語表記しますと「キンモ・ポホヨネン」となるそうです。この人の名前を実際に口に出して喋ってみるとこれがまた、イイ感じで舌の上を転がるような響きがあります、ステキ。名前の事をとやかく言っちゃイケないってのは昔から言われてきましたし、実際私の名字も変名なのでさんざっぱらおちょくられてきたので良くないのは分かってはいるのですが、でも、イイ名前だよなぁ。それと「ポヨヨネン」だと勘違いしていたのは内緒。

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James / Getting Away With It...Live

Getting Away With It: Live
Getting Away With It: Live
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James
Import [Generic] (2002-06-04)
売り上げランキング: 374488

マンチェスターが誇る、でも日本では不思議なくらいに名前が売れてなさそうなバンドJamesのラスト・ツアーの模様を収めたライブ・アルバム。

Brian Enoがプロデュースしているという事で何の気なしに買ったのが『Wah Wah』、そこから何故だか気に入っちゃってアルバムを見つけるごとに買い求め、買い求めるほどに好きになっていったバンドがこのJamesでした。1999年発売の8thアルバム『Millionaires』からようやくリアルタイムで買い求めたほど遅れてやってきたファンでした。

当時はJamesというバンドが日本でどの程度の知名度や人気があるかなどって事は刺して気にも留めずにアルバムを集めていたのですが、ネットなどで調べていく内に「あぁ、この人達は日本で不釣り合いなくらいに人気が低い不遇バンドさんなんだ」と思っちゃいました。こんなにもキャッチーでメロディアスでポップさ爆発していて、でもシニカルな響きや皮肉めいた影も持ったバンド、日本人好みすると思うんだけどなぁ?もしや俺が知らないだけで大人気だったりするの?まぁ解散済みのバンド、だけれどもそんなバンドいくらでもあるしな、不思議だ。

そんな事はともかくとして。私が4人体制で再々...(何回目だか数えるのも面倒(笑))始動を始めたKing Crimsonに夢中になっている間にそんな大好きなバンドがいつの間にか解散しておりました。わはは、ファン失格だよ、マジで。その後何年か経ってCD屋さんでふと見つけたのがこの解散ライブの模様を収めたDVDでした。で、また2年くらい後にようやく見つけたのがこのCDでした。長かったな、だって、DVDしか出ていないもんだと思い込んでて、CDでも出ているの知らなかったんだもの。

バンドの地元であるマンチェスターで開かれた、それもラストとなるライブだけあってM-1「Say Something」っからもう大盛り上がり大会開催中、M-2「Waltzing Along」は2曲目だっていうのに客席からの大合唱が始まっているような盛り上がりを見せております。「Laid」があって「Johnny Yen」があって「Tomorrow」があって「She's A Star」(←大推薦な名曲!)があって「Come Home」、「Sit Down」の大合唱で〆る、と。過去のキャリアを総括するようなライブ盤且つベスト・アルバムのような機能も持ったアルバムになっています。もうね、ステキ過ぎ。ようやく見つけた嬉しさも相まってただいま絶賛リピート中。

「Amazonで買えばすぐ手に入るのに?」と思われるでしょうが、Amazonの検索は「James」の様なバンド名ではものすごく検索し難いので検索を諦めたりしてました。Jamesで検索かけるとJames BrownやJames Blunt、ジェイムス・テイラーらがガンガン引っ掛かって、肝心のJamesにはなかなか辿り着けないんだもの。何かイイ検索方法はあるのかしら、どうなのかしら。

閑話休題。

ヴォーカルを務めていたTim BoothがJames解散後に発表したソロ「Bone」には、何か微妙な居心地の悪さを感じてほとんど聴いていなかったりします。やはりJamesというバンドには「マジック」があったのでは?と本気で思い込んでおります。

これがたとえ再結成したとしても当時のバンドが持っていた「マジック」は再び同じ形では舞い降りないでしょうし、過去は過去として割り切るのが吉、なんでしょううけれども、それは分かっているんだけれども解散が勿体無かったと痛切に感じたT.Boothのソロ・アルバムでもありましたっけ。

それはさておき、Jamesを知らない人はまず「The Best Of James」から聴き始めると吉です。ベスト盤だけあって粒揃いの名曲揃い、まさしく買いですよ。

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King Crimson / The Power To Believe

ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2008-03-26)
売り上げランキング: 26353

2003年に発売され現段階でKing Crimsonの最新作、そしてTrey Gunnの脱退に伴いラインナップ6では最後の作品となるアルバム。

King Crimson line-up 6
第6期クリムゾン

The Power To Believe : ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ
(2003)

Album
1 : The Power To Believe I:A Cappella : ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ1:アカペラ
2 : Level Five : レヴェル5
3 : Eyes Wide Open : アイズ・ワイド・オープン
4 : EleKtrik : エレクトリック
5 : Facts Of Life:Intro : ファクツ・オブ・ライフ:イントロ
6 : Fact Of Life : ファクツ・オブ・ライフ
7 : The Power To Believe II : ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ2
8 : Dangerous Curves : デンジャラス・カーブス
9 : Happy with what you have to be happy with : ハッピー・ウィズ・ホワット・ユー・ ハフ・トゥ・ビー・ハッピー・ウィズ
10 : The Power To Believe III : ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ3
11 : The Power To Believe IV:Coda : ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ4:コーダ

Personal :
Adrian Belew : Guitar and Vocals
Robert Fripp : Guitar
Trey Gunn : Warr G,Fretless Warr Guitar
Pat Mastelotto : Traps And Buttons

2001年にフル・アルバム12thとなる『The ConstruKction Of Light(以下TCOL)』、そしてProjeKct X名義にて『Heaven And Earth』をリリースした後、活動を停止していたクリムゾンですが、2002年に再び新たなるサウンド・コンセプト「ヌーヴォー・メタル(日本版ライナーでは「ヌゥオヴォ・メタル」)」を掲げ、ミニ・ライブ・アルバム『Level Five』、ミニ・アルバム『Syoganai』を発表、そしていよいよフル・アルバムとして発売されたのがこの『The power to Believe』です。

先に未完成であろう楽曲達をとりあえずミニ・アルバムとして発表し、後にフル・アルバムとして完成形を示すというやり方は『VROOOM』→11th『THRAK』でも見られたやり方です。そしてもっといえば最初期から第4期まではライブで作り込んだ楽曲をアルバムとして発表するといったものでした。

しかし、ライブにて楽曲を練り上げそれをアルバムにするというそれまでの手法は、ライブを行ったミュージシャンのあずかり知らぬところでそのライブが海賊版業者によって即座に質の悪いブートCDとして流通してしまうという現在において、ミュージシャンの理に適ったやり方とはとても言えないのでしょう。海賊版対策の意味も込められ発売されたであろう『Level Five』、そしてフル・アルバムへの進化の過程を見て取ることが出来、クリムゾン・マニア達への業務進展状況報告書(笑)たるミニ・アルバム『Syoganai』が発売されました。

今回はミニアルバムが2枚出された後のフル・アルバムということで、曲自体の鮮度の低下やクリムゾン特有の後になればなるほどの作り込み過ぎによる硬直化といったものが個人的には心配していたアルバムでもありました。

そんな心配事をよそに、このアルバム、とても力強く前作『TCOL』からの進歩・成長(「進化」とまでは言えません)がそこかしこでビンビン感じられるアルバムに仕上がっていると思います。第4期以来久々に同じメンバーによって制作されたこともあり、前作で向かいつつあった方向へより進んだかに思える仕上がりです。

