スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

King Crimson / THRAK

THRAK
THRAK
posted with amazlet at 08.12.02
King Crimson
WHD (2006-03-14)
売り上げランキング: 244050

「バンドの青写真」であるミニ・アルバム「VROOOM」、そして「B'BOOM」に収録されたアルゼンチンでのライブを経て、準備も万端、満を持して収録された、フル・アルバムとしては11年ぶり(!)となるアルバム。

King Crimson line-up 5
第5期クリムゾン

THRAK : スラック
11th album ; 1995

Album
1 : VROOOM : ヴルーム
2 : Coda : Marine 475 : コーダ:マリーン475
3 : Dinosaur : ダイナソー
4 : Walking On Air : ウォーキング・オン・エアー
5 : B`Boom : B・ブーム
6 : THRAK : スラック
7 : Inner Garden I : インナー・ガーデン 1
8 : People : ピープル
9 : Radio I : レィディオ 1
10 : One Time : ワン・タイム
11 : Radio II : レィディオ 2
12 : Inner Garden II : インナー・ガーデン 2
13 : Sex Sleep Eat Drink Dream : セックス・スリープ・イート・ドリンク・ドリーム
14 : VROOOM VROOOM : ヴルーム・ヴルーム
15 : VROOOM VROOOM : Coda :  ヴルーム・ヴルーム:コーダ

Personal :
Robert Fripp : Guitar,Soundscapes,Mellotron
Adrian Belew : Guitar,Voice,Words
Trey Gunn : Stick,Backing Vovals
Tony Levin : Uplight & Electric Basses,Backing Vocals
Pat Mastelotto : Acoustic & Electronic Percussins
Bill Bruford : Acoustic & Electronic Percussins

前作では「緻密な音造り」と「暴発寸前の衝動性」のバランスが高いレベルで(意図せずに?)取られていましたが、このアルバムではフル・アルバムということで、より緻密な音造りに力点が置かれ、結果として暴発寸前のバンドの衝動性は押さえこまれているかのように思えます。

アルバム全体としては『In The Wake Of Poseidon』や『Larks' Tongues In Aspic』でみられたような、同じテーマの変奏曲にて全体をサンドウィッチするという手法が何層にも渡って取り入れられています。そして、第3期「レッド・クリムゾン」のイディオムを使っていることも含め、従来のいわゆる「クリムゾン的手法」をバンド自身が肯定的かつ効果的に、しかもそれが単に懐古主義的ではない使い方をしている点には注目すべきだと思います。

「VROOOM」のエントリーでも書いたように、アルバム『VROOOM』に収録されていた「VROOOM」・「THRAK」・「One Time」・「Sex Sleep Eat Drink Dream」の4曲は、より完成度を上げ再録音されたものがこのアルバムには収録されています。

まず、このアルバムのいきなりの目玉その1、「VROOOM」。アルバム『VROOOM』からさらに楽曲は練り込まれ、音もガッチリとしたブ厚い音へと成長しています。また、この曲はLチャンネルにR.Fripp・T.Gunn・P.Mastelottoのベーシック・ライン組、RチャンネルにA.BelewT.LevinB.Brufordのアグレッシブ・ライン組を配置し、疑似ステレオ効果を狙った録音となっています。そのおかげで、左右のスピーカーの間へキチンと座って聴かないと左右どっちかの音が偏って聞こえてしまい、それもまた一興ってな感じです(笑)。

また、アンプでスピーカーのLRチャンネルを片側に絞り『さっきはベーシック・ラインを聴いたから、今度はアグレッシブ・ラインを聴いてみよう』なんて事も出来て、楽曲の複雑な構成が細部に渡って確認出来る、まさに『一粒で三度美味しい』曲に仕上がっています。私はこれ、車の中で『LR→L→Rチャンネル』という順番でよくやるんですが、結構キますよ、危ないのでオススメはしません(苦笑)。

またこの曲の変奏曲「VROOOM VROOOM」も第3期、特にレッドそのままの語法を良い意味において憶面もなく使用しており、それが前述した通り、懐古主義に陥らずに強力な印象をもって耳の底へと響いてきます。

「Dinosaur」は象の鳴き声から恐竜の咆哮へとパワーを増したA.Belewのギターが冴え、しかもA.Belewのクラシック・ポップ好きが良い方向で新しいクリムゾン・サウンドとうまく溶け合った音造りとなっており好作品に仕上がっていると思います。それはアルゼンチン・ライブにて原形が出来上がっていた「Peaple」や前作にも収録された「Sex Sleep Eat Drink Dream」にも言えることだと思います。

