Manafon / David Sylvian
デヴィッド・シルヴィアン
Pヴァイン・レコード (2009-09-23)
売り上げランキング: 598
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David Sylvianの最新ソロ・アルバム。ソロ・アルバムとしては『Blemish』以来6年ぶり。最初に書いておきますとちょっとネガティブな感想。
前作『Blemish』にも参加したオーストリア出身のエレクトロ・アーティストChristian Fenneszの他にも、前衛的サックス奏者Evan Parker、フリー・インプロヴィゼイション・グループAMMのピアニストJohn Tilburyらが参加。また今作では即興音楽家である大友良英や中村としまる、Sachiko M、秋山徹次ら日本人のミュージシャンも多数参加しております。
基本路線は前作『Blemish』と同じか、それを突き進めたものと認識しております。「認識しております」なんていう回りくどい言い方しているのは、『Blemish』はDerek Baileyのギターが苦手というよりも大嫌いであった為、数回ぐらいしか聴いておりませんがゆえ。
このアルバムも前作と同等以上に、余分なものを減量するというよりは、痩せたところからさらに削り取り抉り取った感すらあるアルバムだと思います。何回か聴いてみた頭に浮かんだのは、大雨が過ぎ去った後の夜空、雲と雲の隙間からわずかに覗く星明かりを頼りに、限りなく黒に近いキャンバスの上で黒のみで描かれた具象絵画。
初期のソロ作以上にメロディアスでゴージャスなD. Sylvianのヴォーカル、バックにはフリー・インプロヴィゼイションで鳴らしたミュージシャンが揃っているだけあって、時折思い出したかのように爪弾かれるギターの音色やサックス、妙にいらつかせるノイズ/スクラッチ・ノイズ達。楽曲とも言い難い“音”達がヴォーカルに寄りそうでもなく離れるでもなく点在する荒涼とした音風景。
D. Sylvianのヴォーカルは好きなのでこのアルバムもこれまで何度も聞き返しておりますが、美しいメロディも奏でなければ後ろに一歩引き下がる事もしないバック陣の演奏を聴くにつれ、? バック陣ではなくD. Sylvianが求めた演奏なのでしょうけれども ? 初期のスタイルに戻って創ってくれないかなぁ、という思いがより強まってきてしまいます。
私の場合、King Crimsonや所謂プログレ勢が演奏するインプロヴィゼイションが好きといっても、所詮は厳格に構築された中での一要素としてのインプロヴィゼイションが好きなのであって、構築性も何もない純粋な意味でのフリー・インプロヴィゼイション音楽は好きではないんだという思いをより強くしました。
D. Sylvianさん、たぶんこの路線でしばらくいくのではないかと思われますが、もう昔の話ですがSylvian&Frippで突如ロック・フィールドに戻ってきた時のように、また分かり易い方向に急転回する日が来てくれないかなぁ。
関連URL:
オフィシャル・サイト:{ davidsylvian.com } the official David Sylvian website
D. Sylvian自身が立ち上げたレーベル:{ samadhisound.com } Samadhisound Shop
(以下ブログ内リンク)
David Sylvian / Camphor
David Sylvian & Robert Fripp / The First Day
David Sylvian & Robert Fripp / Damage
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