反面、前述した通りミニアルバムを2枚も出しており、再録音されたとはいえ同じ曲が並び、実際に新曲と言えるのがM-6「Facts of life」だけというのは少し寂しくもあります。とは言え、既出曲は軒並み成長が見られフル・アルバムの曲と呼ぶに相応しい仕上がり具合を見せているだけに、2枚のミニ・アルバムの存在が蛇足とは言わないまでも、少々必要性に欠けている気がしてならないところが正直な気持ちです。

 ...いや、『Level Five』も『Syoganai』もそれぞれ好きなんだけどね、やっぱマニアだし(笑)。

エフェクトをかなり効かせたA.Belewのヴォーカルがアルバム全体の統一感を担う「The Power To Believe」 をアカペラで歌い上げるM-1からこのアルバムは幕を開けます。 そしてダイナミックな跳躍を見せるM-2へと続いていきますが、この静謐なM-1から爆音を轟かせるM-2への流れは2th『In The Wake Of Poseidon』と錯覚させる構成となっており、ちょっとニヤリとしちゃいました。

「自己模倣では」とか反対意見はあるのでしょうが、 細かくは後で述べますがクリムゾンのアルバムとしてあえてこの並べ方にしたのだと思います。『Discipline』もそうだったのですが、曲順によってはもっと旧来のクリムゾン・ファンにアピールするアルバムになったのではないかと思いますね。

で、M-2。アルバム全体にも言えることなんですが、DrのP.mastelottoの成長ぶりとクリムゾン・サウンドへの貢献ぶりは只者じゃないほどに凄いことになっています。Mastelottoのアルバムと言っても過言ではない...、いや過言か(苦笑)。まぁ、とにかくそれくらいmastelottoがこのバンドの手綱を引きずり回しているのがよく分かるのがこの曲だと思います。

楽曲としては『Level five』のトコに書いたように、「Larks' Tongues In Aspic」や「THRAK」など過去の文脈をそのままなぞり、自己サンプリングしたかのようなものなのですが、ミニ・アルバム『Level five』よりも格段に手数の多いMastelottoのドラミングと、Frippのテクノへの傾倒が良い意味での影響として感じられ、数段優れたものとなっています。ミニ・アルバム版の同曲もライブ録音という勢いがあるため、手放せないものではあるのですがね。

『Shoganai』ではクリムゾンとしては異例のボサ・ノヴァ的なメロディを見せたM-3、このアルバムVer.ではGunnとMastelottoのリズム隊がより前に出てきており、ミディアムなバラード調なのだけれどもよりグルーブの強調された仕上がりとなっています。楽曲としての完成度は上がっていますが、これはシンプルだった前作の方が良かったかも。

M-2と同じくバンドとしての成長ぶりが伺えるM-4。この曲ではクリムゾンの目指すデジタル・サウンドといったものやFripp言うところの「ヌゥオヴォ・メタル」の形の片鱗が垣間見られるものとなっている気がします。「THRAK」に対する『 THRaKaTTak』のように、この曲を主軸に新しい曲達が次々と生まれてくることに期待したいです。

M-5のFrippのサウンドスケープとMastelottoの激しいドラミングをイントルーダとして始まるM-6は上でも述べた通り、ミニ・アルバムとカブる曲が多いこのアルバムの中では純粋な新曲と言える曲です。アルバム中もっとも所謂ハード・ロックやヘヴィー・メタルに近寄った楽曲となっており、重めのギター&ベース・リフなどは逆に聞きやすい曲に仕上がっているのではと思わせる、何だか書いてる自分もグルッと回って変な気分にさせられるものです(笑)。

いつもはもっと難癖の強いリフとリズムがあり、引っ掛かるような展開にクリムゾン・サウンドとしての真骨頂を感じるので、こういった、ストレート(イヤ、普通からするとこれはこれでイヤなリズム&リフ展開ではあるんだが)な楽曲はチト新鮮でした。
中間部のFrippのものと思われるギター・ソロもFrippの1stソロ『Exposure』を思い出させるソロとなっており、そんなところでもニヤリとしたり。

M-7では再びアルバムのテーマとなるフレーズが繰り返される構成ですが、この曲、『Level Five』の「Virtuous Circle」と『Syoganai』のもろガムランな「Shoganai」の2曲をニコイチにした造りとなっており、『Syoganai』ではあれほど疑問に思ったガムラン臭さもしっかりとしたクリムゾン・サウンドになっているから、大したもんだ(笑)。

中近東的なフレーズから始まり、クリムゾン的ベース・ルートからアジア的な展開、サウンドスケープがバックに広がりその上で奏でられる美しいギター・ソロへとつながるこの曲、なかなかのお気に入り。Belewのヴォーカルも「これが入ったから曲としてのまとまりが完成」といったものに仕上がっているし。

続くM-8は2ndの「The Devil's Triangle」や5th「The Talking Drum」を思い起こさせ、ミニ・アルバムにおいても「特にP.Mastelottoのドラミングの手数の多さとそのカッコ良さにはマイッタ」ということを書いていたのですが、今回はそれ以上に、もーマジでカッチョいい!毎回毎回書くのはシツコいかもしれませんが、これもMastelottoサイコー!な一曲。だってカッチョいいんだもの、パーカッションが。

古典的クリムゾンともテクノ的とも言えるリズム構成とギター・リフ、そして中間部分から入ってくるベース・ルートが背筋をゾクゾクさせるほど緊張感溢れる展開にさせており、唯一War G.奏者のGunnの面目躍如といった一曲となっています。
発売日前日、会社帰りに即効でCD屋に立ち寄り、帰りがけの車の中で聴いていたのですが、とりあえずこの曲が最高に盛り上がった瞬間「キターーー!!」と一人車内で叫んでおりました、私(苦笑)。

ミニ・アルバムで聴いたときにはだいぶ不満に感じたM-9ですが、アルバムVer.ではサイズもコンパクトにまとめられており、タイトかつストレートに仕上げられたせいもあり、今回は逆になかなかの好感触。これの日本版シングルも出るっていう話だったのがライナーによると中止になった模様。ま、そりゃそうだわな。わざわざシングルカットしたところで日本で売れる訳ねぇだろーし、それは正解(苦笑)。

アルバムのテーマたる「PtB」の3であるM-10はProjeKctシリーズから繰り返し繰り返し演奏され続けてきた「The Deception of The Thrush」にBelewのヴォーカルを被せたもの。確かに確固たるクリムゾン・サウンドに仕上がっていることは確かなんですが、正直もう飽きた。何回出しゃ気が済むんだよ!ぐらい言いたい(笑)。

で、ラスト、再びPtB4であるM-11はFrippお得意のサウンドスケイプにM-10と同じくBelewのヴォーカルを被せたもの。いつも思うんですが、サウンドスケイプは線の細いヴォーカルやしっとりとしたもの、女声ヴォーカルとは非常に相性が良いなという事。Belewのヴォーカルとも非常にマッチしており、2分30秒で終わらせてしまうのは勿体ないと思います。ま、サウンドスケイプが苦手な人もいるとは思いますが。

アルバム全体の印象は前作に比べ進歩は見えるものの、全体としての焦点があまりにもぼやけてしまっていて散漫なものとしかとれません。曲順・構成を変えれば...とも思えますし、果たしてそれだけなのか?との思いもあります。個々の曲は悪くないだけに非常に勿体ない仕上がりだと思います。

アルバム発表後、Crimsonでやるべき事はやり終えたとの思いからかT.Gunnが脱退、T.Levinが出戻り再び四人体制でスタートするKing Crimsonですが、これまでのヌーヴォ・メタル路線からどのように変わっていくのか、変わらないのか、はたまたそれよりもp.Gabrielのツアーに出てしまいがちなT.Levinでベースは大丈夫なのか?といった心配が尽きないバンドではあります。

まぁ、ここまで付き合ったんだから、これからもついてゆくと思います、マニアだしね(笑)。さて、次のアルバムは何年後なのかなぁ...?