また、久しぶりに微量のウェットな質感を覗かせつつ、全体に流れる浮遊感が心地よい「Walking On Air」や、ドライなリリカルさと寂寥感が前作に収録されたものよりもより完成されている「One Time」らも小粒ながらアルバム全体のコントラストをより高めています。

そして、このアルバムの目玉その2,「B'Boom」?「THRAK」への流れ。「B'Boom」ではR.Frippのサウンドスケープが静かに流れる中、B.BrufordとP.Mastelottoのドラマー二人が緊迫感あふれるドラムの応酬を繰り広げ、それが一点に収束したところで、フレキシブルな構造を持ちつつ、メタリックな攻撃性を十分に内へと秘めた「THRAK」へと繋がっていきます。

この曲はアルバム版も勿論良いのですが、本領は『THRaKaTTaK』にも収録されたようなライブでのインプロヴィゼイションの場においてでしょう。『Larks' Tongues In Aspic』における「トーキング・ドラム」?「太陽と戦慄 パート2」の流れを彷彿させニヤリとさせられる流れの2曲だとも思います。

ただし、このアルバム、緻密な作りにて非常に完成度は高いし、曲も良い曲が揃っていることは確かなんですが、その緻密さや理詰めとも思えるほどのガチガチの完成度がかえって、バンドのが持っていた純粋な音楽への衝動性を削いでしまっており、妙に手触り感の無いアルバムになってしまっているような気がします。

例えるなら、『VROOOM』が触れたなら怪我しそうなくらいに鋭利で重量感のある、掘り返したばかりで泥もまだ付いていそうな宝石の原石ならば、この『THRAK』は人の手によってブリリアント・カットなどに綺麗に加工され店頭に並ぶ、美しく磨き上げられた宝石のような、そんな感じです。

期待していた「ダブル・トリオ」が持つはずの爆発的な力が、このアルバムでは「VROOOM」、「THRAK」といった楽曲以外ではあまり実感できず、他の曲ではただ単に音の厚みを厚くする手段にしか思えないところが残念でした。

このアルバムでの「ダブル・トリオ」は全面的に成功したとはメンバー、そしてその中核であるR.Frippらも考えてはいないようで、その反省と「ダブル・トリオ」クリムゾンの持っている力を十二分に引きだすため、R.Frippを軸としてメンバー3?4人が入れ替わり立ち替わりで構成されている「クリムゾン・フラクタル分裂」たるProjeKctシリーズが行われているのだと思います。



2007/01/06 追記
次期アルバムの為のリハーサルの模様がThe Collectors` King Crimson Volume Four?(2001)中に『Nashville Reheasals 1997』というアルバムとして収められていますが、それがリハーサルでもある事をさっ引いたとしてもあまりのクリムゾンとしてのバンドの統一感の無さ、メンバーの方向性が統一されていないベクトルの欠如などがアルバムの音からも酷く滲み出てきているといったものになっています。

ダブル・トリオといったアイデアは面白いものだったのですが、後にA.Belewも

ドラムスとベースがそれぞれ二人ずつという編成だとどこかお互いに遠慮する部分があって、かえって表現の幅が狭くなるように僕には思えたんだ。

とインタビューで言っていた通り、人数の多さ・ダブル・トリオでの取り組みによるダイナミズムよりも、『Starless And Bible Black』の「Trio」で顕著にみられる、一人一人がバンドに対して楽曲を奏でる/敢えて音を出さない事による貢献といったものが失われてしまったデメリットの方が次第に大きくなっていたのではないでしょうか?

この『THRAK』、大好きなアルバムですし、一枚のアルバムとしては非常にまとまり良く出来ているアルバムだと思いますが、そのまとまりは私にとってはちょっとこじんまりとしたものとして感じられてしまったのが残念でした。

スポンサーサイト

テーマ : 洋楽CDレビュー - ジャンル : 音楽

comment

管理者にだけメッセージを送る

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
LastFM-Quilt

LastFM

カテゴリ
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
クリックするとドロップダウンします。

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Blog Pet

プロフィール

kazz12000

Author:kazz12000
FC2ブログへようこそ!

FC2カウンター
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。