2006/01/08 追記
この『The Power To Belive』に対するR.Fripp御大の偏愛ぶりは格別のものがある様でして、2005年に発売された4枚組みベスト・アルバム『The 21st Century Guide to King Crimson Vol. 2: 1981-2003』(以下『真・紅伝説2』)へはこのアルバム11曲中10曲もの楽曲が収められています。っつーか、「Dangerous Curves」が入ってないだけって云う話もある...。

先日発売された『The Condensed 21st Century Guide To King Crimson 1969 - 2003』(以下『濃縮』)にも11曲中6曲(「Happy with what you have to be happy with」のみEdit Version)が収められています。

ココまでの入れ込み具合はR.Fripp御大が自ら傑作と認める三大アルバム『In The Court Of The Crimson King』、『Red』そして『Discipline』と同レベルな入れ込みようと感じます。

...そこまでイイかなぁ?

それだったら、以前のエントリーの繰り返しになりますが一つ前のアルバム『The ConstruKction Of Light』(以下『TCOL』)の方が断然良いと思っている私はファン失格なのでしょうか?そうなのかしら。傑作と思っている『TCOL』からの楽曲は『真・紅伝説2』にもはライブ・バージョンは収めれてはいるけれども、スタジオ・バージョンは一曲たりとも収められていなかったり『濃縮』には一曲たりとも収録されていないという随分な差別のされっぷり。

「何故!?」等と疑問をR.Fripp御大にぶつけた所でしち面倒くさい文言を並べ相手を煙に巻くような回答しか返ってこないのでしょう。今まで発表されたベスト・アルバムには収められるべきものは収められ、収めないと判断された楽曲は徹底的に収められないという、ベスト・アルバムの楽曲の選曲には殆どブレがありませんでした。なので、多分またいずれ出るであろうベスト・アルバムにも『TCOL』からのスタジオ・バージョンが収められるのではないか?という希望に対してはちょっと悲観的だったりします。

ま、あんまり悲観的な事ばかり書いていても仕方ないので、ここは今年2007年に再開されるといわれているKing Crimsonの新作に期待しておりますって事で〆させて頂きます(←あぁ、またグダグダな〆だな、オイ)

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King Crimson / Shoganai

Shoganai.jpg

2002年に行ったツアーの中から新曲・既発曲を収めたライブ・アルバム『LEVEL FIVE』から早7ヶ月、来年2003年初頭にも発売されると言われている次期アルバム『Power To Believe』に先駆け、再びミニ・アルバムという形で『Shoganai』が発表されました。

【↓OPEN】

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

King Crimson / Level Five

Level Five
Level Five
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King Crimson
Pony Canyon (2009-01-13)
売り上げランキング: 39426

2001年に12thとなる「The ConstruKction Of Light(以下TCOL)」、そしてProjeKct X名義にてTCOLの表裏一体のインプロヴィゼーション・アルバムである「Heaven And Earth」をリリース、いったん活動を休止したKing Crimsonが、再び2002年に行ったツアーの中から新曲4曲(内1曲は隠しトラック)、既出曲2曲が収録されたライブ・アルバムがこの「LEVEL FIVE」です。

King Crimson line-up 6
第6期クリムゾン

Level Five : レヴェル・ファイブ
(mini album ; 2002)

Album
1 : Dangerous Curves : デンジャラス・カーブ
2 : Level Five : レヴェル・ファイブ
3 : Virtuous Circle : ヴァーチェエス・サークル
4 : The Construction Of Light : ザ・コンストラクション・オブ・ライト
5 : The Deception Of The Thrush : ザ・ディセプション・オブ・ザ・スラッシュ

Personal :
Adrian Belew : Guitar & Vocals
Robert Fripp : Guitar
Trey Gunn : Warr Guitar
Pat Mastelotto : Drumming

ミニ・アルバム『VROOOM』が11th『THRAK』の「リハーサル・テープ」としての役割を果たしたものであるように、スタジオ録音とライブ・アルバムであるという違いはあるものの、この「LEVEL FIVE」も2002年秋にも発売されるであろうニュー・アルバムである13thの露払い的な役割を担うアルバムと言えると思います。

M-1「Dangerous Curve」は、2ndの「The Devil's Triangle」や5th「The Talking Drum」を思い起こさせ、なおかつ現在のメンバーでなくては演奏しえないナンバーとなっており、過去のイディオムと現在の演奏・構成力とが非常に高い地点で融合している力強い楽曲に仕上がっていると思います。正直パッケージを開けCDプレーヤーで初めて聴いたときにはKing Crimsonの新曲としては久々胸が高鳴りました。特にP.Mastelottoのドラミングの手数の多さとそのカッコ良さにはマイッタ。

また、M-3「Virtuous Circle」やM-5が終了した後の1分間無音の後に始まる隠しトラックについては、正直なところこのままの状態であったならばProjeKctシリーズの曲としては成立するかも?、といったところですが、King Crimsonならではの今後のスタジオ盤での曲への練り込みに期待、って気もします。川の流れのように一定しない楽曲の表情もCrimsonらしさを醸し出しているし、Belewのギターによるエスニックな味付けも気持ち良いです。何よりT.GunnによるWarr GuitarやP.MastelottoのV-Drumの仕事ぶりも良い感じですし。

このアルバムを初めて聴いた際に頭に浮かんだ言葉は「人力自己サンプリング」って言葉でした。上に上げた3曲などはそれが素晴らしく良い方の作用しているしていましたが...

その「人力自己サンプリング」の悪い側面が露骨に出てしまっているのがM-2「level Five」ではないかと思っています。この曲は「21st Century Schizoid man 」とともに過去・現在・未来に渡ってCrimsonのアイコンであり続けるであろう「Larks Tongues In Aspic(以下LTIA」」のPart Fiveとして作曲されたという情報もあり、それまでの同曲からどれほどの進化をしているのかと大期待して聴いたのですが。

「LTIA」や「THRAK」など過去の文脈をそのままなぞって、構成・配置を入れ替えただけの手抜きの楽曲であるかのようにしか聞こえないです。この手の楽曲はもう既に私の中では手癖みたいなものになってしまっていて、大好きではあるんですがね。

「King Crimson」という名前には安住・安寧は求めず、常に「同じではあるけれども、変化し続ける」といったCrimson像を求めてしまうため、私は単なる焼き直し的な「Level Five」には素直に良い楽曲であるとは言えません。

このまま「Larks' Thrak」という曲タイトル(Crafty Gutaristsでもうモロに「LTIA×THRAK÷2」だった曲にこのタイトルが使われていたこともありましたっけ(笑))にした方がイイかも。今秋に予定されているスタジオ録音のニュー・アルバムでは再構成・フル・スクラッチされる事を願いたいです。

自分の脳内に駆け巡るるCrimson評を振り返って、ニューアルバム発表前の露払い的ライブ・アルバムとはいっても、そこはやはり聴き手がCrimsonに求めるハードルは高いんだなって思いました。

そろそろ「ここはこう来るよ!」っていうお約束を許せるようになるべきかな?とも思いますが、Crimsonにはそのようなものは求めませんし、そうなったら興味も半減してしまうことでしょう。大人げない?(苦笑)。

また既発曲である「TCOL」は、「Heavy ConstruKction」に収められていた以前のライブ・ヴァージョンに比べてすごくタイトな演奏になっており、実はこの方が好み。音が整理され、輪郭がクッキリした感じ。良い感じ良い感じ。

ProJeKctシリーズや「Heavy ConstruKction」等に度々収録されている「The Deception of The Thrush」は、インプロのイイ遊び場としてメンバー本人達(もしくはR.Fripp)は気に入ってるんでしょう、これだけ色々なアルバムに収めるって事は。しかし、これ入れるんだったらDGMで視聴できる「EleKtriK」(←ほんの少ししか聴けなかったですが、これはイイ!かも)を入れて欲しかったな。

TCOL」→「LEVEL FIVE」への過程は順当な進歩であり、「TCOL」路線が大のお気に入りである私はまぁ○であり、妥当かなとも思えるのですが、過激な進化を期待する人はチト不満かも。でも、このアルバムの演奏やM-1を聴いた限りでは次のスタジオ・ニュー・フル・アルバムには大期待したいです。

ただ心配なのは『VROOOM』→『THRAK」』の時にも現れたKing Crimsonの悪癖だとは思うんですが、『THRAK」』のページにも書いたように、より緻密な楽曲・音造りに力点が置かれ、スタジオでの曲の造り込みをしすぎて、曲やバンドのもつ初期衝動、勢いが著しく削がれてしまっている気がしないでもありません。

そんな心配が杞憂に終わる事を祈りつつ...。

...つーか、ミニアルバムだっつーのに長過ぎだよ>俺。



2006/01/09 追記
今読み返してみるとその後の展開に不安アリアリな様子が窺えるっつーか、ストレートに「手放しオーケー!!」な感じが全く無さ気なのが自分でも可愛いと思います(苦笑)。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

King Crimson / The ConstruKction Of Light

The ConstruKction of Light
The ConstruKction of Light
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King Crimson
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『クリムゾン・フラクタル分裂」、メンバーの脱退を経て4人体制・ダブル・デュオとなって出発した第6期クリムゾンの傑作アルバム。

King Crimson line-up 6
第6期クリムゾン

The ConstruKction Of Light : ザ・コンストラクション・オブ・ライト
12th album ; 2000

Album
1 : ProzaKc Blues : プロザック・ブルーズ
2-3 : The ConstruKction of Light : ザ・コンストラクション・オブ・ライト
4 : Into the Flying Pan : イントゥ・ザ・フライング・パン
5 : FraKctured : フラクチャード
6 : The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum : ザ・ワールド・マイ・オイスター・スープ・キッチン・フロア・ワックス・ミュージアム
7-9 : Larks' Tongues in Aspic-Part IV : 太陽と戦慄 パートIV
10 : Coda:I Have a Dream : コーダ:アイ・ハブ・ア・ドリーム
ProjeKct X
11 : Heaven And Earth : ヘブン・アンド・アース

Personal :
Adrian Belew : Guitar and Vocals
Robert Fripp : Guitar
Trey Gunn : Bass touch Guitar,Baritone Guitar
Pat Mastelotto : Drumming

ダブル・トリオにてスタジオ・アルバムとしては『THRAK』1枚のみを発表、その後活動をストップしてしまったクリムゾンですが、そのスタジオ・アルバムでさえ、ダブル・トリオという力の有り余った編成に振り回され、その力を100%生かしきれたとは言えない出来でした。

またメンバーそれぞれのソロ活動もあるため、6人でのクリムゾンの編成で続けていくことにはスケジュール的にも予算的にも無理があったようです。そういった幾つかの理由と次期クリムゾンの「調査・開発」するといった名目により、R.Frippを軸とする3?4人がバンドを組みツアーを行うという「クリムゾン・フラクタル分裂」たる「ProjeKct」は展開されました。

ただし、そのProjeKctシリーズの過程の中でB.Brufordはエレクトリック・ドラムを勧められるものの、それを拒否、自身のバンド「アース・ワークス」のツアーをスケジュールに入れてしまい、またT.Levinはシールとのツアーが予定されていたためスケジュールの調整がつかずにそれぞれが不参加ということになったようです。

ダブル・トリオにこだわれば、いつまで待ってもクリムゾン再始動が出来ないということで、R.Frippはメンバー間のスケジュール調整に見切りをつけ、残ったメンバー4人で次期クリムゾンを始動・アルバム制作に入ったようです。

現クリムゾンでの4人のメンバー構成をR.Frippは「ダブル・デュオ」と称しているようですが、それはいつもの「決まり文句好き」(「The Drive to 1981」とか「MOR3部作」とか、その他色々(苦笑))な面が出ただけであって、その文言には正当性はないと思います。

普通の「カルテット・バンド」だし(笑)。それは横に置いといたとしても、メンバー2人のリストラ(?)を強行し、4人のタイトな編成になったおかげで「ダブル・トリオの意味性」といった重しもとれ、よりストレートでハード、パワフルなクリムゾンの音が構成されています。

まず、強烈にエフェクトされたヴォーカルに「これがクリムゾン?!」と正直言って驚いた「ProzaKc Blues」。ヘヴィーなT.GunnのBass Touch Gがうごめき回り、メチャツボな感じのギターもこちらの思うブルーズ進行では進んでくれず、クリムゾン流にブルーズを演奏するとこうなるよっていう意味なのか、もう何だかむず痒くなるような曲。私はこの曲から「理性的なグランジ・ハード・コア」を連想しました。

ところでこの曲、R.Frippの日記ではゲスト・ヴォーカルとしてHooter J Johnsonが録音に参加している旨が記載してあるのですが、ジャケット中には名前の記載はないし、どうなんだろ?ゲスト・ヴォーカルがいたとしたらアルバム「リザード」以来久々なことなんだけども?(注記:このHooter J Johnson、やはりA.Belewが強烈なボーカル・エフェクトかけた変名ヴォーカル)

2曲目の「The ConstruKction of Light」では80年代に培った2本のギターによるアルペジオが背中をムズムズさせられる、「ディシプリン」やギター・クラフトのアルバム直系のサウンド。

この曲は前半(M2)のインストュルメンタル部分と後半(M3)のヴォーカル部分との2部構成となっています。これを別々な2曲としても面白いし、2部構成にせずにもっとタイトなヴォーカル曲としても面白い曲が出来たのでしょうが、それをわざわざ2部構成の計8:39の曲に仕上げるところがニクいところです。この構成、大好き。

「Into the Flying Pan」はProjeKct 3もしくは4での成果を踏まえつつも、A.Belew色の濃い、ある意味ポップ(このアルバムの中ではね(笑))な1曲。70年代のようなクリムゾン特有のギターのロング・トーンも顔をのぞかせます。ただ、「The ConstruKction of Light」と「FraKctured」に挟まれて、それらのブリッジと言おうか、繋ぎの軽めな曲に聞こえてしまうこのアルバム、かなり変ではあると思います(苦笑)。

「FraKcture」の流れを汲む曲だけあって緩急入り交じったギター・フレーズが心地よくも気味が悪い「FraKctured」。中間のパートにおけるの劇的な展開部はけっこうスゴいです。

ただし、70年代のカッチリと構成された「FraKcture」や「Starless」などで見られたような『起・承・転・結』のようにキレイに盛り上げてゆくという作曲パターンではなく、「THRAK」にも見受けられるような、テーマ的な前半部から中間の展開部、そして後半にてまたテーマに戻り、そのまま終わってゆくという構成には、現在のクリムゾン流インストの解釈と見るべきか、それとも『起・承・転・結』という作曲はもうしない or 出来ないのか?と見るべきかは正直悩みます。

クリムゾンではありませんがR.Frippが名前を連ねるシルヴィアン&フリップのアルバム『The First Day』にてダダ漏れのようにフェードアウトしてゆく曲が多かったため、そんな感慨を持ったりしちゃいました。

まぁ、そんなことは横へほっぽり投げるくらいにこの曲、大好きではあるんですが、こんな複雑怪奇な曲をホントにライブで演奏できるのかなぁ?ま、演奏しなかったら客は怒るだろうけれども(笑)。

前作『THRAK』中の「Sex Sleep Eat Drink Dream」をダブル・デュオ流に派手に展開したような「The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum」。中間に激しいインプロヴィゼイション部分があるため、未だに演奏され続ける「Indiscipline」のようにライブにて魅力を発する曲ではないかと思います。随所にピアノの音とを模したギター・シンセの音が出てきており、ちょっとニヤけてみたり。

で、このアルバムのクライマックス、「Larks' Tongues in Aspic-Part IV」。とにかく迷曲(苦笑)「? Part III」の存在がすべて帳消しになるほどの力強さと圧倒的な曲の流れ。ウダウダとしたことは書いていられないくらいに、もう手放しで大絶賛。

そして「Coda:I Have a Dream」へのブリッジ部分の流れは絶妙で、この部分を聴くたびに背中がゾクゾクきます。スマン、上(↑)で「?作曲はもうしないor出来ないのか?」なんて書きましたが、80%以上それは撤回。ホント素晴らしくハードでパワフルで美しい曲構成。

続く「Coda:I Have a Dream」、この歌詞はクリムゾン史上でも「Starless」や「Epitaph」に並ぶくらいの重みと説得力を持ったものではと思います。私的には邦楽でも洋楽でも「詩」といったものには殆ど興味を示さず、もっと言えば、何を歌っていようがどうでもイイほうなんですが、そんな私でさえこの詩には惹かれるものがありました。

アメリカを中心とした歴史の悪夢のような単語を羅列しただけの歌詞ですが、それが故に歌詞の重みを否応なく感じさせるものとなっています。R.Frippの日記には、この曲をアルバムに残すか外すかといった事が問題になったと書かれていますが、この曲が無ければ私的な価値は、半減とは言わないまでも、非常に落ちたことは間違いありません。

そしてアルバムのラストには、ボーナス・トラックとして現クリムゾンと同じメンツで構成される「ProjeKct X」名義の曲「Heaven And Earth」が収められています。「ProjeKct X」名義ではありますが、たおやかなサウンド・スケープの上に他の3人が軽快な演奏で進行してゆくといった構成のこの曲、過去のクリムゾン/ProjeKctをもっとも連想させ、アルバム中では一番聴きやすい(私にはね(苦笑))ものになっています。この曲の出来からもこの秋に発売予定されているProjeKct Xのアルバム、期待出来そうです。

このアルバムには前作の「One Time」や「Walking On Air」などにあったような叙情性は見事なまでに排除されており、またビートルズ好きなA.Belewがみせていた”どポップ”さ加減も影を潜めています。このアルバムの路線からいえば、多面体であるクリムゾンのそういった面を出さなかったのは大正解だと思います。このバンド&メンバーでハード&パワフルにやりたいことを妥協無しでやり切ったアルバムであり、「ダブル・トリオ」といった巨体に振り回されていた感のある『THRAK』とはレベルが違う完成度を誇るアルバムに仕上がっていると思います。

しかし、「宮殿」やら「戦慄」を至上のものと崇め奉っている旧来のファンの人にとっては、叙情性もなく、B.Brufordもいず(笑)、パワーだけで押し切っているようなこのアルバム、評判悪いこと間違いないのでは?

それでイイんだと思いますし、このアルバムは今までのクリムゾンを聴いたことの無いような洋楽ファンこそが聴くべきアルバムだと思います。こんな事言うのも80' & 90'クリムゾンの大ファンである盲目的な私だからかもしれませんがね(苦笑)。

僕的には「総合得点95点」って感じ、あとの5点は次回作に期待するということでとっておきます(笑)。しかし、今度こそは同じメンツでセカンド・アルバム出して欲しいなぁ、もっと言えば今回のアルバムに参加しなかった2人が参加してくれれば言うこと無し(苦笑)。

あと、このアルバム、スタジオにて重ね撮りが結構されているような記述が日記からも読み取れたのですが、ライブは4人で大丈夫なのかなぁ?できればT.Levinを含めた5人編成だと凄いライブになりそうだし、何より嬉しいんだけれども。そこにB.Brufordがいれば文句無しなんですが、その線は何だか無さそうだしね(笑)。



2007/01/07 追記
私、このアルバムは『Discipline』以降のクリムゾンでは最高傑作だと思っています。...でも「?以降」って言ってもフル・アルバムは『Beat』?『The Power To Believe』まで4枚しかないんだったな(笑)。

そんな風に思っている大好きなアルバムなのですが、R.Fripp御大の認識とはどうも違うようで、『The Power To Believe』以降に出されたベスト・アルバムにはこのアルバムからの楽曲は一つも入っておりませんでした(注:スタジオ・ヴァージョンではなくライブ音源という形では収録されてはいましたが)。どういうこったい?

R.Fripp、A.Belew、T.GunnそしてP.Mastelottoの4人でのKing Crimson・ダブル・デュオとしての完成形を『The Power To Believe』であるとR.Fripp御大は思っているのかもしれませんが、逆に『The Power To Believe』をそれほど評価していない私は余計にこの『The ConstruKction Of Light』の扱われようが悲しくなってきます。

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King Crimson / THRAK

THRAK
THRAK
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King Crimson
WHD (2006-03-14)
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「バンドの青写真」であるミニ・アルバム「VROOOM」、そして「B'BOOM」に収録されたアルゼンチンでのライブを経て、準備も万端、満を持して収録された、フル・アルバムとしては11年ぶり(!)となるアルバム。

King Crimson line-up 5
第5期クリムゾン

THRAK : スラック
11th album ; 1995

Album
1 : VROOOM : ヴルーム
2 : Coda : Marine 475 : コーダ:マリーン475
3 : Dinosaur : ダイナソー
4 : Walking On Air : ウォーキング・オン・エアー
5 : B`Boom : B・ブーム
6 : THRAK : スラック
7 : Inner Garden I : インナー・ガーデン 1
8 : People : ピープル
9 : Radio I : レィディオ 1
10 : One Time : ワン・タイム
11 : Radio II : レィディオ 2
12 : Inner Garden II : インナー・ガーデン 2
13 : Sex Sleep Eat Drink Dream : セックス・スリープ・イート・ドリンク・ドリーム
14 : VROOOM VROOOM : ヴルーム・ヴルーム
15 : VROOOM VROOOM : Coda :  ヴルーム・ヴルーム:コーダ

Personal :
Robert Fripp : Guitar,Soundscapes,Mellotron
Adrian Belew : Guitar,Voice,Words
Trey Gunn : Stick,Backing Vovals
Tony Levin : Uplight & Electric Basses,Backing Vocals
Pat Mastelotto : Acoustic & Electronic Percussins
Bill Bruford : Acoustic & Electronic Percussins

前作では「緻密な音造り」と「暴発寸前の衝動性」のバランスが高いレベルで(意図せずに?)取られていましたが、このアルバムではフル・アルバムということで、より緻密な音造りに力点が置かれ、結果として暴発寸前のバンドの衝動性は押さえこまれているかのように思えます。

アルバム全体としては『In The Wake Of Poseidon』や『Larks' Tongues In Aspic』でみられたような、同じテーマの変奏曲にて全体をサンドウィッチするという手法が何層にも渡って取り入れられています。そして、第3期「レッド・クリムゾン」のイディオムを使っていることも含め、従来のいわゆる「クリムゾン的手法」をバンド自身が肯定的かつ効果的に、しかもそれが単に懐古主義的ではない使い方をしている点には注目すべきだと思います。

「VROOOM」のエントリーでも書いたように、アルバム『VROOOM』に収録されていた「VROOOM」・「THRAK」・「One Time」・「Sex Sleep Eat Drink Dream」の4曲は、より完成度を上げ再録音されたものがこのアルバムには収録されています。

まず、このアルバムのいきなりの目玉その1、「VROOOM」。アルバム『VROOOM』からさらに楽曲は練り込まれ、音もガッチリとしたブ厚い音へと成長しています。また、この曲はLチャンネルにR.Fripp・T.Gunn・P.Mastelottoのベーシック・ライン組、RチャンネルにA.BelewT.LevinB.Brufordのアグレッシブ・ライン組を配置し、疑似ステレオ効果を狙った録音となっています。そのおかげで、左右のスピーカーの間へキチンと座って聴かないと左右どっちかの音が偏って聞こえてしまい、それもまた一興ってな感じです(笑)。

また、アンプでスピーカーのLRチャンネルを片側に絞り『さっきはベーシック・ラインを聴いたから、今度はアグレッシブ・ラインを聴いてみよう』なんて事も出来て、楽曲の複雑な構成が細部に渡って確認出来る、まさに『一粒で三度美味しい』曲に仕上がっています。私はこれ、車の中で『LR→L→Rチャンネル』という順番でよくやるんですが、結構キますよ、危ないのでオススメはしません(苦笑)。

またこの曲の変奏曲「VROOOM VROOOM」も第3期、特にレッドそのままの語法を良い意味において憶面もなく使用しており、それが前述した通り、懐古主義に陥らずに強力な印象をもって耳の底へと響いてきます。

「Dinosaur」は象の鳴き声から恐竜の咆哮へとパワーを増したA.Belewのギターが冴え、しかもA.Belewのクラシック・ポップ好きが良い方向で新しいクリムゾン・サウンドとうまく溶け合った音造りとなっており好作品に仕上がっていると思います。それはアルゼンチン・ライブにて原形が出来上がっていた「Peaple」や前作にも収録された「Sex Sleep Eat Drink Dream」にも言えることだと思います。

また、久しぶりに微量のウェットな質感を覗かせつつ、全体に流れる浮遊感が心地よい「Walking On Air」や、ドライなリリカルさと寂寥感が前作に収録されたものよりもより完成されている「One Time」らも小粒ながらアルバム全体のコントラストをより高めています。

そして、このアルバムの目玉その2,「B'Boom」?「THRAK」への流れ。「B'Boom」ではR.Frippのサウンドスケープが静かに流れる中、B.BrufordとP.Mastelottoのドラマー二人が緊迫感あふれるドラムの応酬を繰り広げ、それが一点に収束したところで、フレキシブルな構造を持ちつつ、メタリックな攻撃性を十分に内へと秘めた「THRAK」へと繋がっていきます。

この曲はアルバム版も勿論良いのですが、本領は『THRaKaTTaK』にも収録されたようなライブでのインプロヴィゼイションの場においてでしょう。『Larks' Tongues In Aspic』における「トーキング・ドラム」?「太陽と戦慄 パート2」の流れを彷彿させニヤリとさせられる流れの2曲だとも思います。

ただし、このアルバム、緻密な作りにて非常に完成度は高いし、曲も良い曲が揃っていることは確かなんですが、その緻密さや理詰めとも思えるほどのガチガチの完成度がかえって、バンドのが持っていた純粋な音楽への衝動性を削いでしまっており、妙に手触り感の無いアルバムになってしまっているような気がします。

例えるなら、『VROOOM』が触れたなら怪我しそうなくらいに鋭利で重量感のある、掘り返したばかりで泥もまだ付いていそうな宝石の原石ならば、この『THRAK』は人の手によってブリリアント・カットなどに綺麗に加工され店頭に並ぶ、美しく磨き上げられた宝石のような、そんな感じです。

期待していた「ダブル・トリオ」が持つはずの爆発的な力が、このアルバムでは「VROOOM」、「THRAK」といった楽曲以外ではあまり実感できず、他の曲ではただ単に音の厚みを厚くする手段にしか思えないところが残念でした。

このアルバムでの「ダブル・トリオ」は全面的に成功したとはメンバー、そしてその中核であるR.Frippらも考えてはいないようで、その反省と「ダブル・トリオ」クリムゾンの持っている力を十二分に引きだすため、R.Frippを軸としてメンバー3?4人が入れ替わり立ち替わりで構成されている「クリムゾン・フラクタル分裂」たるProjeKctシリーズが行われているのだと思います。



2007/01/06 追記
次期アルバムの為のリハーサルの模様がThe Collectors` King Crimson Volume Four?(2001)中に『Nashville Reheasals 1997』というアルバムとして収められていますが、それがリハーサルでもある事をさっ引いたとしてもあまりのクリムゾンとしてのバンドの統一感の無さ、メンバーの方向性が統一されていないベクトルの欠如などがアルバムの音からも酷く滲み出てきているといったものになっています。

ダブル・トリオといったアイデアは面白いものだったのですが、後にA.Belewも

ドラムスとベースがそれぞれ二人ずつという編成だとどこかお互いに遠慮する部分があって、かえって表現の幅が狭くなるように僕には思えたんだ。

とインタビューで言っていた通り、人数の多さ・ダブル・トリオでの取り組みによるダイナミズムよりも、『Starless And Bible Black』の「Trio」で顕著にみられる、一人一人がバンドに対して楽曲を奏でる/敢えて音を出さない事による貢献といったものが失われてしまったデメリットの方が次第に大きくなっていたのではないでしょうか?

この『THRAK』、大好きなアルバムですし、一枚のアルバムとしては非常にまとまり良く出来ているアルバムだと思いますが、そのまとまりは私にとってはちょっとこじんまりとしたものとして感じられてしまったのが残念でした。

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King Crimson / VROOOM

ヴルーム(紙ジャケット仕様)
キング・クリムゾン
WHDエンタテインメント (2006-07-26)
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クリムゾンのボックス・セットを皮切りに、R.Frippの口から出されたクリムゾン復活宣言から待つこと3年、今か今かと待ち望んでやっと発売された6曲入りミニ・アルバム。

King Crimson line-up 5
第5期クリムゾン

VROOOM : ヴルーム
Mini album ; 1994

1 : VROOOM : ヴルーム
2 : Sex Sleep Eat Drink Dream : セックス・スリープ・イート・ドリンク・ドリーム
3 : Cage : ケージ
4 : Thrak : スラック
5 : When I Say Stop,Continue : ホエン・アイ・セイ・ストップ、コンティニュー
6 : One Time : ワン・タイム

Personel
Robert Fripp : Guitar
Adrian Belew : Guitar,Voice,Words
Trey Gunn : Stick
Tony Levin : Basses and Stick
Pat Mastelotto : Acoustic and Electronic Percussions
Bill Bruford : Acoustic and Electronic Percussions

とにかく発売までの間、R.Frippはメンバーを3人(R.Fripp、A.Belew、T.Levin)しか公表しないわ、ドラマーは「Sylvian & Fripp」のドラマーだったJerry Marottaだと言いつつも、「Sylvian & Fripp」のツアーにはJ.Marottaを解雇して現メンバーのP.Mastelottoを引き連れ、「J.Marottaは?」と訳分からなくさせるわ、ヴォーカルをD.Sylvianにアプローチするわ(早い段階でこの話はボツになったようですが)、そんなことよりもB.Brufordは雑誌のインタヴューでいつの間にかドラマーが他人に決まっていることに落ち込んでしまうわと、アルバム発表直前までバンドのフォーマットさえも決まっていないかに見え、「ホントに出るんかいな?」とファン(というか私)をヤキモキさせたものです。

そして発表されたフォーマットが、6人編成、しかも第4期のメンバーにT.Gunn、P.Mastelottoの二人を加えたギター・ベース(スティック)・ドラムが二人ずついるという「ダブル・トリオ」編成だったのにはビックリした思い出があります。

よくツイン・ギターとかツイン・ベース、極く稀にツイン・ドラム(そういえば第3期のアルバム『Larks' Tongues In Aspic』もニュアンスは少し違いますがそうでしたし、第4期もライブではB.Bruford+A.Belewでツイン・ドラムの演奏をしていました)っていうバンドはありますが、「ギター・ベース(スティック)・ドラム」の『トリオ』が『ダブル』っていう、なんていうか、往年の「クイズ・ダービー」の『倍率ドン!、2倍、3倍、8倍??、さらに倍』みたいな(←?、例えが古いし、今の人は知らないだろうな(苦笑))形態だけで、もう期待するなというほうがオカシイでしょう。

音も「レッド・クリムゾンのイディオム」を再び使う「メタル・クリムゾン」になるだろうというR.Fripp自身のインタヴュー記事を読んだ日にゃぁ、発売日が近くなるにつれアドレナリンやら脳内麻薬が出まくるのは当然としか言えませんでしたね。
もちろんのこと、発売日の前日に予約購入したのですが、そん時は興奮しまくってたもんなぁ(苦笑)。

で、音を聞いた瞬間にもうイキまくってました、ホントに。

1曲目の「VROOOM」はまさに「レッド」など第3期の脈絡を見事に受け継いでおり、メタリックなブ厚い音隗で迫ってきますし、「スラック」は硬質なインプロヴィゼイションに使用されることを端から予想して造られていながらも未完成な荒々しさを持った力強い仕上がりとなっています。

また、第3期・第4期のイディオムがうまく融合したかのような「Sex Sleep Eat Drink Dream」、ヴォーカル面では第4期にて「David Byrneもどき」などと散々コケにされたA.Belewもソロ経験を積み重ねてきた結果、幅広い表現力を持ったことを証明し、演奏面でもドライな叙情性を久々に見せたように思える「One Time」など、聞き所満載でしょう。

上記4曲は後のフル・アルバム「THRAK」にも新たに録音され収録し直された楽曲群なのですが、実は私のお気に入りはフル・アルバムたる『THRAK』に収録されなかった「Cage」と「When I Say Stop,Continue」なんです。

「Cage」は第3期のイディオムに頼ることなく、第4期クリムゾンが正当に進化した様を見せるかのような精密な音の洪水によるスピード感と重厚さが一体となった名曲であり、「When I Say Stop,Continue」はスタジオ・インプロヴィゼイション・ライブ一発録音のような加工前の荒々しさと混沌とした景観がたまらない楽曲となっています。

第3期と第4期の融合といった面も重要ですが、クリムゾンとしての音楽への衝動性というものを見事にパッケージングしたという点や、ただ単純に回顧チックに過去の脈絡を引っ張りだすというのではなく、見事に現代にクリムゾンの音楽を復活させた点、そしてアルバムの随所にみられるような、現在の音楽シーンの潮流であるテクノやアンビエント・ハウスなどのイディオムをもバンドに取り込んでしまうという点など、キング・クリムゾンというバンドの懐の深さをこのアルバムは見せつけているような気がします。

このアルバム、まだ練り込まれる前の「バンドの青写真」であるということから、体裁としてはミニ・アルバムということになっていますが、独立したアルバムとしての十分なパワーを持った一枚に仕上がっていると思います。

後述する「THRAK」よりも、「ダブル・トリオ」というフォーマットの未知なる可能性を感じさせ、バンドとして暴走寸前の衝動性を詰め込んだかに思えるこのアルバムの方が断然好きです。

P.S. 「第5期のアルバムが第3期と第4期の融合といった形で造られたことにより、異様に評価の低かった第4期が見直された」ことや、「『VROOOM』・『THRAK』は第3期と第4期のブリッジとなるべきアルバム」といったことも考えられるのですが、それにしてもクリムゾンという存在は、第3期のイディオム、もっといえばその源流である「宮殿」の背後霊からは逃れられないんだなぁと、つくづく感じさせられた一枚ではあります。

そのことが良い・悪いっていうんじゃなくて、逆に積極的に肯定すべき点であると思うんです。そーじゃなくって、私が言いたいのは、ただ単に「『ディシプリン』もイイんだよ」っていうことだけです。そこで、「第4期のアルバム3枚も全部イイんだよ」って言えないのがツライとこなんですがね(笑)。



2007/01/05 追記

後のオリジナル・フル・アルバム『The Power To Believe』に対するミニ・アルバム『Shoganai』やミニ・ライブ・アルバム『Level Five』や、もっと言えば『The ConstruKction Of Light』に対する「次世代のクリムゾンの調査・開発部門」という位置づけでのProjeKctシリーズの各アルバムを発売するといった形はこの『VROOOM』から始まったと考えられます。

以前のクリムゾンでしたら、まずライブを行いそのフィードバックをニュー・アルバムへと還元するといったものでしたが、このミニアルバム以降のKing Crimsonはライブも行うけれどもまずはスタジオ・ミニ・アルバムを製作し、次のフル・アルバム向けの楽曲達の大まかな形をデッサンし、それを再度新規にレコーディングしオリジナル・アルバムを作るという何段階かのステップを踏んでアルバム製作に望む形が定着してきたようです。

嫌な見方をしてしまえば、ファンの興味を常に引きつけ逃さない為にアルバムのアイデアを小出しにしその都度ファンの財布から金を出させるという、守銭奴的なやり方、とも言えましょう(苦笑)。今のベスト・アルバム乱発やら紙ジャケ再発やらも同じと言えますが、まだ将来に向けてのミニ・アルバムの方が数段良心的ではあるわな。

今だからこんな上から見た物言い(笑)をしてはいますが、上にも書きました通り、この『VROOOM』発売前の興奮といったらとんでもないものがありました。ソワソワしちゃって部屋の中をウロウロしちゃって、まるで「動物園の檻の中のクマか、オマエは!?」っつーぐらいでした。

私がリアルタイムの新譜として買った初めてのアルバム(ミニ・アルバムですが)がこの『VROOOM』でしたので思い入れもより強いものとなっています。アルバム発売以前からKing Crimsonのファンになっていた為、音楽雑誌やら何やらを買い込んではまだ見ぬ新譜に思いを馳せていましたっけ。そこでR.Frippの「King Crimson7年周期説」をぶち上げたり、7年といっておきながら結局は10年近くぶりになっちゃったり、「クリムゾンの本質は『エネルギー』『情熱』と『折衷主義』である」とか分かったような分からんような事を答えていたりで、この頃から「あぁ、この人の話は話半分で聞かなきゃイカンかも?」等と遅まきながら学習したのでした(笑)。

でも、しかしながらそんな音楽以外の文言を軽く吹き飛ばすくらいに、このアルバムを初めて聴いた時の衝撃波は強力なものでした。ここには偉大な可能性の原石が眠っていると今でも確信しております。それだけに後のフル・アルバム『THRAK』を聴いた時の肩透かしを食った様な印象は自分でも意外でしたっけ。

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

Palmy / sleeping eating thinking & SINGING (VCD)

Sleeping_eating_thinkingSI.jpg

タイの歌姫Palmyさんの初期のライブVCD。

これもタイへ行ったときに買ったものですが、このVCDだけが今までなかなか見付からずにようやく購入出来たもの。2枚のVCDで構成されているSpecial Editionとの事ですが、スペシャルでは無いStandard editionなるものすらも見た事がありません(笑)。あんのかいな?

1枚目は70分弱のコンサートの模様を収めたもの、2枚目は大ヒット曲「Yark Rong Dunk Dunk」の二つのヴァージョンのPVや「Paed Mong Chao Wun Ung-Karn」などのPV、そしてインタビューが収められたもので構成されています。

このライブの細かい背景はよく分かっていないのですが、1st『Palmy』を出した後のライブなのかな、アルバムからの曲が大半を占めます。アルバムではM-4となるポップ・チューン「Kao Luem」からスタート、それはともかくとして出だしの所でギター、間違えてないか?、アレンジなんだか何なんだか微妙な出だしですが(笑)。続いてはM-7となる「Puen Tee Suan Tua」、もうお客さんはノリノリ、良い雰囲気です。

動くPalmyさん、もうそれだけで、やべぇ大分可愛いぞ(←バカ)。VCDを見出した時は「口パクじゃないんだけれども、微妙にテープで歌のラインが流れてねぇか?」等といった不届きな考えが頭をよぎったのですが、もしそうだったとしてもイイよ、許す、可愛いから。

4曲目は知らない曲なんですが、カヴァー曲なのかな?南国チックな軽快なリズムに載せて歌われるミッドテンポな曲、なかなかこれもヨシ。途中、「Klua」でアコースティック・ギターを弾いていたゲストの人の曲を挟んで衣装をチェンジしたPalmyさん再度登場、再びギターの人(スマン、名前知らないのでギターの人呼ばわり)と共にカヴァー曲(?)を挟んでアルバムではM-3となる「Paed Mong Chao Wun Ung-Karn」。知っている曲になると安心するな(笑)。

アルバムとは大分違う、ロック&レゲエ調なリズムアレンジが新しい「Saen Sabai」、これイイな。で、ライブのトリはやっぱり大ヒット曲の「Yark Rong Dunk Dunk」、裸足でがに股になって腕を振り回してお尻をフリフリして飛んで跳ねて歌うPalmyさんはやっぱりステキだし、歌にあわせて総立ちはもちろんの事、踊って歌って振り付けをする観客の皆さんもステキ。70分弱という短いコンサートですが、良いコンサートだなぁ。

内容は良かったのですが、やっぱりVCDなので音は悪いし画質も悪いし、曲送りも出来ないなど操作性も激悪だし。DVDで再発してくれませんかね?>GRAMMY様(Palmyさんの所属するレコード会社)

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Gong / Acid Motherhood

Acid Motherhood
Acid Motherhood
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Gong
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...あぁ、正月早々から嫌なジャケットだ...。

David Allen率いるGongとAcid Mothers Templeというバンドとの合体ユニットが正式に「Gong」を名乗りレコーディングされたものとの事です。このアルバムの事は以前から知ってはいましたし、Gongの諸作品群は見つける度に買ってはいたのですが、このアルバムだけにはなかなか手が伸びませんでした。

だって、ホラ、こんなジャケだし。

それでも勢いを振り絞って購入、聴いてみた訳ですが、これがイイ!今回のGongはAcid Mothers Templeというサイケデリック・バンドと合流してGong名義のアルバムが造られたのですが、「Gongは共同体である」といった事がよく言われているように誰が演奏しようがどこで演奏しようがGongの名が冠されている限り、GongはGongなんだなぁと思わなきゃイケないんだろう、きっとそう。

D.Allenがいない時期のGongやらPierre Moerlen's Gongはどうなの?とか色々ありますが、D.Allen本人がGongだって言っているんですもの、これも間違いなくGong...、なんだろう(弱気)。

Acid Mothers Temple自体がどのようなバンドかは知らないのですが、きっと今回のGongはAcid Mothers Templeの色が濃いものに仕上がっているんだろうと思われます。サイケデリック、スペーシーとかなんとかって言っちゃえば簡単なんですが、気持ちの悪くてグダグダしていて、でも熱量だけは無闇矢鱈に高い素敵アルバムに仕上がっていると思います。

D.Allenらのラップとも違う一本調子のアジテージの様な早口のヴォーカルがこれまたバックのへんてこりんなノイジー・ギターやスペーシー音階とマッチングしてひどく格好良いものに仕上がっております。またM-8ではメランコリックなギターの後ろの方で微妙に難儀な音がちりばめられていたりして、安心しようにもそんな事は許さん!みたいな感じ(笑)。

Gongのアルバムの中では間違いなく異端...Gongで異端っていうのも変な話だとは思いますが、らしくない事は間違いないのですが、ジャケにドン引きせずに手に取って聞いてみて欲しいアルバムであります。

でも、なんと言い繕おうと...、ホント嫌なジャケットだよなぁ...(遠い目)。

裏ジャケ、CDケースの裏の画像もイヤな感じなのですが、それはアップしません、したくありません(笑)。CDショップで見つけた際にはCDケースを裏っ返して是非御覧いただきた(以下略)

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年始の御挨拶の巻。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたしますです、ハイ。

いや、元旦から久々11年ぶりに復活した「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」で予想以上に当時のテンションそのまま、あまりの馬鹿馬鹿しさにシビレまくる事が出来たし、今年は良い一年が始まりそうです。いや、良かった良かった。

そんなこんなで今年も去年のように適当な感じで色々やっていこうと思いますので皆様一つよしなにお願いします。敬具。

あ、それと年始一発目のCDエントリーがアレな感じのアルバムを選んだのはワザとです(笑)。
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